表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ



深く深く暗い森。

寒く寒く白い森。

背の高い針葉樹達は雪を被り。

底の深い湖は氷に閉ざされている。


気温は-15゜c



私はそんな森の中を散歩する。

あなたと一緒に散歩する。


私が身につけているのは、処女雪のように真っ白な短いワンピース一着だけ。

あなたが身につけているのは、黒い半袖に白の短パン。


「寒獄の森」と呼ばれるこの森は、常に雪と氷で外界から遮断されている。


獣もいなければ虫もいない。

ヒトもいなければ音もない。


あるのは雪と氷と杉にモミの木。あと湖。

私。

あなた。


それだけ。


そんな極寒の森の中を、私達は薄着で散歩する。


「寒いね」


私が言う。


「そうだね」


とあなたが返す。


「だから、くっつこ?」


「ん」


これまで何百と繰り返した会話を今日もする。

あなたに抱きつき、腕も足も絡ませる。


温かくて。

幸福で。

私は何も考えられなくなる。


すると、あなたが私の頭を撫でる。


それがひどく心地好い。







私は今日も、あなたに温めてもらう口実を作る為に、極寒の中、ワンピース一枚だけで散歩する。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ