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英雄  作者: 南高陽介
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1-3.新たなる脅威


「作戦は以上だ」


「本当に……やるんですか?」


南野は再度確認する。それほど奇抜な作戦であったのだ。


「なんだ?異議か」


「異議というか、肉積んだ船を餌にして食いついたら大型の巻き取り機で引き揚げるなんて……正気とは思えないんですけど」


「俺は正気だ。それに引き揚げたらクレーンに吊した鉄球を上からくらわす、火器が通用しなくても問題ない」


南野は瞬時に諦めた。こうなると東山の意見を変えることが容易でないことを知っているからである。


「技術局の全面的な支援も得られる。多分……大丈夫だ」


西村が何とか場を取り持とうとする。そんな光景を見て


(副隊長は苦労してるんだな)


初代と仲里はそう思わずにはいられなかった。


「引き揚げた後のフォーメーションは3-2-1で展開。奴が後退しないように南野、北見、西村で攻撃。尻尾には気をつけろ。」


「了解」


「初代と仲里は横に行かないように左右から誘導攻撃。まぁ安全だろ」


「了解しました」


「前方は俺が責任もって務める、以上だ。解散して休んでくれ」





「肝心な要地の確保はできてるの?」


2人だけになった作戦室で西村が尋ねる。


「心配するな。今から都知事に掛け合う」


「あの知事、頭だいぶ固そうだけど」


「拒否してきたら切り札をつかう大丈夫だ」


「お前がそう言うなら大丈夫だろ」そう言って西村は作戦室を後にした。




*




東京望の島


夢の島に倣って名付けられたこの埋め立て地は、5年前より開発が停止している。莫大な税金が使われたこともあり批判の矢面に立たされている。


「都知事が開発停止中とはいえよく承諾してくれましたね」


初代は素直に感心している。


「幸せね。何でも信じられて」


北見が皮肉を言う


「え、何か裏があるんですか?」


ひときわ大きな咳ばらいが会話を遮る。


「作戦は0900から始める。各自装備の点検だ」


「了解」


装備は携帯型対BSC砲が主装備として使われる。着弾時の衝撃と爆風で大型のBSCの侵攻を食い止めるために使われる。



*



「隊長、今日は諦めませんか」


南野がお願いしますよという口調で言う。


「釣りの醍醐味は待つことにある」


「もう5時ですよ。8時間待って気配すらないんですよ」


「まぁ、そういわないで。日の入りまで粘ろう」


西村が間を取り持つ。しかし、隊員達は緊張からの疲労からか、今日はもう来ないだろうと油断していた。その時だった。


『当たりです!餌に食いつきました』


白木から通信が入る。


「総員、持ち場につけ!!」


腹の底からの怒声に隊員達は目が覚めた。

待機室を飛び出し戦闘態勢に入る。


改造された巻き取り機が嫌な音を立てて軋み、物凄い勢いで釣り糸である特殊合金線が引き出されていく。


「残り何mだ?」


『1000mです』


「よし、残り200mでリバースしてくれ」


『カウント始めます。5、4、3、2、1、リバース開始』


激しい動力音とともに釣り糸が巻き取られていく。BSCは左右に泳いで抵抗している。


『残り50mで引き揚げられます』


やがてその巨体が見えてくる。黒々とした身体、大きな口、鋭い牙。画像で見た印象とは全く違う。まさしく化け物である。


計画によると、海から100mの地点が鉄球落下地点になっている。しかし、80m引きずったときだった、激しい抵抗により鉄線が断裂した。


「まずい!作戦変更だ。


総員、後方から奴を追い立てろ」


瞬時に状況判断して作戦を立てる。


「了解」


すかさず4人は走り出し、後方へ展開する。そして、BSC砲の引き金を引く。


ドン!


ドン!


激しい炸裂音が響く。BSCはじりじりと前へ進んでいく。


「よし!落……」


その刹那、BSCは前に突っ込んだ。隊員達には隊長がそれに巻き込まれたように見えた。


「東山隊長!」


BSCは鉄球を吊していた大型クレーンに激突した。バランスを崩したクレーンは前のめりにゆっくりと倒れていった。


衝撃と土煙、隊員達は呆然と眺めていた。そして、土煙の中から何かがこちらに近づいてくる。


「構え!」


西村の号令で砲を構える。





「作戦は……概ね成功だ」

「隊長!」


土煙から出てきたのは東山であった。全員が駆け寄る。


「死んだかと思いましたよ」


「これくらいでは死ねん」


「奴はどうなりました?」


「北見は相変わらず冷たいな……死んだよ、多分」


やがて土煙がおさまり、辺りの様子がわかるようになった。

そこには、クレーンのアームの下敷きとなり絶命したBSCがいた。


「作戦は思いつきでやるもんじゃないな」


東山はしみじみと呟いた。


「当たり前だろ」


とは誰も突っ込めないのであった。


読んでくれている、数少ない人に感謝しています。感想、レビュー等は気軽にどうぞ。

次回はもう少しうまく書けると思います。


では、またよろしくお願いします!

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