4-4.闇への挑戦
お久しぶりです。
気分で更新いたしました。
「匍匐前進って苦手なのよね……」
「お前は、普通はこんなことやらんからな」
白木のぼやきに東山がつっこむ。
「おい、赤松!頭上がってきてるぞ」
「もう無理!絶対無理!!」
バックアップの南野と赤松は1番後ろで揉めている。
戦闘訓練を受けていない赤松にとって、200mの匍匐前進は辛いものだ。
「あと30mもない!何とかしろ」
地面に這いつくばり、悶絶している赤松を励ます。
南野と赤松は先頭に遅れること10分、分岐点に到達した。あれだけ騒いでB06が出なかったのは奇跡と言える。
「南野と赤松さんはここで待機。殲滅と救出は同時進行するよ」
西村が作戦を確認する。
「了解」
2つの班は同時に暗がりへと飛び込んだ。
救出班
「天井に気を付けろ! へばりついてるかもしれん」
殿を務める東山の注意が飛ぶ。
3人は慎重に一歩一歩前へと進む。
先頭を行く初代のライトが奥にある白い塊を照らした。
「隊長! 要救助者発見!」
初代が勢いよく駆け出す。
「ちょっと! まって!!」
白木の声に、初代は思わず足を止める。
冷静にり周囲を照してを確認した初代は息をのんだ。
自分の足元、天井、壁、至る所に血がベットリと塗り立てのペンキのようについていた。
「こんなことって……」
白木の手から銃が滑り落ちる。
「まずいな……ありゃあ卵だ」
奥を照していた東山がボソリと呟いた。人が捕らえられてると思った楕円形の白い塊は、不気味に脈打ち、モゾモゾと動いている。
「奥の壁動いてませんか?」
初代が遠慮がちに尋ねる。
東山はゆっくりと無線機に手をかけ、
「作戦変更!!全員今すぐ退避!」
反響で洞窟全体に聞こえるんじゃないかという怒鳴り声だった。
分岐点
東山の怒鳴り声が響き渡った。
「なに! どうしたんだよ」
DTFの隊員とは思えないほどの南野の慌てように赤松は唖然とする。
「蜘蛛にビビってんじゃないわよ!どうすればいいか指示だしてちょうだい」
赤松が喝を入れる。
「あ、えーと、そ、そうだ! 退路の確保」
そう南野が言ったときには両方の通路から全員が走り込んできた。
「何があったか聞く余裕はなさそうだね」
西村は冷静に言った。
「ああ、聞かないほうがいい。飯が食えなくなる。とにかくここから出る、行け!」
入ってきたとは正反対に馬鹿デカイ音をたてながら出口へと向かう。東山が殿でときおり後ろ向きに掃射を加える。
「赤松さん! 出たら殺虫ガス弾撃ち込んでください。そしたら出口を爆破して塞ぎます」
初代は走りながら説明する。
「わ、わかったわ」
赤松は息切れぎれに答える。
月明かりすら眩しく感じる外に出た瞬間、一斉に踵を返し体勢を整える。
赤松がガス弾を何発も洞窟内に撃ち込む。その間、全員でフルオートで掃射し援護する。
「OKよ!」
この声を合図に初代は手投げ弾の安全ピンを抜いた。初代の手を放たれた手投げ弾は弧を描き、洞窟内に転がる。
「伏せて下さい!」
同時に強い衝撃と熱が辺りに広がった。
初代達が顔を上げると洞窟の入口は瓦礫に埋まっていた。
「助けられなかった……」
白木がポツリ呟いた。頬には涙をが線を描いている。
「君のせいじゃない。頑張ったんじゃないかな」
西村が優しく語りかけた。