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英雄  作者: 南高陽介
13/16

4-2.闇への挑戦

「CHN-B06による被害だと断定しました」


白木達は基地に戻って報告する。


「根拠は?」


西村が聞く。


「これを見て下さい」


アーカイブのCHN-B06の情報がモニターに映し出される。


「蜘蛛……見ただけでゾッとするぜ」


南野は不快そうに顔を歪める。


「B06は中国がゲリラ戦を想定して創ったBSCです。夜行性でテリトリー内に侵入した光もしくは音を出すものを攻撃します」


「中の2人は懐中電灯、佐藤さんは洞窟の入口で大声を出したため襲撃されたと考えられます」


初代が説明を加える。


「なるほどな」


東山が納得する。


「状況的には黒だね。だけど、正確に特定してから最善を尽くすべきじゃないか」


合理主義者の西村が反論する。


「私もそう思います。相手が違ったら戦い方も変わりますから」


北見も西村の意見に同調する。


「B06は捕らえた獲物をすぐに食べません。今行けば被害者を救出できる可能性があります」


白木が反論する。


「可能性と割り切るべきだ。しかも、B06に関する情報が少な過ぎる。救出は難しいし、危険だ」


「中国のDTFに情報の開示を求めれば」


「中国は、こないだのアメリカみたいに簡単には情報開示しないよ」


「ですが」


「ストップ!ストップ!!」


議論に東山が慌てて割って入る。


「2人の意見はよくわかった。とりあえず、他の意見も聞いてみようじゃないか。南野!」


「俺ですか、俺は……白木の意見に賛成です。救える命を見捨てるわけにはいきません」


「僕も白木先輩の意見に賛成です」


初代も意見を述べる。


「仲里はどうだ?」


東山が聞く。


「私は……」


心苦しそうな顔で俯いてしまった。


「はっきり言った方がいい」


東山が諭す。


「私は被害者の命よりも、ここにいる6人の命が大切です。なので、危険過ぎる作戦には反対です」


仲里は意を決したように述べた。

全員殴られたような衝撃を受け、動揺が作戦室に広がる。


「弱ったな……」


東山も狼狽して考え込む。


しばらくの沈黙の後、東山は決断した。


「西村に賛成の者は現地調査、白木に賛成の者は情報収集及び作戦の立案。以上!」


「完全に真ん中とりましたね」


南野が突っ込む。


「名案と言え」


東山は笑顔を見せた。



*



「日本支部外渉局の長内です。王黄伝さん、ご無沙汰してます。単刀直入なんですが、B06の情報を全て開示して頂きたいのですが」


長内は外渉局のエースで6ヶ国語をマスターしている。東山が無理矢理引っ張って来たのだ。


「王黄伝は中国支部外渉局のトップだ」


南野が驚いた顔で言う。


「長内さん、全部日本語で話してるけど大丈夫なんですか?」


初代が聞く。


「あれがやり方らしいわ」


白木が答えた。


「ちょっと集中しなさい」


開発局の赤松がたしなめる。作戦立案の為に、彼女もまた東山が引っ張って来た。


「すみません」


3人は声を合わせて謝る。


「1番速いのは殺虫ガスで洞窟内を満たすことね」


「それじゃ要救助者も危険です。それに…殺虫ガス効くんですか」


白木が聞く。


「多分大丈夫よ強力なのあるから。でも、ボツか……」


それからしばらくの間、話が進展しなかった。情報が少なく立案のしようがなかったのだ。


「閃光音響手榴弾で入口までおびき寄せて、直接殲滅はどうですか?」


初代が提案する。


「それ、使えるかも。作戦甲としておきましょう」


「赤松、お前が仕切るなよ」


南野が言う。南野と赤松は同期で仲はあまりよくない。


「うるさいわね。使えないから黙ってなさい」


「なんだと」


「集中しなさい!!」


喧嘩を始めた2人を白木が一喝する。


「すみません……」


2人は揃って謝る。


「楽しそうだな。今、西村から連絡があった。CHN-B06だと確認したそうだ」


「速いですね」


僅かな2時間の早業であった。


「あいつらは向こうで待機、こっちは作戦指揮車で向かう。準備しろ」


「やばい……」


4人は顔を見合わせた。


「着くまでの30分でなんとかするんだな」


東山はニヤニヤしながら言った。


「こっちは終わりましたよ」


長内は疲れた顔を見せた。USBを白木に手渡す。


「全開示は無理でした。情報はその中にまとめてあります」


「ご苦労!」


東山が肩を叩く。


「無茶言うのはこれっきりにして下さい」


長内は明らかに不快そうな顔であった。


「まぁ、そう言うな」


「はぁ」深いため息をついて、長内は作戦室をあとにした。



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