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英雄  作者: 南高陽介
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4-1.闇への挑戦

人間は古来より闇を恐れた。

科学が発達しても闇を消し去ることはできない。

「ここが噂の場所か」


「如何にもって感じね」


「なぁ、やめとこうぜ」


2人の男と1人の女が洞窟の前で喋っている。


「佐藤は本当ビビりだな」


「何とでも言えよ」


「置いて行きましょ」


2人は懐中電灯を掲げて、闇の中へと消えていく。


「知らねぇーからな」


洞窟内に声が響き渡る。


静かな夜であった。周りには人工的なモノは何もない。夜空には満天の星が光り輝いている。


佐藤はふと時計を見た。待ち始めて30分も経っている。


「おーい、まだかよ」


洞窟内に声は響いていくが、返事はない。

目を凝らして闇を見つめる。


「ん?」


8つの光がこちらに向かってくるのに気付いた。


あれは……


佐藤は怖くなった。急にその場を離れなければならない気がした。


(動け……動け……)


突然金縛りにかかったように体が動かなくなる。


徐々に光が近づいてくる。


(やばい!ダメか)


その時、携帯が鳴った。

瞬間体が動くようになった。


佐藤は全力で洞窟を離れる。


走りながら、携帯を取り出しある番号をPushした。




*




「昨夜一般回線に通報がありましたが、緊急性はないと判断しました」


初代が報告する。


「内容は?」


西村が聞いた。


「はい。肝試し中に友人が消え、光る何かを見たと」


「確かにいたずらっぽいな」


南野が言った。


「ですよね。一応、通報者の名前と住所は控えてあります。えーと、鎌倉市の佐藤弥さんですね」


「年齢は?」


白木が聞いた。


「24歳です」


白木は考え込んでいる。


「知り合いか?」


東山が問う。


「よくある名前なんでわかりませんが、可能性はあります」


「だとしたら、この通報どう思う?」


「おそらく……本当に何か起こったのかと」


白木は自信なさげに答える。


「そうか…なら、初代と白木は通報者に接触。事情を聞いて現地調査に向かってくれ」


「ありがとうございます……」


白木は複雑そうな顔で礼を言った。



*



「よく迷わないでここまで来れましたね」


「実家に連絡して年賀状の住所見てもらったら、あんたが控えたのと同じだったのよ」


「なるほど。ところで……どういう関係だったんですか?」


初代が遠慮しがちに聞く。


「元彼氏。大学時代の」


白木はすっぱり答えた。


「なんかすみません」


「別にいいわよ。それより、私調査にあんまり出たことないからよろしく」


初代の肩を叩く。


白木はオペレーターとして基地に残ることが多い。故に白木が調査に行くことは珍しい。


「任せて下さい」


勢いよく初代が意気込む。


白木がIDをパネルにかざす。


インターホンからインターパネルというシステムが主流となっている。

インターパネルに個人IDをかざすと、家の中の受信機に名前等々の個人情報が表示される仕組みになっている。


すぐに男が飛び出して来た。


「百合子!!」


「下の名前で呼ばないでよ。あんたね、大人が肝試しなんてやるんじゃないわよ」


怒った口調で白木が言う。


「ごめん……百合子」


「また言った。やめてって言ってるでしょ」


初代は困惑していた、どう割り込んでいいか分からないのだ。


「ちょっと初代!何突っ立てるのよ」


「は、はい」


(性格変わったな……)


初代は困惑しながら状況を尋ねた。


「昨日のことを詳しく教えてくれますか?」


「えーと、ネットで噂になってる心霊スポットに行ったんですよ」


「心霊スポット?」


「戦争のときに防空壕として使われてた洞窟なんですけど、そこに入ったら帰って来れないみたいな噂があって」


「それで、入った2人が帰ってこないわけですね」


「はい。携帯も繋がらないし」


「驚かそうとしてるんじゃないの」


白木が口を挟む。


「その可能性も考えたけど……違うと思う」


「あんたがそう言うなら多分そうね」


初代は白木がなぜ信じるのか疑問に思ったが質問を続けた。


「えーと、光については?」


「8つの赤っぽい光でした」


「懐中電灯は当然持ってたわよね?」


白木が唐突に質問し始めた。


「うん」


「大きな声とか音はださなかった?」


「中ではわかんないけど、俺は洞窟に向かって叫んだ」


白木は1つの結論に辿りついた。


「おそらく、CHN-B06だわ」


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