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英雄  作者: 南高陽介
11/16

番外編.南野公康の休日

休みの日に一体何があったのか!!!

「南野!北見!」


「はい」


俺と北見は隊長に呼ばれた。


「お前達が休暇1号だ。明日の任務が終わり次第ゆっくり休んでくれ。以上」


1ヶ月ぶりの1日休暇だ。正直、急に休みになっても思いつくことがない。


とりあえずあいつらに連絡してみるか。



*



自分の部屋に戻り、携帯を開く。

仲の良い奴を何人かpick upして電話をかけてみる。


呼び出し音がなる。


プツ


「もし……」


『留守番電話サービスに接続します』


まぁ予想はついていた。仲の良い奴はみんな警察官だから忙しいのだろう。ただ、8人中7人とは……


最後の1人に発信する。


プツ


『どうしたんすか?先輩』


「よう!須藤。元気か?」


『まぁ。で、何かようすっか』


「ああ……明日暇か?」


『ちょうど非番っす。あ、どっか行くんすか?なら海しか行きたくないです』


「海……」


『夏と言えば海と女で決まりですよ。じゃあ、8時に迎えに来て下さい』


「ちょ、まっ!」


ブツ


須藤は、俺が交番勤務のときに後輩として入ってきた。相変わらず先輩に対する礼儀を知らない奴のままだ。


顔は福山雅治に阿部寛を足して2で割ったような感じだ。まぁ、この説明で伝わったことはない……要するにイケメン。若干、軽い感じがたまに傷になる。


「海……まぁいいか」


俺はあの鰐のことを思い出していた。



*



朝起きてみると、太陽がギラギラと光輝き絶好の海水浴日和だった。


「さて、行くか」


荷物を積んで、車を出す。


須藤の配属は八王子市で、まだ独身寮に入っている。


俺がいたのは2、3年だったが懐かしく感じる。


寮の前に車を止めるとすかさず須藤が乗り込んで来た。


「どうもっす」


「どうもじゃねぇよ。先輩をこき使いやがって」


「誘ったのは先輩じゃないっすか」


須藤は少しもビビらないから正直疲れる。


「で、どこの海だ?」


「湘南でお願いします」


「しょうがねぇな」


車を走らせる。


「先輩!」


「なんだよ」


「タクシーみたいっすね」


「うるせぇ」


「後で酷い目に会わせてやるからな」と心に止めておいた。


この時期の平塚方面に向かう道はえらく渋滞する。

おかげで須藤の無駄話を長く聞くハメになった。


結局着いたのは11時過ぎ。


ここは東京から日帰り海水浴も出来、家族にも人気のスポットで、ビキニのお姉さん達も一杯いる。


「やっぱいいっすね」


「あんまり、キョロキョロすんな。疑われるぞ」


「大丈夫っすよ。一応は警察官ですよ」



*



トボトボと須藤が歩いてくる。


「遅かったな。待ちくたびれぞ」


「なかなか信じてもらえなくて……上司に電話しましたよ。カメラすら持ってないのに」


「まぁ、お前が悪い」


須藤はあまりにもキョロキョロしてたもんだから、事務所に連れていかれた。


しょんぼりした姿は同情を誘うが、ざまあみろとも思う。


「決めました。自分、彼女作ります」


また妙な決心をしやがった。


「彼女と来てたら、こんなことにはならなかった。違いますか」


「確かに、そう……」


須藤は女の子に駆け寄っていっていた。


「それが駄目なんだよ」


俺は1人呟いていた。


須藤は20回あまり撃沈を重ね心が折れて、戻ってきた。


「めちゃめちゃタイプな子がいたんですけど、怖いお姉さんが睨んでくるんですよ……」


「そっか、可哀相にな」


適当にあしらう。


「ひどいですよー」


「そうだな。じゃあ泳いでくるから、荷物番してろよ」


せっかく海に来たのに泳がないのはもったいない。トレーニングもかねて、とにかく泳ぐ。


周りからしたら変な奴だと思われるだろうが関係ない。


1時間ちかく泳いで海からあがってくると須藤が駆け寄ってくる。


「先輩、さっき話した女の子がピンチです」


「お前……警察官だろ」


「僕は文系なんで」


先輩には強いが、喧嘩なんかには滅法弱い。


須藤が指差す方を見ると、女の子が男3人に囲まれている。多分、強引なナンパだろう。


「しょうがねぇな」


男に向かって歩いていく。


「嫌がってるんだからやめとけ」


「そうだ!」


黙ってくれ須藤。


「何、この子の彼氏かなんか」


「まぁ違うな」


「じゃあ口挟まないでくんないかな」


如何にもチャラチャラした男で、喋り方から腹立たしい。


俺の怒りのボルテージが上がってくる。


男の1人が女の子の腕を掴んだ瞬間、限界に達した。


「おまっ……!」


その瞬間、男の1人が吹っ飛んだ。状況を飲み込めないうちに2人目、3人目とDOWNしていく。


呆然としていると視界の端に何かが入ってきた。


ゴッ!!


ゆっくりと倒れていくように感じた。須藤の声が遠くに聞こえる。


この感じ……初めてじゃないな。


俺は意識がなくなった。




*




ここはどこだ。


周りが暗くなっている。


「何時になっちまったんだ……」


「7時よ」


隣から聞き覚えのある声が聞こえてゾッとした。


「き……北見?」


「油断してるからそうなるのよ」


「ビックリしたわ。いきなり上段まわし蹴りとはな」


「訓練のときは避けてるじゃない」


「訓練と実戦は違うだろ。あー流石に効いた」


まだ頭がガンガンする。


「ところであの子は?」


「美奈子のこと?さっき須藤って人が送っていったわ」


さすがだな……あいつ。先輩を置いていくしたたかさ。


「美奈子って知り合い?」


「……妹よ」


俺は盛大に吹き出した。


「もう1発くらいたい?」


「いやーやめときます」


強い海風が吹き付け、暑さが和らいでいく。


「家族、あの子しかいないのよ」


いつもは冷静で強い女性だが、今日は違う。何と言うか、悲しげな感じがする。


「泣きたいときは泣けよ」


「南野……やっぱりあんたは馬鹿ね」


「そうかもな」


いつもの調子に少しほっとする。


「私は泣かないわよ。強くなるって決めたから」


「了解。じゃあ基地に戻るか」


俺は立ち上がって駐車場に向かって歩き始める。


後ろからキーが投げられた


「それ私の車のキーよ。あんたの車は後輩が乗っていったわ。」


須藤、次の休み覚えておけよ。

須藤のことで頭が一杯で油断していたとき


「ごめん……ありがとう」


波に掻き消されそうな小さな声だったが確かに聞こえた。


俺はそれだけで嬉しくなった。


「どういたしまして」


俺も小さな声で返す。


星の綺麗な夜だった。


読んでくれた方々に感謝します。

相変わらずの稚拙さ。読んでて若干恥ずかしいです。


うまくなれるように頑張ります。

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