中学3年生の2学期
中学3年生の修学旅行前に全員が男性器の皮が剥けた状態になることが実質上義務づけられ、指定期間中の包茎手術が無償化されたこともあり大半の生徒は既に剥けた状態になっていた。特に学校単位で行われた中学2年の冬休み/春休みと中学3年生の5月連休前という合計3回の集団手術に男子生徒の約半数は参加した。中学3年生の夏休みになってまだ検査に合格していない生徒はクラスの中でも数名しかいない。
春に行われた身体検査の際、包茎検査も行われ、そこで合格できなかった生徒の半分は5月連休前に病院で手術を受けた。受けなかったもののうち、ある程度剥けている状態だったものは夏休みの間、必死になって剥けた状態をキープできるように努力した。検査の時に剥けた状態をキープできていれば、皮を切らなくても済む。中学2年生の冬休み前に手術することなく剥けていた生徒もクラスに1~2名はおり、それから半年の間に剥く訓練を重ねた生徒もいた。まだ剥けきらないものは夏休みが終わるまでに必死に剥いた。自分ではどうしようもなく、5月連休や夏休みに親と病院に行き、有償で手術を受けてきたものもいる。彼らは手術済みの証明書を提出することで秋の検査は免れた。
2学期早々、未だ不合格の者の検査が行われた。この検査を受けなければならないのはクラスメイトの5%程度である。他のものは既に「手術済み」か「検査合格」の印をおしてもらっていた。少人数のため、検査は授業中に呼び出される形で行われる。不合格者であることは女子生徒にも完全にわかってしまう。名前が呼ばれた生徒は保健室へと呼び出される。
1人ずつ検査をされる。自分で剥いてきたものはその場で剥けていることが確認できれば印をおしてもらえる。ここでもまだ剥けていないものは強制治療の対象となる。その場で医師が力を込めて包皮を剥き、戻せない状態にしようと試みる。癒着などは既に春の検査ではがされているが、毎日の訓練を怠った結果再び癒着しているものもいる。そういう場合は器具で容赦なく強引に剥かれる。これでキープすることができるようになれば、手術は免れる。経過観察が必要な場合は翌週に再度、キープできているかどうかを確認し、合否が通達される。
どうにも剥いた状態をキープできないものに対しては学校長の名前で手術通達書が出される。保護者が学校に呼ばれ、手術同意書にサインを求められる。中には手術に難色をしめる保護者もいるが、右に倣えの日本にあって、学年で1人や2人だけの剥けていない状態で過ごすことはきわめて難しい。親としても世間体があるから、結局は受け入れて手術をすることになる。期限内に指定の病院へ行き、包皮を切ってもらわなければならない。最後まで抵抗したとしても、結局は亀頭を露出させられてしまう。こうして中学校の修学旅行は男子生徒全員が同じ形の性器をもってのぞむことになるのであった。
本来、小学生のうちから自分で剥く訓練をしていれば皮を切ることなく亀頭が露出した状態になることができる。年数が経ち、この制度が浸透して行くにつれて男子生徒達も自分で剥ける努力をするようになり、手術を受ける生徒は極端に減っていった。中学1年生の段階で学校でも包皮を剥くことを教えるようになり、それは小学生へと順次浸透していく。
初年度ということで手術を受けた生徒が60%を越えたが数年後には20%程度に減っていった。この制度が導入されてから、男子中学生は程度の差はあれ痛みに耐えるという経験をすることになる。通過儀礼が形骸化した今日、ひ弱な草食系男子が増殖した。この制度は男子の脆弱さを改善することに少なからず役立ち、文字通り一皮剥けた男として日本の近未来を切り開いていくことになる。