イマドキの中高生
近頃の中学生・高校生ときたら温室育ちのせいか、裸を見せることにあまりに抵抗がある。銭湯なんて行ったことないという彼らは、子どもの頃から他人と一緒に入浴する機会が乏しい。水泳の着替えだってひも付きのタオルでしっかり隠した上で着替えたり、中にはわざわざトイレに行って着替える奴もいる。他人の性器を見たことがない状態で思春期を迎える。
そうなると修学旅行の入浴は大変だ。パンツの中にタオルを入れてしっかりガードした上で脱ぐのだ。そのまま洗い場に行き、完全にガードしたままで体を洗う。その状態で浴槽にもつかろうとするような奴もいる。タオルを浴槽につけないように指導されれば、体を洗うだけで浴槽にはつからない。シャワーがあればガードしたまま浴びるだけ。脱衣所に戻ってきてもタオルを絞ることなく、フェイスタオルの更に上からバスタオルを巻き、腰をふってフェイルタオルを落とす。腰にまいた状態で下半身をふきおえると中からパンツをいれ、決して見られることないまま着衣する。
そんな彼らの心境は、大人にはなかなか理解できない。修学旅行を偵察に来た文部科学省の役人たちは愕然とした。昔は外で並んで小便をし、田舎ならば裸で川に入るなど当たり前だった。風呂のない家庭もあり、皆が銭湯で汗を流したものだ。着替えの時は互いのものを見て比べたりした。それに比べると今時の若者は何と情けないと思うのだ。隣の韓国では皆隠すことなく銭湯に入っているではないか。これでは国際社会の中で取り残されるだけだ、と感じた。
その時、1人の役員が提案した。「互いの形がわからないから隠すんでしょう。だったら皆、同じ形にしてしまえばよいじゃないですか。実際、韓国では子どものうちに皆手術を受けます。だから裸を他人に見られることにも抵抗がないんでしょ」それを聞いたほかの役人も皆同意した。この際、中学生の男子に手術を施して全員皮が被っていない状態にしてしまおうと話がまとまった。しかし全員に強要することは反発も予想される。手段も難しい。それならば、自主的に受けられる環境を作ればいいのだ。
まずやるべきことは医師会にいい思いをさせ、「包茎は中学生のうちに治しておいた方が良い」と推奨させることだ。つい先日まで「包茎は病気ではない」といっていた医師たちが、「様々な病気の原因ともなります。発育不良につながる可能性もあります」「修学旅行の前に格好いい大人の男になりましょう」と一斉に喋りだした。そして①中学2年の冬休み ②中学2年の春休み ③中学3年の5月連休 の3つの期間において、学生証を提示すれば無料で手術してもらえることになった。公立の中学校では学校ごとに申し込みが出来る。それぞれの期間の中から各1日、学校ごとに割り振られた日がある。学校に手術を申し込めば、学校が指定の病院に引率して手術を受けるのだ。