第六話『初戦闘②』
僕は片手直剣を手に先生に向かって駆けていく。
斬りかかると同時に『始走』で先生の足元を陥没させ、バランスを悪くさせるが、先生は片足で重心をとり、その足だけで躱してくる。
「きみ、容赦ないね。」
「こうでもしないと倒せないですから、ねっ!」
横薙ぎを繰り出して先生を後退させると同時に『始走』で先生に追いすがり、連撃を繰り出す。
それを足さばきだけで回避し続ける先生。
一回下がり、息を整える。
前を向きそのまま突進する。
モルセ流・風の型『風乱』
部屋の天井や壁を使い、あらゆる角度から刺突を繰り出す技。
モルセ流。基幹五流派最速の流派。僕ができる最速を持って先生に連撃を仕掛ける。が、軽く受け流されてしまう。
最後の一撃に全力を込めたがパリィをされる。そんな絶体絶命の状況で僕はよびだす。
「来い!!『ε』」
左手に逆手で編まれた簡素な短剣を、先生の通り抜けざまに胸を狙ってミダ流・一突で穿つ。
短剣でも一撃の威力重視のミダ流を素手でのパリィはなかなかに難しい。
先生は驚いた顔をして一言「抜剣」とつぶやき短剣はじく。
「いやはや、予想外だった。」
「その割には慌ててないと思うんですけど...」
先生は肩をすくめながら
「不意を突かれて負けるくらいじゃ剣聖は名乗れんよ。とりあえず君は以上だ。本当ならもうちょっと続けていたいがな。」
二振りを納刀し、先生にお辞儀をして机に戻る。
教室のみんなはポカーンとしていた。
「あぁ、授業を再開しようと思うが何か質問は?」
一人の男子生徒が手を挙げて
「何が行われていたんですか。」
と問う。
「あぁ、その説明をサクッとしてしまおう。まず彼はーーー」
「晴兄、結構やったね。」
「いやぁ、結構楽しくなっちゃったからね、仕方がない。」
「えっ...あれで結構なの?本気じゃないの?」
先生の話を聞いていた唯花が驚いたようにこっちを見る。
一方で玲は入学試験の時に多少なりとも見たせいで驚きはあまりないと思う。
「まぁ、うん。」
「へぇ...ちょっと私に魔術武技を教えてくれない?」
「あ、俺も。」
予想してた頼み事に若干の動揺を覚えつつ了承する。
動揺した原因は魔力符号が僕宛に送られてきたことだ。
内容は『昼休みA棟屋上に来て。』であった。
送り主もわからないので動揺するしかないのであった。




