第四話『初授業』
「やあ。お前ら。今日から授業だがもちろん大丈夫だろうな。宿題とか。最初は...魔術工学か。だいぶすごい先生だが...まぁお前らなら大丈夫だろう。」
朝のHR中に先生がそんなことを言ってくる。
「だいぶすごいって...この学園の先生たちはたいていそうでしょ。」
「ハハッ。違いねぇ。そんなこんなで一日がんばれよ。」
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うちの学園は中にはがあり、それを囲う様に四角の校舎がたっている。
一辺は通常教室が入っているA棟。
一辺は事務や教職員等が務めるB棟。
一辺は自習室や別の建物に行くための渡り廊下。
そしてもう一辺は実験や、成績優秀者のための個人工房が入っているC棟
そんな中、僕たちは工学教室があるC棟にいる。
「先生遅いね~」
「もうすでに授業が始まってから五分たってるもんね。」
「お、遅れてしまって、ご、ごめんなさい‼‼
死んだほうがいいですか‼」
工学教室の扉をばぁぁんと開けて同年代かちょっと年下と思われるロリが入ってくる。
「え...誰?」
その少女の後ろにはいろんなものを持ったゴーレムが追従してきていて、そこでようやく教師だと理解する。
彼女はそのまま教壇へと向かう。
「え、えっと、まずはじゅ、授業に遅れてしまって、ご、ごめんなさい。あら、改めまして、魔術工学を担当する、えっと、小噺祈こばなしいのりです。えっと、その。まずは魔術工学の、概論から話しますね。」
教壇から顔をひょっこりと出す彼女は、人見知りなのかとても挙動不審になりながら魔術工学の概論を説明する。
「え、えっと。まず魔術工学について。まじゅ、魔術工学は建築物に人間にそ、備わってる魔術回路を、魔導鉱物で擬似的にさ再現して、命を吹き込んで、し、使役する学問のことを、えっと、さ、さします。授業では、ご、ゴーレムを作ったり、解体したりえっと、あの...整備したりとかをおこ、行っていきたいと思います。い、一学期では魔術回路のり、理論とかおし、教えていていきたいと、思っています。
い、一年間。よ、よろしく。」
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「授業内容もすごいけど、何より先生たちが濃い。死ぬほど濃い。」
魔術工学と二時間目の魔術史の授業が終わり、武道場で先生を待っているとき、玲がそんなことをこぼした。
「ねー!極度の人見知りと激唱魔神先生。うちの担任も魔術以外てけとーだし、次の魔術武技学どうなるんだろうねー」
魔術史の授業はウィンダム・ウォーロー教師が担当したのだが自己紹介もそこそこに語り出したのはこの世界最初で最強で最恐。旧世界最後の魔女、闇名寒葉について十分間も途切れずに話し続けてた。正直ちょっと怖かった。
「ほら。三人とも。そろそろ魔術武技学始まるよ。」
扉がカラカラと開かれ現れたのは白ローブにくすんだプラチナブロンドの長髪の三十代くらいのイケメンで、クラスがざわざわとし始める。
「やば。イケメンじゃん」
「超格好いい。」
しかし、彼は学園長と似たオーラを薄くまとっている。世界最強に近しい存在だ。そのせいで僕は感情の制御をミスり、一瞬異質な魔力が漏れ出てしまう。仮にもここにいるのは世界の上澄みたちだ。一瞬でも気づく人は気づく。
「ほう。面白い奴もいるようだ。」
先生にはバレたが、周囲にはバレていない。
「自己紹介をしよう。名をナーサー・G・ワカタールだ。先代『剣聖』といった方がわかるというものだろう。」
『剣聖』あらゆる武芸を収めたものが手にすることのできる称号。武術に関していえばほぼ最強と言っても差し支えない存在。
「さて、まずは魔術武技学の概論について語ろうと思う。魔術武技学とは旧世界のころに残された武術書を読み解き、現代の魔術戦に応用する学問だ。旧世界はごく少数を除いて魔術が使えなかったため、こういう武術で外敵を退けていた。かの有名な魔女。闇名寒葉も武術はがっつり使っていたといわれている。しかし今はたいていの人が魔術を使えるため、小規模な魔術であれば無詠唱で使えるし、武術に生かせるのでは、となり、試行錯誤の末できたのが魔術武技学だ。」
そこで先生は区切り、
「と言っても武技学に関しては話すことはほぼせず、毎回実習にすると思う。今日は...私が選んだ生徒と戦ってみようと思う。もちろん時間が余ったら立候補してくれても問題がない。う~ん。そこの君とそこの君と...あと君」
と言って指名されたのは僕だった。
「あいつって...確か魔力はあるのに適性がなくて魔術が使えないやつじゃなかった?」
「だよなぁ。何であんな奴がここに入れるんだろう。」
そういう言葉が聞こえてきたが、先生は気にせず
「じゃあまずは君から。」
と言って一人目に指名した子を呼び出した。




