第二話『入学式②』
「玲!?」
とりあえず各々の荷物を整理して、リビングに集まる。
「二人とも、知り合いなの?」
「入学試験の第三試験が二人組みでちっちゃなダンジョン攻略しなさいってものだったんだけど、
その時に組んだ相方がこの花仙玲だったっていう話。」
「意外と世界って狭い?」
「かもねぇ。」
そんなことより、と陽菜姉が手をたたく。
「まず最初に自己紹介しましょ。これから一年間、この四人で組まされることが多いと思うから。
私は新輝橋陽菜。得意魔術は風と水。専攻は決まってないけどたぶん魔術学に進むと思う。よろしくね。」
と、挨拶を述べ、順番を僕に回してくる。
「僕は新輝橋晴翔。生物学上、陽菜姉の兄ということになっているがほぼ変わらない、双子。得意魔術...というか魔術全般適性がないから扱えない。魔力はあるが。専攻は武学。よろしく。」
「私は風野唯花。得意魔術は風と地。専攻は錬金術。でいいのかな。よろしくね。」
「俺は花仙玲。唯花とは腐れ縁で、得意魔術は雷と物理。専攻は魔術工学。よろしく。」
順々に自己紹介をしてある程度雑談を交わしたところで思い出した。
「今日さ。入学式じゃん。」
「「「あ、」」」
「やっばい遅刻!!」
「と、とりあえずみんなおんなじクラスでよかったね。」
入学式ぎりぎりに教室についた僕らは席が近く、話していた。
ガラガラっという音とともに一人のローブをまとった高齢の女性が教室に入ってくる。
シンっと静まり返った教室の中、音を立てず静かに教壇まで移動し、話し始める。
「やぁ、君たち。これから一年。君たちの担任を務めるミラ・マガだ。気軽にミラ先生と呼んでくれ。担当科目は魔術言語学。一年間、よろしく頼むぞ。
さて、学園長からはいちいちみんなを体育館に集めて式典を開くのはめんd...大変だからリモートでやることとなっている。テレビ、オ~ン。」
そうしてテレビに映し出されたのはこの学園の体育館だった。
『あー、あー。マイク。入ってるわね。』
そうして黒髪碧眼の女性が画面に映し出される。
『新緑が鮮やかになる春の今日この頃、リモートではありますが、入学式を挙行できることをうれしく思います。皆さま。ご入学おめでとうございます。私はこの学園の長を務める、元『天秤座元帥』鳳仙花遥です。よろしく。ところで皆さん、
遺書は書いてきましたか。』
唐突な彼女の言葉に生徒がざわめき始める。
『何を驚いているのでしょうか。入学説明会ですでに説明があったと思いますが、すでにここは死地です。毎回数十名の死者を出しながら、この学園は運営されています。自分の魔力を制御しきれなかった人。研究対象が暴走した人。正気を失った人。さらには異端討伐中に恐怖で殺された人など。私の代でも似たようなことがありました。さらに言うならばこの学園は軍属です。つまりあなたたちはすでに軍に属しているといってもいい。死ぬ覚悟もないような腰抜けはここから去った方がいい。今なら止めないわ。』
みんな動かない。いや、動けない。過度の恐怖によって。
『そう。今回も誰も逃げないのね。とりあえずは合格にしておきましょう。死にたくなければ勉学に全力で取り組み、リスクの少ない方法で自分を鍛えるといいわ。それじゃあ最高で最恐の六年間にしてちょうだい。』
そこからは誰もしゃべらなかった。




