天使の不時着
2026年、天使が地上に不時着した。
ゴリラ、チンパンジー、ゾウが天使を救った。
ゴリラが住処を、チンパンジーが果物を、ゾウが水を渡して天使を救った。
天使が旅立つ時、天使は彼らに知恵を与えた。
すべての動物は平等に造られていること、そして天使の名の下に、ある種の不可侵の権利を与えられていること、これらの権利のなかには生命、自由、幸福の追求が含まれているということである。
6月7日、私は、重い体を起こし寝室をでた。今日は大学の講義で、いつもより足取りが遅い。外は独立記念日のパレードで、賑わいを耳から感じることが出来るほど、盛り上がりを見せていた。それとは対照的な部屋に電気をつけて、お湯が沸騰するまでの間、スマホ片手に窓越しから外を見た。そこには大通りを勇ましく行進するゾウ、背中には大きな檻を背負い、そこには人間が入れられていた。
私は、このパレードは動物が人類に勝利してから130年もの間欠かさず行われた続けていたことに、何やらこの国の虚栄心を感じざるを得ない。
(人間も動物と同じ知性ある生物なのに。こんな扱いはとは例え私がゴリラであっても気分が悪い)
行進するゾウの後には、88mm突撃ライフルや、ハイマースランチャーを保持したゾウ、重武装をしたゴリラやチンパンジーが後に続いた。
カチッ、という音と共にお湯が沸きコーヒーを入れる毎日の日課をこなすと、友人のチンパンジー、ジョンからのメールを開いた。大学の講義の後、独立式典の特別市へのお誘いの事らしい。彼の人懐っこいところはありがたいことで、孤独な私を集団の輪に入れてくれたのも彼だった。私は、軽快な足取りで服を着替え、コーヒーを飲み干し、大通りに駆け出した。大通りは人が溢れ、地下鉄に乗るのにとても苦労したが、これもこれで非日常をたのしんでいた。地下鉄を降りて大学のゲートを通過すると。ジョンが気さくに私のことを呼んだ。
「よう、チャールズ早くしないと講義が始まるぞ」
私も彼の言葉に応えて、彼の元に急いだ。
講義終わりの午後2時ごろ、太陽はまだ空に煌々と居座り、雲が空を闊歩している。私たちは広場の独立式典の特別市に私たちは出向いた。そこにはアフリカ大陸中の様々な珍味、工芸品が集まりこの活気に私の心も自然と高ぶる。その時、私の背後で重い爆発音を全身を通して感じた。振り向く時間も、与えずに、横から、前から同じ衝撃を受ける。私が気がつくとそこは病室だった。その時、その市場では爆弾テロが発生して、私は気を失ったらしい。今、友人のジョンや市場人が無事なのかどうか私にはわからない。このテロは人間のゲリラが起こしたとの報道がテレビを投じて報じられ、この惨状を流布していた。私は、窓の外の夕日を眺めこの国の行く先を憂慮する他なかった。




