2017/4/3 10時58分 口外禁止
※口外禁止 尚、これらの会話は予め録音したものを文字に書き起こしたものである。(被害者の名前は伏せている)
2024/9/26 15時34分 天津とWの会話
あの時の話ですか。なんで今になって、それもどうして私が選ばれたんですか、こんな強引に呼び出して、名前くらい名乗るべきではないですか?(写真を撮る音)これは正当防衛です、もし何かあって警察に届ける際に写真があれば捜査が難航しないので。そりゃ素性の知らない人間に過去のこと掘り返そうとされたら怖いでしょ…(説得して20分)分かりましたよ、天津と言うんですね、では天津さん、せめて私が話さなければならない理由を教えて下さいよ。言えないってそんな…。(さらに説得すること15分)もう分かりました、どうしても話さないといけないんですね、…分かりました、話します。
あれは高校時代、7年前の話です。M君は私と同じクラスの子で、2年生になって緋暮町というここからは少し離れた町から越してきました。なので中々学校の雰囲気に馴染めず基本1人で行動していました。はい、彼はどんな子か、そうですね…第一印象ではだいぶ不思議な子でしたよ。ずっと1人小さな声でぶつぶつ小言を言ってるんです。まるですぐ横に友達がいるような感覚で、姿勢はいつも若干斜めを向いていて、まっすぐ座れと何回先生に注意されていたことか。それに、授業中にスマホで何枚も写真を撮りだすんですよ。彼は遮光フィルムをスマホに貼っていたので何を撮ってたのかは分からなかったのですが、先生の板書を写すためでしょうね。私の学校はスマホの使用が認められていたのであまり怒られはしないのですが、先生の板書は著作権の問題があるので先生によっては写真の許可を取らないといけないなんてこともありました。カシャッの音のたびに教室が少しざわついてたのは良い思い出?なのかな、ある意味思い出です…はい、そうです。私は2年次、3年次と彼とクラスが同じで、2年次、3年次のクラスLINEのグループにも彼は入っているのですが、当然彼はLINEグループでもダンマリを決め込んでましたね。彼とはほとんど会話なんてしたことがありません。座席的に私の斜め前に彼がいるのですが、授業のペアワークでも同じになったことないですし、あまりにも関係性が薄い。まぁ皆彼とは関係性が薄いと思いますけど…はい、その後ですね、大学受験も終えみんなが大学生になる前の束の間の余暇を楽しんでいる時に、3年次のグループLINEにある動画が送られてきたんです。そうですね、それの送り主はM君でした。5分の動画で、割と長尺だなと思ったのを覚えています。動画の内容は、私たちのクラスの思い出をまとめたホームムービーのようなもので、クラスLINEで作成されたアルバムの中から写真を選んで動画を作ってくれていました。ただ編集がとびきり上手というわけではなく、写真や動画が切り替わる時にブツッ!というノイズのような音が混ざっていたり、写真の切り替わりが早すぎて何の写真なのか分からなかったりしたのですが、みんなのためにここまで頑張って作ってくれたその優しさにとても感動しました。文化祭準備の写真から始まり、文化祭、遠足、体育祭、入試前の緊張感ある教室、入試終わりの和気あいあいとした教室、卒業式とこの一年をギュッと5分に凝縮した動画で、なぜあそこまで内向的だったM君がこれを?と少し疑問も湧いたのですが、そんなことは気にせずこの動画が送られてきて1時間後には私も含めみんながM君にありがとうと感謝の文言を送っていました。だからM君が事故で亡くなったという話を聞いた時はびっくりしたんです、これから同窓会で会った時にあの動画のことについて話せるんじゃないかって、みんな面と向かってありがとうと言いたかったと思います。上手とは言えないまでもとても手の込んだ作品だったんですから。最後に好感度を上げるだけ上げて、いなくなるなんて。悲しくて忘れたい過去ですよ、まさかもう一度掘り返すことがあるなんて。
2024/9/27 14時02分 天津とYの会話
M君についてですね。分かりました。彼は3年次に私と同じクラスで、隣の席でした。話したこと、ですか、そうですね…ほとんどありません。彼は基本独り言を言ってるので、授業のペアワークの際も彼とは話しませんでした。話せなかった、の方が正しいですね。何というか、彼の世界に干渉してはいけないというか、彼のテリトリーに入るのは気が重かったですね。どんな独り言を言っていたか、そうですね…印象に残っているのは、お昼休みに本当に小さな声で、斜め前あたりをじっくり見ながら「赤くなる、赤くなるよ。」と急にぶつぶつ言い出した時ですかね。7年前の記憶で曖昧ですし僕の聞き間違いかもしれませんが、そんな文言でした。あれはかなり怖かった。何かに体でも乗っ取られているんじゃないかなと、びっくりしました。彼が亡くなってしまった理由も、どこかスピリチュアルな理由な気がしてならないです。人間の暗示って凄い力があるじゃないですか、こっくりさんだってそうです。こっくりさんの存在を信じることで暗示がかかって本当に指が文字に向かって勝手に動いているように見える。思い込みが人を狂わせることだってあります、僕はM君がそんな暗示にかかった気がしてならないんですよ。聞いた話ですが彼は亡くなる少し前にLINEグループに何か思い出ムービーのようなものを上げたんですよね、あぁ、私はLINEグループに入ってないので知らないんですよ。いやぁ、そんなこと彼がやるとは到底思えない。私は絶対彼に何かあったと思っています、独り言をよく言う子だったので頭の中で思考を巡らせすぎて自己洗脳にでもかかったのではないか。そうですね…今になって遅いですが何か私が話でも聞いてあげれば彼の未来も変わったのかなと後悔しています…
天津のメモ(2024/12/2時点)
・Mは死亡する直前、緋暮町にて電車の踏切内に入り手を大きく広げていた。また、「赤くなれる、赤くなれる、赤くなれる」と何度も繰り返し叫んでいた。(目撃者談)
・クラスLINEに送信された動画について
計89回のノイズ音について、0.0625倍速で視聴したところ、ノイズ音ではなく、「しのう」との発言と判明。
→死のう?
0.03125倍速で視聴、問題の写真を5枚確認
①赤色の背景に白色で「あ」の文字を確認
②赤色の背景に白色で「か」の文字を確認
③赤色の背景に白色で「く」の文字を確認
④赤色の背景に白色で「な」の文字を確認
⑤赤色の背景に濃赤色で「る」の文字を確認
・Mの写真フォルダについて
Mのスマートフォンの写真フォルダのデータを確認、1206枚の写真を確認、内783枚が教室で自撮りを撮っている。また、自撮り写真の全てにWとYの姿を確認。また、783枚の全てにおいてM、W、Yは顔を赤色で塗りつぶす加工が施されており、WとYにおいては後日話を伺うこととする。
・「赤くなる」について
Mの生まれ故郷、緋暮町の風習「緋塗り(ひぬり)」…葬式の際故人の顔に朱色の絵の具を塗る風習。毎年故人の亡くなった日に自身の顔へ朱色の絵の具を塗ればその日限りは故人と話すことができるという言い伝えがある。昔、緋暮町には生け贄として神へ人を捧げる習わしがあり、生け贄は顔に朱色の絵の具を塗っていた。朱色の絵の具を塗ることで緋塗様が乗り移り苦しい思いをせずに済むという。そして生け贄には次の生け贄を選ぶ権利があるという。また、複数人が生け贄となる場合もある。その習わしが形を変え現在の風習となっているという説がある。
→「赤くなる」と関係がある?
・2024/10/18 Wが死亡。死因は車との衝突による事故死。緋暮町にて起こる、なぜ緋暮町を訪れたかなどの詳細は不明。
・2024/11/02 Yが工事現場の鉄製品の落下に巻き込まれ意識不明の重体。こちらも緋暮町にて起こる。
Wの遺留品を調べたところ、スマートフォンの写真フォルダに私の写真を確認。(2024/9/26に撮影された写真)私の顔を赤く塗りつぶす加工が施されていた。