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三本の聖剣と司教さま〜巡る勇者の宿命を超えて〜  作者: SSS


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第47話 再会

 

 くそっ・・・。


 一体、なんなんだ。


「ぐっ・・・?!」


 苛立ちに反応するように紋様は強く輝くと、再び左腕に痛みが走った。


 ズシン、ズシン・・・。


 目の前に棍棒を振り上げる二体のオークが迫る。


 遅い。


 だが、重い・・・。


 体を持ち上げた瞬間、普段ならありえないほどの抵抗を感じた。


 まるで見えない鎖に縛られているみたいだ。


 それでも足を踏み込み、寸分違わぬ軌道で掌底を放つ。


「はっ!!」


 衝撃とともに、オークの腹部が爆ぜた。


 肉と骨が破裂し巨体が後方へ吹き飛ぶ。


 次の瞬間、全身の力が抜けた。


 呼吸すらままならない。


 膝が崩れ、地面に倒れ込む。


 おかしい。なぜだ・・・!?


「グオオオオオ!!!」


 大地を揺るがす叫びとともに、巨大な影が覆いかぶさる。


 山のような巨大な棍棒が横から迫る。


 くっ! ガードを・・・!


「がっ・・・?!」


 胴体を打ち抜かれ、視界が揺れる。


 石ころのように地面を転がるなか、悟った。


 これまでのようなダメージがない。


 だが、体は鉛のように重い。


 重い足取りでこちらに歩み寄るオークをよそに、どこまでも広がる青空を見つめていた。


 ・・・副作用だ。


 何かしら身体的な制限が課せられるだろうと踏んでいたが、今回は違う。


 初めの戦闘では微かに光っていた紋様は、今は鮮明に輝いている。


 此度のループの代償は、単なる肉体の損傷ではなく、戦闘そのものを制限するものだったんだ。


 いくら能力値が上がっても、このままでは魔王にたどり着く前に動けなくなる。


 それに、魔王の衝撃波はあらゆるスキルを無に帰す。


「・・・皮肉なものだな」


 忘れていたはずなのに、最後のループで思い出すとは。


 ・・・・・。


 ・・・そうか。


 初めから無理だったんだ。


 運命に抗うなんて、無意味なことだったんだ。


 時を戻せるスキルを使えると分かって、未来を変えられると本気で思っていた。


 でも、そもそもそんなのは無理な話だったんだ。


廻天(ループ)』の力は、徐々に俺の身体の自由を奪うことで遠回しに警告していたんだ。


 未来は変えることができない。


 受け入れろと・・・。


 カルマナ(おまえ)に笑い物にされる光景が目に浮かぶ。


 もういいか。


 俺の中で、パキンと何かが折れた音がした。


 もはや考える意味も無くなった。


 もう、立ち上がれそうもない。


 不器用なりに色々もがいてみたけど、駄目だったよ。


 結局はお前を傷つけてしまうだけだった。


 救うことができなかった。


 本当に済まない。


 ロザリア・・・。


 オークの巨大な足が奏でる地震のような地響きに耳を傾ける。


 そして、そのままゆっくりと目を閉じた。


 足音がすぐ近くで停止する。


 魔物の吐息が混じる生温かい風がほのかにそよぐ。


 どうせ死ぬなら一瞬がいい。


 この馬鹿げた能力値ではそれすら無理か。


 禁忌を犯した俺には、一瞬で死ねるなんて慈悲は与えらえないんだろうな。


 甘んじて受け入れよう。


 全ては、運命を弄んだ俺が悪いのだから・・・。


「カインさん!!」


 誰かの叫び声と同時に、何かが激しく衝突する音が響き渡った。


 うっすらと目を開ける。


 目に飛び込んできたその姿に驚きを隠せなかった。


 そんな、馬鹿な・・・。


 あり得ない。


 俺は、お前に出会わない道を選択したはずだ。


 お前との縁は断ち切ったはずだ。


 それなのに、どうしてお前がここにいるんだ。


「カルマナ・・・」

「あなたはこんなところで諦めるような人ではありません!」


 カルマナは巨大な棍棒を聖剣で難なく弾き返した。


 そして、ゆっくりとその鞘を抜く。


 日の目を浴びた刀身は、まるで意思を持つかのように強い光を放っている。


 その力強い輝きは、オークの巨大な足を後退させるには十分だった。


「大司教として無益な殺生は避けたいところですが、あなたの大罪を許すわけにはいきませんからね」


 カルマナは聖剣を構え、棍棒を振り上げるオークに狙いを定める。


「私の大切な人に牙を剥いたこと、後悔してください!!」


 素早く振り抜かれた剣から聖なる光を帯びた衝撃波が発生し、オークの巨体をいとも容易く真っ二つにした。


 二つに分かれ地面に倒れた巨体が大きな地響きを起こし、砂埃が舞い上がる。


 カルマナは一息つき、ゆっくりと聖剣を鞘に収めた。


 そしてこちらを振り向き、ニコッと笑って見せる。


「お久しぶりですね。カインさん」


 その一言に、心臓が強く鼓動を打った。


 そして、女神のような慈愛に満ちた笑みを見せるカルマナの姿に、光を失ったはずの心の底で何かが一瞬だけ波立つように感じた。

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