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三本の聖剣と司教さま〜巡る勇者の宿命を超えて〜  作者: SSS


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第41話 開かれし扉

 

 王都ドルガリスの最北端に位置するアルカナム大聖堂。


 魔王の住む異空間への扉を開く『開闢の儀』時のみ解放される場所だ。


 各国の王や司教たちに見守られながら、厳かな雰囲気のなかロザリアの背中を見つめていた。


 ロザリアが放るように五つの宝玉を空中へ放つと、宝玉は淡い光に包まれ彼女の前に一列に並び静止した。


 しばらく宝石のように煌めくそれらを見つめていたロザリアは、数歩下がって両手を合わせ祈りを捧げた。


『無窮の天より舞い降りし光の御霊よ 我に眠る神勇の輝きを解放し ここに積歴の軌跡を照らし給え』


 詠唱を終えたロザリアが手をかざすと、弾けるような音が響き渡り、まばゆい光が聖堂内を満たした。


 すると、ロザリアの前に巨大な光の扉が出現していた。


「頼んだぞ。私たちは、お主たちが無事に悲願を達成するのを祈ることしかできない」

「エルドリック王・・・」

「それでも言わせてほしい。これで終わりにしよう。渦巻いた積年の念をお主たちの手で断ち切るのだ」


 悔しさを滲ませながらも激励の言葉を送るエルドリックに、ロザリアは力強く頷いた。


「はい。必ず」


 フリードが軽快にロザリアの肩を叩いた。


「大丈夫だ。俺たちがついてる」

「うん。ありがとうフリード」


 隣に並んだヴィオラがフリードの尻を杖で叩いた。


「あんたが言っても心配が増すだけよ赤毛猿」

「なんだとぉ?! 誰が赤毛猿だ!!」


 ヴィオラは鼻で笑いながら一足先に光の扉へ消えていった。


 フリードも追いかけるように中へ入っていく。


「さ〜て。久しぶりに気合い入れようかな。マイハニーを死なせるわけにはいかないからね」

「もう。煽てても何も出ないよ?」

「褒美なら、もうとっくに受け取っているさ」


 ジュリアンは、困ったように笑うロザリアに向け爽やかにウィンクすると、ひらひら手を振りながらフリードたちに続いた。


 ロザリアは一呼吸置き、俺たちに向き直った。


「それじゃ、先に行くね」

「ああ。俺たちもすぐに後を追う」


 堂々と光の扉をくぐるロザリアの背中を見送る。


「ようやくこの時が来ましたね」

「そうだな。過程がどうであれ、なんとかここまで辿り着くことができた」

「カインさんの願いはきっと叶います。いいえ、むしろ私が叶えて差し上げます。偉大なる大司教さまの私が」

「まぁ、それなりに頼りにしている」


 そう言うと、カルマナは頬を膨らました。


「何ですかそれなりって! 私の援護がなかったらここまで来られませんでしたからね?!」

「はいはい、そうだな」

「ちょっと! まだ話は終わっ・・・」


 喚き散らすカルマナの背中を押し、光の扉へ放り込んだ。


 振り返ると、ジュリエットは緊張した様子で俺を見つめていた。


「皆様、さすがですね。私は怖くて仕方ありません」


 ジュリエットは腰に下げた双剣を握りしめる。


「剣、新調したんだな」


 黒い鞘に収められた双剣の翡翠の柄が美しく、真っ赤なルビーが目を引く。


「『双剣ブルータス』。お母様が昔、一度だけ使用したものだそうです。使いこなせないと分かってすぐに使用するのを止めたけど、なかなか捨てられなかったんですって」


 エレノアは双剣に憧れていたのか。


 ああ見えて意外と茶目っ気があるんだな。


「見事な逸品だ。しっかりと手入れをしていたのが見て取れる」


 しかし、剣を握るジュリエットの手は震えていた。


「本当に、魔王を倒せるのでしょうか? 私たちは未来を切り開くことができるのでしょうか・・・?」

「お前は目を見張るくらい成長した。肉体的にも、精神的にもな。自分に自信を持て」

「本当にそうでしょうか? 私は、お師匠様やカルマナ様に助けられてばかりで・・・」


 か細い肩をそっと持つ。


 滑らかで華奢なその肩は、今にも壊れてしまいそうなほど脆く感じた。


 そんな儚さを払拭するように強く抱く。


「それはお互い様だ。義肢が壊れた時、お前はずっと俺の半身の代わりを担ってくれた。お前がいなかったら、俺たちはクルーザスト山脈で死んでいたかもしれないんだ」

「お前はライオネルとエレノアの血を引き、とても優れた才能を持っている。あの二人の娘なんだ。弱いわけがない」


 ジュリエットは才能に満ち溢れている。


 いつしか本当に俺の横で同じ景色を見るに至る。


 いや、俺なんかよりずっと高いところから世界を見渡せる日が来るかもしれない。


 そんな予感を感じさせる。


「それに、お前はロザリアたちにも誇れる俺の自慢の仲間だ。だから心配するな」

「お師匠様・・・」


 ジュリエットの震えが止まった。


「そうですね。私はお父様とお母様の娘。お師匠様もいてくれる。何だってできますよね」

「ああ。俺の背中は預ける。頼んだぞ」

「はいっ!!」


 互いに差し出した拳をこつんと当てると、ジュリエットは駆け足で扉の中へ消えていった。


 まだ少し温もりの残る拳を見つめる。


 そうだ。


 今回は今までとは違う。


 今度こそ掴み取ってみせる。


 ただ一つ俺の望む未来。ロザリアを失わない未来を。


 ロザリアだけじゃない。カルマナもジュリエットも、俺が必ず守ってみせる。


 強く心に誓い、拳を握り直し、覚悟を決めて光の扉の中へ身を投じたーーー。

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