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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

卒業パーティで断罪をしない王太子とピンクブロンドの平民学生の顛末

作者: 山田 勝

 勇者様がいました。

 聖女様と出会い、

 二人は旅を続けます。

 魔道士、剣聖、ポーターと合流し、

 旅を続け。

 魔王城で魔王と戦い勝利しました。



『爺や。魔王はどんな悪い事をしたの?』


『殿下、とっても悪い事をしたに違いありません』



 何故、今、この会話を思い出すのだろう。

 私はこの国の王太子ヘンドリックだ。

 今は卒業パーティ会場で婚約者アルテシアを待つ状況だ。


 いつもはエスコートをしているが、今日に限って具合が悪くて遅れて来るそうだ。

 そう言えば、顔色が悪かった。


 まあ、どうでも良い。


 アルテシアが来たな。


 さて、始めるか。





 学園のパーティの中央に王太子殿下と平民の女学生がいた。

 女学生はピンクブロンドにピンクのドレス。

 ひときわ目立つ。


 パーティ中に、王太子が婚約者を呼ぶ。普通の光景だが、皆の耳目は集まる。

 不仲がささやかれていた二人だからだ。




「アルテシア、前へ」


「はい、殿下、何でございましょう」


 令嬢教育で培った表情が読めない顔だ。

 もう、何年会話をしていないのだろうか。

 少なくても、学園で二人が会話している所を見た者はない。



 周りの学生達も事の成り行きを見守る。

 これは事変か?


 しかし、王太子殿下の第一声は穏やかな声だった。



「実は今までの事謝罪をしたいのだ」


 ちょこんと頭まで下げた。



「・・ぇっ」


 今、アルテシアは一瞬、驚きの表情だった。

 思わず扇で口元を隠す。



「すまない。今まで平民学生サリーにかかりきりだった」


「そ、そうですわ。婚約者のいる殿方に近すぎると注意しましたわ。それが何か?」


「アルテシアの言い分、もっともである。反省する」


「サリー、アルテシア様に言われて反省する感じ~ぃ」



「ですが、サリー様に、厳しく詰問もしましたわ!イジメ・・・られていると言わなかったのですか?」


「サリサリ~、反省する。愛のムチってな感じぃ~」




「私だけではありません。他家の令嬢たちがサリー様を取り囲んでいました。皆、私の派閥の令嬢ですわ」


「分かる。分かるぞ。思わず注意したくなる属性があるな」


「そーなの。サリサリ~、妹キャラなの」


「わ、私がサリー様と階段でぶつかり。落下したと噂が流れていますわ」


「それはサリー嬢本人から聞いた。ただの噂だ」

「サリサリ~、知らない」


「もしかして、誰かが意図的に流したのかもしれないな」


「私は謝罪しませんわ!」

「うむ。当然だ。嫉妬したと思えば可愛いものよ」


「サリサリ~、気にしていない感じぃ~」


「嫉妬ですって、誰が貴方に・・・いえ」



 ここで、ヘンドリックの義弟第2王子セドリックが出てきた。驚きの表情だ。


 優越感を感じている者は、下に見ている者の前では表情を隠さない。

 困惑をしている表情が周りの生徒も分かった。


「あ、義兄上、いったい、何の茶番ですか?」



「セドリックよ。何故、お前がしゃしゃり出てくる?」


「ですから、義兄上が、王位を継ぐには、宰相であるゲルーデル公爵閣下の後ろ盾が必要です・・・えっ」


「その通りだが、何を当たり前の事を言うのか?」


「何故、サリーを特別視するんですか?」


「はあ?サリー嬢は才媛だぞ。俺と同じSクラスだが?生徒は俺とサリーの二人だけだけどな」


 Sクラス、卒業程度の学力があると判定され、卒業までもっぱら研究に専念する。

 アカデミーに行ける学生が入るクラスだ。


「それは義兄上が教授たちを脅して入れさせたとの噂です」


 パチン!


 ビンタをした。


「それは、教授達に対する侮辱だ。サリー嬢は三次方程式を解ける」


「そーだからね。サリサリは賢いんだからね!」



「う、嘘だ!嘘だ!こんな馬鹿丸出し女」


「あ~、人に馬鹿と言う方が馬鹿な感じ!」


「うむ。セドリックとアルテシアは仲良くAクラスか。だから、あまり顔を合わせなくなったな。でも、久しぶりに、こうして、パーティで会えたのだ。親交を深めよう」


 ビクンとアルテシアが震えた。

 そうだ。こいつらはSクラスには上がれなかったのだ。


 数代前の王族で成績が悪い者がいた。

 下から数えた方が早いレベルだ。だから、成績の公表は中止になった。


 しかし、教授たちにはプライドがある。たとえ、王族でも点数の水増しはしない。

 クラスは身分別だ。Aクラスは王族、高貴族の子弟が集められる。

 皆はお互いの成績は知らない。


 驚いただろうな。無頼を働いている俺がSクラスだなんてな。



「殿下は市井に出て遊び回っていますわ」

「そうだが?研究の一環だ。何か悪い事はあるか?」


「しかも、レストランや商店を襲撃したり。評判が悪いですわ」

「そうだ。あげ底皿や秤を誤魔化している商会を懲らしめた。度量に関する法令を作る必要があるな」


「そんな些細なことで」

「些細な事だが平民にとって大きいぞ。サリー嬢や下位貴族たちから教えてもらった」


「サリー様と男女の仲になってい・・・いる・・のではなくて」

「だから、それはない。なあ。サリー嬢」

「そーだからね。サリーに王妃なんて無理だからね!」

「そうだ。教授たちから誘いを受けている。アカデミーで研究職に就きたいそうだ」

「そーだからね!」



「あ、義兄上は無頼の徒を集め。戦争ごっこをしております」

「そうだが?職にある者が昼間から遊べるか?だから職のない者を集めて給金を払って戦術を試しているのだ」


「戦争?不穏ですわ!」

「おい、おい、君の父君、宰相閣下も賛同され、石投げ大会に賞金を出すと決まったではないか」


 宰相は俺が遊ぶと言うと金を出す。俺はとっても悪い事をしていると思われる方が良いのだ。

 王妃の兄君だからな。

 そして、正妃腹の第二王子と従姉妹アルテシアが結婚をすれば盤石の体制だ。



「でだ。セドリックよ。今まで良くアルテシアの相手をしてくれた。これからはエスコートだけではなく、きちんと会話を試みる。アルテシアを返してもらおう」



「そんな。愛のない相手と結婚なんて、アルが可哀想です」


「これは政略結婚だ。愛などこれから育てるものだ」


「僕たちの愛は、真実の愛です!」


「こ、婚約破棄を宣言しますわ!」



「それは亡き陛下が決めたことだ。理由を示してもらおう」


「で、殿下はとっても悪い事をしているに決まっていますわ!」

「アルテシア様、行きましょう」



「さあ、皆の者、パーティを続けてくれ」




 ☆☆☆



 男子が生まれない父上は伯爵令嬢を側妃に迎えた。

 俺が生まれて半年後に王妃は出産された。


 第2王子セドリックだ。

 母上は宮中の嫉妬に耐えられずに実家に帰ってしまわれた。

 俺は一人王宮に残った。

 でも、父上は俺を愛してくれた。


 後ろ盾が必要と公爵令嬢との婚約を結ばれた。


 しかし、

 初めてのお茶会でのアルテシアの第一声は、


『ねえ。妾腹の王子って貴方?』


 だった。


 今になって分かる。子供は大人に影響される。親の言うことを真に受けたのだろう。


 お茶一杯だけ飲んだら席を立つ。

 王宮ではセドリックと過ごす方が多いくらいだ。


『グスン、グスン』


 絵本もオモチャもあるが孤独だった。


『これは?何で中に穴が空いているの?』

『ドーナツでございます。そのような物でございます』


 俺はドーナツをヒモで宙に吊して、槍の練習をした。

 空洞を穂先でつけるように演練をした。

 武芸を習ったが槍が1番しっくり来る。


 体を動かすのはいい。気が紛れる。


『ヘンドリックよ。精が出るな』

『父上』


 父上は愛してくれたが、忙しい。滅多に会えない。

 父上に褒められたくて勉学にも励んだ。


 しかし、そんな父上も俺が学園に入った年に崩御された。


 義母上が王代理で、その兄であるグレーデル公爵が宰相の体勢で俺の成年を待つ。

 公式発表だ。


 しかし、

 不穏だ。実の子を王位につけたいに違いない。

 俺の側近候補たちは次々に離れていった。

 あからさまにセドリックに近づく。


 そんな中、サリーと出会った。

 王妃になれるかもとそそのかされたらしい。


 実際、令嬢付きのメイドがやってきて。いきなりスカートを巻くって既成事実を作ろうとした者さえもいた。


 裏に大勢力の意図を感じる。


 うんざりしていたが、サリーは違った。


『推し。推しよ!初めまして平民サリーでございます!』

『もうよい。帰れ。私は婚約者がいる身だ』


『話だけでも聞いて下さいよーー』

『ええい。平伏するな。すがりつくな!』



 何でも、俺は異世界の恋愛小説で、暴虐王として、悪役令嬢アルテシアとヒーローのセドリックに討伐される存在?


『そーなんですよ!悪役令嬢が主役の小説です!殿下はラスボスだからスペックは高いですよ』


 そう言えば、武芸に関しては、大人の騎士と戦える。


 狂人か。だけど、妙に現状把握をしている。

 この学園に特待生で入れるくらいだから、頭が良いのは確かだ。


 策に乗ることにした。





『策その1!高い所に登る!』



『何?殿下が木に登っているわ』

『馬鹿と猿は高い所を好むって言うな』


『殿下、頑張れー』

『平民学生と一緒だ』



 これは侮られるようになったが、真心の諫言をしてくれる者や


『殿下、そのような奇行はお止め下さい。落ちたらどうするのですか?』


 何か意図を察して近づく者が現れた。


『殿下、もしや、気がつかれていますか?』



 その者たちと交流を結ぶ。




『策その2!街中で無頼を働く!』



『何だ。この店は、秤を誤魔化しているな!』

『そんなことございませんよ。言いがかりだな』

『はあ、これが、王宮にある秤だ。明らかに軽くなるようにしているな!』


『なんだ。このレストランは皿の底が盛り上がっているぞ』

『どこもやっているよ!』

『なら、やっているところを教えろよ』




『策その3!戦争ごっこをする!』


『何だこれは、網みたいだな』

『へへへへ、石投げ器です。これで、オランダの市民兵が当時の強国スペインの騎士団を破った兵器です』

『おらんだ?そんな国は大陸には存在しないが・・・』


『この投石器は一人で扱えて、結構大きな石を投げられるんですよ』


 賞金を出して、的に当てたら出すと情報を流した。

 ゾロゾロと人が集まって来る。




 彼女の策は奇妙なものばかりだ。



『この小説、殿下が婚約破棄をしなければ勝ちなのです!』

『するものか!』


 王都郊外で石投げ大会を開いたり。不良商人を叩いていたら、王妃と宰相は上機嫌だ。



『策その4!勉強はちょっとチートする!』



『な、何だ。この公式は精妙だな。美しささえ感じる。何故、そのピンク頭から出てくる』

『へへへ、大学の受験シーズンに転生をしたから頭に入っています。これで少しは数学が楽になります』




 その頃から、王妃陣営はおかしいと気がついたようだ。


 セドリックとアルテシアはA級クラスだが、



『殿下の名がAクラスにない。やっぱりな。成績悪すぎて退学か。これは政局が動くぞ』

『あれ、Sクラス開設?今年から該当者が出たんだ。へ、殿下と平民の二人?』

『賄賂に決まっているわ!』


 二人は辛うじてAクラスだ。

 いつも二人で出かけているからな。


 サリー曰く。


 二人は敵がいて成長するタイプだそうだ。

 俺がアルテシアをぞんざいに扱わないからこうなったのだろう。


 セドリックにはまだ婚約者はいない。アルテシアと婚約をするつもりだ。


 俺はパーティでアルテシアのエスコートだけはきちんとする。

 しかし、会場に入ったらすぐに離れてセドリックの元に満面の笑みで向かう。


 まあ、いいけどな。





 ・・・・・・・・




 パーティが終わり。王宮に戻ると王妃である義母上が詰問する。


「ヘンドリック、婚約破棄をしたそうですね」

「いえ。アルテシアの方から婚約破棄を宣言されました」


「いいえ。確かにそう聞きました。これに署名をしなさい。田園風景が穏やかな所であの平民と暮らせるようにしました」


「私はアルテシアの方から婚約破棄を宣言しましたと言いましたが?」


「うそ。仰い!アルテシアを虐待しているとカゲから報告があがっています。あの子、可哀想に、私の姪・・・・ちょっと、何をしている。痛い。衛兵!」



「聞く耳を持たないなら、耳は必要ございませんな」


 ブチィ!


「ヒィーーー!」


 両耳を引きちぎった。


 こうやって、人を型にはめようとする奴は大嫌いだ。



「お兄様が、貴方を討ち取ります!これは謀反です!」


 ドゴ!


「ウゲ、ゲホ」


 倒れた義母上に蹴りを入れ黙らせた。俺、こんなにこいつが憎かったのか?



「聞け!亡き陛下の遺言なら、成年に達した後、俺は王位を継ぐ。今日、学園を卒業した。俺が成人した日だ!故に、これは正当な征伐である!」



「殿下・・・いや、陛下・・」


 王宮に残っている騎士を集めて、王都郊外に出る。


 軍隊は権限のある者が書類で命令をすれば動く。

 渋々だが、王宮騎士たちが俺に従ってくれた。


 総勢数百人か。向こうは数千だな。騎士1000に兵が3000人というところか?

 王都防衛軍だ。向こうは宰相権限で動かしたな。


 お、きた。サリーと貴族学園の俺派が人を集めてくれた。



「殿下!いや、陛下、市民達を集めたからね!」


「どうも、王都投石倶楽部です」

「貴族学園投石研究会も参上しました!」


「よお~し、騎士を倒せば一人につき金貨一枚、兵は一人銀貨3枚でどうだ?」


「宜しいです」

「やるぞ!」



「よお~し、馬防柵を造れ!」

「「「「オオオオオーーー」」」


 馬防柵と言っても、木の槍を敵陣に向けて斜めに立てるだけだ。

 それだけで騎馬は止るのだそうだ。



「敵陣から一騎出てきます」

「一騎打ちを所望です」



【ア~ハハハ、王宮の飾りども。出てこいや。俺様と一騎打ちをしよう!】



「ほお、騎士団長、誰が出る?」


「そりゃ、1番強い者でしょうな。しかし、希望者がいなければ無視が宜しかろうと思います」


「なら、我だ。槍で出る。コツを教えてくれないか?」


「はあ、陛下が直々に?・・・そうですな。目をつきなされ。相手は体中を鎧で覆っています。兜の目の部分だけはむき出しです」

「そうか、助言痛み入る。槍は、これでいいか」


 木の槍を手に持つ。馬でかけより。

 あ、こいつ、俺の側近候補だった奴だ。


「ハハハハ、正義騎士団1番隊長ルド、暴虐王子を討ち取って名を大陸に響かせる!!」


 グサッ!


 目を突いた。俺が暴虐王子なら、成長したセドリックやアルテシア以外に負ける道理がない。



「あれ、一騎打ちで勝ったのに静かだな」



「殿下、いや、陛下、どこで槍をお習いに?」

「子供の頃、武術教育でならった。さすが、老練の騎士マリオスだ。これからも助言をしてくれないか?」


「仰せのままに、我が陛下!」




「「「「「オオオオオオオオオオーーーーーーーー」」」」






 ・・・・・・・・・・・



 戦は一戦で終わった。公爵は戦死、公爵邸を焼き払ったら皆戦意を喪失した。


 これからは騎馬の運用を考えなければならない。投石でバタバタ倒れた。防御力の無さは想像以上だ。必要なのは確かだが、それは軍部に任せよう。






 俺は無事に即位して王宮にいる。

 中立の家門から妃を迎えて王国を盤石なものにするか?


 最初の命令は、


「セドリックとアルテシアに毒杯を授けよ」


「御意」


 死刑だ。


 だが、これでいいのか?


 すっかり、馬鹿な話し方をやめたサリーはまたもや意味不明な事を言う。



「プロットはここまでです。今まではプロットの改編でなんとか行きましたが、これからは陛下の考え次第です」


「そうか・・・我は王、何でも好きに出来るのだな」


 これから、粛清の嵐になるであろうな。



「陛下!・・・毒杯、問題が発覚しました。アルテシア様、妊娠をされています」

「確か。妊娠中の女性は死刑に処さないとあったな。お腹の子供には罪がない。いや、昔は奴隷にしたのだっけ」



 そうか。だから、学園のパーティで焦っていたのか。


 おそらく、お腹が目立つギリギリだったのか?そう言えば、具合が悪そうだった。つわりというものか?

 俺が婚約破棄をして、真実の愛で結ばれた相手、アルテシアとセドリックが結婚して王に即位する。


 そんな筋書きだろう。


「ヨシ、毒杯は少し待て、出産するまでに法令を変えるぞ」



 反逆罪、本来なら死刑だ。

 法令を少し変えた。



『反逆罪は死刑に処す。但し、その他重大な事項があればその限りではない』


 但し書を入れた。

 まあ、王の気分次第ということだ。



「ヒック、ヒック、グスン、グスン、私は子供を産める女です。陛下の子を産ませて下さい」

「良いのか?あれほど蔑んだ妾腹の子を産むことになるのだぞ」


 少し、意地悪を言った。


「私はセドリックに脅されましたわ。愛しているのは陛下だけですわ」

「ヒドイ、離宮で愛を誓い合ったではないですか!?」



 俺は甘くささやいた。


「ほお、セドリックの子がお腹にいた理由を説明して納得すれば助ける」

「はい、義兄上!」

「まあ、愛しておりますわ」


「そーです!実は・・」




 ・・・




「そうです。アルテシア様が子を産めるかどうか僕で試したんです」

「え、そうよ。これから、陛下と子作りします。今からしますか?」



 少し、甘くささやいたら、増長を始めた。

 これは殺した方が幸せになるのか?


「許してやる」


「あ、有難うございます。愛妾で結構ですわ」

「これからは義兄上の臣下として身を捧げます」



「いや、それはダメ、命を助けるということだ」


「え、メイドは?」

「あの、役職は?」


「ない。真実の愛を全うすれば少しは考えた」


「そんな」

「ヒドイわ」


「元王妃のところにいけ。田園風景が良い所で毎日畑仕事が出来るぞ」


 これは、元王妃が俺を懐柔しようとした策をそのまま使った。平民の別荘のような言い方だったが、

 実際に、調査をしたら、荒れ地だ。耕さなければ飢え死にだ。


 俺も恨まれていたのだな。


「馬車でお送りしろ」

「御意にございます」






 王宮のアカデミーに行った。

 サリーが詰めている。


「サリー!策を述べよ!粛清をしなくて済む策を!」


「え~、そうきましたか・・・でも、公爵家とその寄子の家門の領地で王国の6分の1になります。

 今、この時代で中央集権化は無理です。郡国制にしましょう。中央集権化と封建制半々です。

 それには・・・」



 サリーの策に乗った。公爵家の領地は没収、王家直轄地にする。

 役人で治めさせる。ちょくちょく異動させて、既得権益化するのを防ぐ。


 教育を受けた人材が多く必要になる。



「これで、粛正をする暇がなくなる。公爵家の一族は、領地の配置を換えて、下級役人だ。貴族の三男、四男がスペアとして家で飼われる状態もなくなるぞ」


「で、アルテシア様とセドリック様はどうしたのですか?」


「あ、それ、野に放った、苦境を与えれば成長をする。二人の子供が俺に挑むならそれもよしだ」


「一応、カゲをつけます」


「ところで、サリー、俺の事、どう思っている?」

「推しです!推し以外にあり得ません」

「分かった。アカデミーで実績を作れば結婚しよう」

「キャ、サリサリ~、嬉しいかも」


「おい、その話し方やめろ」



 5年後、王国の体制は盤石になった。

 公爵家の資産が多くあり。

 平民学校の創設、度量に関する法律の整備などに使った。地道だか、後に大きく国力を増す要因になる。


 教育を受けた者が多くおり。度量を誤魔化さないから商業が発展した。


 その実績のカゲにはピンクブロンドの平民出身の女官がいた。


「サリサリ~、皆、仲良く平和が良い感じぃ~」

「サリーよ。もう、恋愛小説とやらは終わったのだろう?役割を終えて地に戻れ」

「あ、そうだったわ。旦那様」


 その女官を王妃に迎え。王国は最盛期を迎える事になる。






最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
これ、サリサリが原作(プロット)変更する前に既に王太子が原作と変わってますが、性格変わったのは没王陛下がきちんと『第一王子への愛情』を幼少期に向けてたからですよね。 陛下の失敗って第一王子(王妃腹の…
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