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VirtualGT シーズン2  作者: ラドロ
5/15

第4話 波乱のプレシーズンテスト in鈴鹿

どうも!ラドロです!今回は鈴鹿での走行です!


それでは、どうぞ!

富士での走行から一夜明けた今日。のどかな鈴鹿市を模した仮想空間に俺は開始から20分は立つのに未だに寝ぼけた目をこすりながらGTカーのモニターを行っていた。

前シーズン、俺は500クラスで佐倉と清水のタッグ、足立と吉葉のタッグの2チームの監督を務めた。しかしその後VF1を清水と吉葉で走らせてみると予想外なほどの高戦績を残した。それらと佐倉、足立はこの3年間、バーチャルレースの出場経験がないことからこの2人は300クラスで参加させ、残りの二人はVF1からそのまま続投することにした。

使用車種は500がLC500、300がRC Fである。現在白いランプを光らせながらLCのほうがコーナーを攻めている。このままでは寝落ちしそうだと思った俺はマシンが直線区間に入ったところでドライバーに話し相手になってもらうことにした。

「桜、どうだ?フィーリングは」

「コーナーで多少暴れやすくなったけど直線である程度の性能向上が見られます。また暴れやすくなったと言っても普通に運転する分には問題ないのでこれでいいと思います」

「了解。ありがとね」

彼女が語りながら130Rを全開で攻める様子から確かにこれはいいバランスなのかもしれない。

(あとは清水のチェックだけでこっちは十分だな)

ようやく目覚めた体をひと伸びさせながらそんなことを思った俺は数周後にピットインの指示を飛ばした。

このとき、まさかあんな事が起こるなんて思ってもいなかった…


練習時間残り20分のところで純白のレクサスはピットロードに入ってきた。それに合わせてガレージからNPCが出てきて、作業の準備を始める。そしてその中にはドライバーの清水の姿もあった。

マシンが動きを止めた瞬間にクルーは動き始めた。今は作業タイムがそこまで重要というわけではないが、練習の意味を込めて本番さながらの動きをしてもらってる。

マシンが停止して約40秒が経ったところでマシンは再び轟音とともに前進を始めた。体の向きを再びデスク側に向けた、その刹那

『あーーっと、どうした!?一台、マシン前面(フロント)が壊れた状態で出てきているぞ?

これは…NTTだ!現在トップタイムをマークしていたNTTがピットでダメージを負ってしまった!』

これは本当にどういうことなのか。答えは自ずと聞こえてきた。

「…ごめんなさい。ピットアウトのときに左の縁石にぶつかってしまいました。

足回りには問題はまだありませんが、右に曲がらないです」

「…了解。もっかいピット戻ってきて。ガレージで修復しよう」

「はい、すいません」

まさか経験豊富な彼がミスを犯すとは。嫌な胸騒ぎが止まらない45分だった。




午前10時50分。一旦赤に変わっていた信号機(シグナル)が再び緑に点灯した。

そう、300クラスの練習走行が開始されたのだ。わずか5分間の休憩を挟んで実況を担当する人間はコース上の出来事を逐一マイクに吹き込まねばならない。しかし今回は彼はいくぶんか楽だった。というのも今シーズンからは実況者が2人になったのだ。2馬力体勢で挑む実況はというと…

『さぁ、今始まりました。300クラスのプレシーズンテストイン鈴鹿!まずはー…真紅のR8がガレージから出てまいります!』

『彼女たちは3年前に500クラスで総合ランキングトップ5に入っていましたからね、とても期待できます』

『ええ、そうですね!これに他のチームがどう出てくるのかが私としてはとても気になりますね』

すこぶる順調であった。


5分後。2人はある1台のマシンに注目していた。

『さぁ来ましたよ!』

『えぇ、カーナンバー402番、YOSHINAKAランボルギーニが今、スタートラインを通過しました!爆音をあげながらまっすぐにつき進む!

そしてマシンを右にゆるく曲げて1コーナーを突っ込む!そして一気にブレーキングしながら2コーナーを曲がる!』

『ここでうまくいくかが前半のペースに関わってきますね』

『さぁそして立ち上がれ!ウラカン早い!ここから超高速コーナーのS字区間に入ります!』

『左、右、左、右、左にとそれぞれ短いブレーキングによって曲がっていく区間ですね!コース幅をどこまで使えるか、どこまでビビらずにアクセルを踏み抜けるかが鍵です!』

『ウラカンすごいですね、直線型のマシンでコーナーをスイスイ進んでいきます!』

『まるで夏に食べるそばみたいですね』

『……

ま、それはともかく、ウラカンは1つ目の区間(セクター)を脱出しセクター2に入っていきます!まずは2連デグナー!僅かな直線をおいてブレーキングし、右に曲がり、またまた僅かな直線を走って次の右コーナーです』

『ここは1つ目は縁石をまたぎながら高速でターンインし2つ目は一気にブレーキングするのでどちらも度胸が試されます!』

『それらを乗り越えたウラカンは立体交差をくぐり、次のコーナーへと向かいます。マシンを道なりにやや曲げて再びブレーキング!ヘアピンで180度旋回したウラカンはここでアタックをしていないマシンを追い抜いて次へと向かいます。まず左から回りこむように湾曲した直線で左コーナーがもう見えています。さぁウラカンが差し掛かった!コーナー名はスプーン!1回軽くブレーキを踏んで直線的にコーナーを突っ込みながら旋回し、重めのブレーキングでマシンをコースにとどめます』

『いやけどほんとにすごいなぁ、300は空力をいじれるわけじゃないのに…』

『ええ、ここのウラカンはコーナーが本当に速い。しかし真骨頂はこれからでございます!馬力の暴力で登り坂であるバックストレートをぐんぐん駆け抜けていきます!』

『あ、画面が切り替わりましたよ』

『ホントですね!これはまさにバックストレートの傾斜を登りきったランボルギーニのオンボード映像です!

そして続く鈴鹿一番の名所、130R!! さぁどうだ突っ込んだ!!』

『すごい、度胸試しと言われるくらいスリリングなこのコーナーをフルアクセルでサラッと通過しましたよ!』

『まぁ、この130Rはスリリングすぎて改修されたので前ほどではなくなりましたけどね』

『話の腰をおらないで…』

『すいませんww

さあYOSHINAKAウラカンはもう最終シケインを通過している!ここは速度の乗った状態から一気に減速し右に左にと細かく蛇行するコーナーでどこまでブレーキを踏むのを我慢できるかのチキンレースになります!

しかしそれをあっさり乗り越えたランボルギーニ!タイムはどうか、2分0秒6!!

これで暫定トップだ!!』

カメラも満足と言わんばかりにドライバーが腕を振る様子を遠目ながら捉えている。

結局2人のドライバーに上回られたもののコーナーの苦手なマシンでコーナー型のマシンをもつチームの多くを上回り実況陣を大いに沸かせたのだった。



早くもプレシーズンテスト最後の走行時間になった。今回は500クラスと300クラスが同時に15分間に渡って走行する。ここでは皆がビクビクしながらアクセルを踏みしめるだろうと予測されていた。

当然、佐藤大輝がドライブするタキオンもそうだ。いくら新規参戦者よりも1シーズン多く走っているとはいえ300クラスと混走でのレースは経験がないのだ。燃料、タイヤなどの最終確認を済ませた上でシーズン1では味わうことのなかった種の緊張をいだきながらマシンに乗り込んだ。

緑の無骨なシートベルトを慣れた手付きで器具に通して固定し、ヘルメットから伸びた無線コードをマシン天井に貼り付けられた機械に接続する。

「…聞こえるか?」

「あぁ、聞こえる。現在信号機はまだ赤だ。ガレージからは出てもらうがピットロードからはでるなよ」

「了解」

ステアリング裏のパドルを叩いてギアをニュートラルから1速に上げると、彼は無言でガレージから立ち去った。


5分後。シグナルグリーンを受けてコースへ大輝が飛び出してからやく3周がたった頃。ある1つの無線が彼に飛んだ。

「もうすぐ300の集団に引っかかる。ここからが本番だからな」

「あぁ。わかってる」

ちなみにここで説明するとこのセッションでの彼のミッションは周回遅れとなったGT3マシンを接触することなくオーバーテイクし、そのコツを掴んでチームメイトに説明できるようになることである。

今、彼のいるメインストレートの先では300クラスのマシンが2台ほど1コーナーに向けて突っ込んでいった。このとき彼は心のなかで舌打ちをしていた。なぜなら

(このままじゃS字区間で追いついてしまうな…)

S字区間では狭いコース幅を目一杯高速で使うため走行ラインは1本しかない。よって追い抜きが困難でありタイムロスに繋がってしまう。どうか追いつけないでいてくれと願いながらもコーナーを攻めた結果。

「あぁー…」

予想通りS字の5つあるカーブのうち3つ目で引っかかってしまった。

ブレーキを多めに踏みながら苦し紛れにライトを点滅させる(パッシングする)が、譲ってくれそうな気配はなかった。

結局彼はS字区間の出口でようやく周回遅れのマシンを追い抜き、後ろにいた500クラスのマシンの姿を大きくさせてしまう結果に終わった。

「大輝。今ので3秒近いロスです。仕方なかったけど次はもっとうまくやってほしい」

「…わーってるよ、んなこたぁ…(わかってるよ、そんなこと…)」

走りも心も少しクールダウンさせよう。

そう思ったその刹那

ダンッ

「ん!?」

マシンがいきなり挙動を大きく乱した。コックピット越しの景色は目にも止まらぬスピードで左に流れ出し、彼はなんとか踏みとどまろうとステアリングを反時計回りに振るきるが、抵抗虚しくマシンは完全にコースから離脱してしまった。

デグナーの2つ目の奥にあるバリケードにマシンはその左側面を埋めてようやく止まったが、その車内はマシンのそれにワンテンポ遅れるかのように混乱し始めた。

「な、なにがあったの?」

「さっき300抜いただろ?そのうちの1台がブレーキングミスで追突してきた感じ」

「要はミサイルかまされたってことかよ…ふざけんな」

「お前も人のこと言えないけどな。…マシンの状態は?」

「計器からエンジン等は異常ない。ただ外傷がひどいかも」

「オーケー、マーシャルの指示に従ってこっちまでその足で戻ってきて」

最悪だ、そうぼやきながら彼はマーシャルの到着を待った。

ちなみにこのクラッシュが原因でセッション中止ーー赤旗が宣言され、再開されることなくプレシーズンテストは閉幕した。


(続く)

ようやく下準備がすみましたね…次からようやくレーススタートです!

今回も読んでいただきありがとうございました。もし本作品を高く評価してくださるなら次回以降も読んでいただけたらと思います。それでは!

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