第1話 再戦の狼煙
VGTシーズン1を見ていた皆さんはお久しぶりです!ラドロです!今回はVirtualGT、復活の狼煙をお届けします!
それでは、どうぞ!
3月ーー春目前なのに冬の寒さが根強く残っているこの時期も俺は朝早くから玄関に出て朝のルーティンを行っていた。
VirtualGTの激戦から3年。VirtualFormula1の混戦から2年半。俺は量子コンピュータに関することを学ぶ大学に今年から通うことが決定しアパートで一人暮らしをしている。そして今、実家で暮らしていたときと同じように意味もなくポストを開けたわけだが…
「…なんだこれ?」
心当たりのない封筒が入っていた。今日では書類を送るのは警察や市役所などの公的機関か身内ぐらいしかない。しかし身内からは書類を送る話は聞いてないし、警察や役所からそれを送られるようなことをした覚えはない。まさか…
「電気止められる!?」
慌てて端を破くと
「うおっ、なんだ」
中から1枚のプリントが飛び出てきた。床へと舞い降りようとするそれをなんとかキャッチするとそこに印刷された字を見て思わず眠たい目が見開かれる。
「VirtualGT…シーズン2!?」
室内へ走り、かつての盟友に連絡を取ったのは言うまでもない。これがあの懐かしく高校生活の思い出の大半を占めたそれの続きの始まりだった。
「…というわけなんだが…そっちはどうだった?」
「俺も同じだ。バカ丁寧に岡田大祐様へって印字された封筒が届いてた」
「僕も同じだったよ。…それよりも驚きだね。あの創一がちゃんと郵便を確認するようになったなんて」
「おう、ひっでぇなぁ!」
「「www」」
二人分の笑いがこだまするここはオフィスを模した、仮想のトークルームである。
今朝の一人騒動から1時間弱して、VGT時代にKONというチームを組んだ盟友、岡田大祐と野田忠宏と例の郵便について状況整理をしていた。
「まぁ、それにしても、相当効果があったんだろうね。VGTをまたアップグレードした形で開催するなんてね」
それには激しく賛同する。今回は前回あったGT500クラスだけではなく、本家SGTにもあったGT300クラスの枠まで設けられていたのだ。
GT300は500がトヨタ・日産・ホンダの3メーカーが提供する特定のマシンのみしか選択肢がなかったのに対し300は運営が指定したGT3という規定を満たしたマシンならなんでも参戦させられるというのだ。そしてSGTでこの500と300とクラスが異なるのはマシンスペックと空力に大きな理由がある。500クラスは(実際には大きく違うものの)500馬力が目安とされたエンジンを積み、空力開発を許容しているのに対し、300クラスは300馬力を目安とされたエンジンと固定された空力パーツを所有したマシンを対象としているのだ。
500クラスは枠が15チーム、300は20チーム分の枠が用意されている。俺たちKONは当然500クラスに継続参戦する。運営からの通達書によると500クラスは第1回のVGTに参戦したチームが優先されるが、300への参戦を希望したり参戦を辞退したチームの枠は一般にもキャンセル待ちという形で応募も可能だが殆どが300クラスから参戦することになるだろう。
(このことについても聞いてみるか…ん?)
視界の右上に通知バナーが表示されている。しかも電話だ。それを視界の中央部に持ってくる形で応答する。
「…もしもし?」
「あ、川口さん、お久しぶりです」
「あぁ、望美さん、久しぶり」
「川口さん、郵便を見てもらえますか?きっとVGTの第2弾の手紙が…」
「もうみたよ!KONの皆で話し合ってるところだし」
(なんで皆よってたかってこう言うんだ…?)
ーーー原因は明白である。2年半前に参加したVirtualFormula1では俺が郵送された書類に気づかず、危うく開始前から棄権する羽目になるところだったのだ。
「そうだったんですねw失礼しました」
「まぁいいけど…クイーンはどうするの?」
3年前のVGTでは最終戦の直前まではチャンピオンにあと一歩というところだったし決勝でのクラッシュがなければチャンピオンの座は彼女たちの手中に収まっていたかもしれなかったのだ。
「確定はしていませんが参戦自体はするでしょう。ただもしかしたら300に変更にはなるかもですが…」
「そっか」
また対決ができたらなと思っていたがまぁしかたがない。おしゃべりもそこそこにして通話を切り上げた。
「…んで、話はどうなってる?」
「お、創一おかえり。今、前とほぼ同じ体制で参戦することを僕たちの間では確定させたところだよ」
「ってことは500クラスにGT-Rで参戦か」
「そうなるね」
面白いじゃねぇか。ディフェンディングチャンピオンとしての闘志を確かめあって、こっちも解散となった。
さぁボルテージはだんだん最高潮へと近づいてきています…!
今回も読んでいただきありがとうございました。もし本作品を高く評価してくださるなら次回以降も読んでいただけたらと思います。それでは!