出オチとその経緯
はじめまして。
合法的に人を不幸にしたいなー呪いたいなーと考えてたら生まれたお話です。
普通にグロいし欠損するのでお気を付けて
一歩踏み出せばそこにはパンツを頭から被った男が一人、おりました。
「これが出オチって奴ですね!」
「変態って言うのよおバカ!!」
「コレには訳があるんですよお嬢様方!」
事の発端はなんだったか。
警備部怪異課呪術班に通報が一件。それが始まりだろう。
ある街全体が呪われたと、常駐から連絡があった。少女の頭部が消え、それでも生きてる。川が澱み、そこに住んでいた生き物は消え、異形が優雅に泳いでいる。床下から物音が。誰もいないのに足音が。
怪異詰め合わせセットの惨状に呪術に関する知識が深いアーシャ、広範囲の浄化を得意とするモモカという二人の女性が街に派遣された。
「呪術班アーシャと申します。こっちの頭の緩そうな子はモモカ。事実緩いので気を付けて。気軽に人を呪います。」
「呪術班モモカです。呪うより対象を燃やした方が手っ取り早いのでそんな事はしません!お焚き上げ万能!」
「この様に怪異と戦い過ぎて恐怖心と倫理と常識を失っているので発言には注意してください。気軽に人を燃やします。」
凛々しさを纏うアーシャとふんわりとした印象を与えるモモカ。挨拶の時点で街の警備員ションは一瞬気を失いかけた。
「それで、被害は?…まぁここに来るまで悪鬼やらなんやらがわんさかいたのでなんとなく想像がつきますが。」
「あっはい。街は見ての通りです。もう人間の街というより魑魅魍魎の街ですよ。奴らが人の手足や目玉を霊界に持ち去る、それを適当に地面に捨てるなどは序の口。生気を限界まで吸われて動けなくなった方もいます。」
ションは空中にいくつかの写真を投影する。達磨になってしまった人、骨と皮のミイラの様になってしまった人。これでもまだ死人は出ていないのだから奇跡だ。
「来るまでは半信半疑だったのですが…実際にこれ程大量に悪鬼を出現させるとなると大規模な術式と人数、それから強い〝怨〟が必要です。それに誰か特定の人物へ、という訳でも無い…街ぐるみで犯罪でも冒しました?」
「……報告書にある通り先日一人、自殺しております。理由は理不尽な解雇。ご近所に理由なく嫌われておりましてね…不憫でなりません。しかしこれ程の〝怨〟は…」
空中に映し出されたのはごく普通の青年だった。霊力も検診の時の数値は平均値。
アーシャは男のプロフィールを眺めながら「どんなに憎んでも此奴一人じゃ無理ね」と呟く。
「娘がいるわね。12歳の。」
「この騒ぎで現在行方不明です。」
二人が詰所を出ると挨拶以降一言も喋らなかったモモカがぴょこんと嬉しそうに跳ねる。
「先輩、これ呪いじゃないですよー多分」
「そうね、これはどう見ても〝罸〟だわ。」
〝罸〟
神聖なる物に危害を加えた時に発動する災害。呪いは人が人に興すがこちらは世界そのものが相手となる為、解呪の数万倍は面倒になるし、被害も凄まじい。
「取り敢えず、これ以上被害を増やす訳にはいかないわ。モモカ。」
「はい!先輩!」
「一先ず表面に出てるもの、全部どうにかして」
街全部。
無茶な注文にモモカは溢れんばかりの笑顔を輝かせた。
パンツマンまでたどり着けず。