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Dear my wolf  作者: 蜂矢ミツ
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もふもふマッチョ

 しかし、そんな日々でも何かは起こるものです。

 平日の事務の仕事場には、とても性格のわるいおっさんがいました。


 いきなり怒鳴り散らしてゴミ箱を蹴っ飛ばしたり、小部屋に閉じ込めてねちねち小言を言ったり、それでいて機嫌をうかがうように笑顔で話しかけてきたり。


 そんな風にして、いつも誰かしらに嫌がらせをしているおっさんでしたが、段々と、白いうさぎにばかりきつく当たるようになっていきました。

 みんなの前で吊るし上げられ、兎肉にされそうになったある日。


 こんなところ、もうやってられっか! と、白いうさぎはすたこらさっさと逃げ出しました。

 安月給だったもので、あまり蓄えもなく、一時はどうなることかと思いましたが、なんとか新しい仕事場を見つけることもできました。


 前よりも少し仕事が多くはなったものの、お給料も大幅アップしてほくほくしながら、再びせっせと働き、落ち着いてきた頃。

 まだ起きられないかなあ? とぱかっと箱のふたを開けてみたところ。

 なんと、黒いうさぎがむっくりと起き上がったではありませんか!


 愛のおかげでしょうか。

 黒いうさぎも、前より幾分元気そうで、もう白うさぎをぶつこともありませんでした。

 白いうさぎは、これからきっと、何もかもちょっとずつよくなっていくだろうと胸を躍らせました。


 しかし、そんなよろこびも束の間に。

 ちょっとしたいざこざがあって、お仕事がそれまでの三倍に膨れ上がった、ある日。

 黒いうさぎはなんと、白いうさぎを追いかけまわして、最適に働けるように、きっちりかっちり締め上げ始めたではありませんか!


 黒いうさぎに追い立てられながら、白いうさぎは、うさぎなのにそれはもう馬車馬のごとく働きました。

 働いて働いて、もふもふな毛に五百円ハゲが三回できてしまうくらい働きまくりました。


 気づけば――白いうさぎは、もふもふの毛皮の下がムキムキになり、すっかりマッチョになっていました。

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