ちりばめられた影
いったいこの既視感は、なんでしょうか?
それはきっと、このレモンの贈り主に繋がるものに違いありません。
白いうさぎは、これまで貰った贈り物を全部引っ張り出してきました。
その中から同じにおいのする物、特に気になるものを調べてみます。
青色と灰色絵の具が塗りたくられた絵。
カラフルなお守り石。
男の子が花飾りを首にかけている版画。
たくさんの花が描かれた壁画。
青と黄色と白の糸で織られた布。
どれもちょっとずつでしたが、仲良しの青いうさぎと灰色のオオカミ、そして旅立つ前にお守りとして贈った色とりどりの花飾りのことを、暗示しているように思えます。
そんなことがあるのだろうか。
白いうさぎはどうにも信じられないまま、その謎の答えを求めるように、再びペンを走らせました。
今度は、黒いうさぎと一緒にペンをきゅっと握って。
物語の中で、青いうさぎと灰色オオカミは、離れていても仲良しでした。
ふたりは特別な花飾りのおかげで、遠く離れても繋がっていたものですから。
大きな湖に互いを写して、仲良く歌いあっていました。
けれどもその歌は――途切れてしまうのです。
青いうさぎが、ひどく傷つけられてしまったために。