ピンクの鳥
その贈り物は、ピンク色の鳥でした。
なにやらひたすら、あほーあほーとカラスみたいに鳴いているのが面白くて、白いうさぎはしばらくにやにやしました。
あほ上等です。変に賢そうに振舞うより、楽しい方がいいと思うからです。
ピンクの鳥によれば、白いうさぎから送った手紙や贈り物は、無事に受け取られているようです。
それに、それまでは推測の域を出なかった考えについて、裏付けを取ることもできました。
白いうさぎと灰色のオオカミを隔てている人物、あるいは団体との交渉は絶望的。
灰色のオオカミの言うことに対して、聞く耳を持っていないのでしょう。
しかし……心外な部分もありました。
以前手紙と一緒に、こんな感じで生きてましたよっと、昔の写真も送ってみたのです。
結構ちゃんと笑えていたはずなのですが。
写真なんてもうぜってー送らねー、とそこはちょっとへそを曲げました。
ピンクの鳥は、精巧な絵画をしょっていました。
白いうさぎと黒いうさぎは興味津々で、どれどれ、と無防備に見てしまったのは……少しだけ、失敗でした。
その絵は、黒いうさぎのトラウマを掘り起こす過去の出来事を、精密に描いており。
黒いうさぎはそれを見た後、嫌だと泣いて、うずくまってしまったのです。
白いうさぎは、しばらくどうしていいか分からず、オロオロしていましたが。
やがて、黒いうさぎはむっくりと起き上がると、ペンを執りました。
そして、一つの物語を書き始めました。
それは、ボロボロの一人の女性が、何もない地を彷徨い歩くところから始まるお話でした。




