体感と影響
白いうさぎは、悩んでいました。
分からないことだらけで、何をどこから手を付けたらよいものやら、考えあぐねていたのです。
灰色のオオカミも、その他の黒いうさぎのお友だちも。
こちらを認識していながら、何も接触することができないのは、どういうわけなのか?
灰色のオオカミは、何にそんなにも苦しめられているのか?
白いうさぎのことなど、どうでもよくなってしまったのか。
あるいは、これらは全て、白いうさぎの妄想なのではないのか?
ともするとそんな考えに至りそうなものでありますが、件の体感があるので、どうもそう片づけることもできそうにありません。
灰色のオオカミは白いうさぎを毎日、四六時中といっていいほど、もふもふ、わさわさ、ぐりぐり、いじり倒していたものですから。
よほど寂しく、焦がれているのでしょうか。
それにしたって、全くえっちなわんこです。
そして、実際の肉体には影響がないのかと思っていましたが、どうもそうでもないようです。
白いうさぎは、夏で湿気はたっぷりあるというのに毎日唇が荒れて、ともすると痛いくらいで、リップクリームを塗っても皮がむけて、少々困りました。
……なんだか、ずっとちゅーされているような感触がするので、たぶんその所為です。
それに、どうしてか片目のまぶたの皮が、細かく剥けてくるのです。お化粧をしても隠し切れない程でした。
一体、あのもふもふの毛の下のおめめはどうなっているのでしょう。
剥け方からして、どうやら灰色のオオカミが、がりがりと自分で引っ掻いているようでした。
後日、何故だか唇が荒れるなー、とか、瞼の皮がむけるんだけど引っ掻いてない? と手紙で聞いてみると、それらは治まりましたので、やはり何かやっていたようです。
お触りは拒めば拒めるようでしたが、これで元気になるならどんとこいかな、と白いうさぎは、灰色のオオカミの見えない手に、毎日もふもふされる日々を過ごしておりました。