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Dear my wolf  作者: 蜂矢ミツ
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理由不明の憔悴

 結局、沖縄に滞在している間、お返事がくることはありませんでした。

 相変わらず、背中にはひんやりした感触があるばかりです。


 それでも、何か時間がかかっているだけなのではないか。

 そのように諦めきれない気持ちで、とぼとぼと家路をたどります。


 だって、白いうさぎの周りをうろついている人たちは、なんだか能天気そうにしていました。

 最後の電車を降りたあと、お疲れさまでしたー!なんて楽しそうにしていたくらいでしたから。


 情報の伝達に、タイムラグがあるのか?

 どういう人たちが、どの程度の情報を共有できているのか?

 灰色のオオカミに何かあったことを、この人たちは知っているのだろうか?


 疑問はつきませんが、白いうさぎにはどうしようもありません。

 とにかく、何か事情があって、お返事すら出せないこと。

 何かひどく思い詰めていること。

 それだけは分かっています。


 ひつにのルーさんに頼めば、お手紙はすぐに届くのです。

 広くばら撒かれているのは気がかりではありましたが……とにかく、元気がないなら励まそうじゃありませんか。


 それは、青いうさぎの十八番(おはこ)であったはずですから。

 白いうさぎにだって、うまいことできるはずなのです。


 白いうさぎはまず、沖縄に行く前にしたためておいた手紙を、郵便屋さんに頼んで送ることにしました。

 ひつじのルーさんに頼むには、少々文量が多かったものですから。

 それに、黒いうさぎと一緒に書いた物語も添えました。


 灰色のオオカミは、大事なことを思い出してほしいと、ひどく気にしていたようでしたから。

 ちゃんと分かったよ、取り戻せたよと、一刻も早く知らせたかったのです。


 それは難なく、灰色のオオカミの元に届いたようで。

 それを読んでいる内に、冷えた背中に少しずつ温度が戻っていくのを、白いうさぎはひとり静かに噛み締めました。

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