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Dear my wolf  作者: 蜂矢ミツ
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邂逅

 背中で直に泣かれるのは、なんともいたましく、たまらないものがありました。

 白いうさぎは一目散に家へ帰ると、すぐさま手紙を書きました。


 他人行儀な言葉遣いはやめて、昔のように、親しみを込めた手紙を。

 それはこんな内容でした。


『元気にしてる? なんだかふるえてない?

 明日、用事があって沖縄に行くの。そこで会おうよ。』


 それをひつじのルーさんに託すと、ルーさんは予想以上の速さで灰色のオオカミのところへ届けてくれたようです。……何故か大量にコピーして、大勢にくばっているようでもありましたが。

 兎にも角にも、手紙は無事に届いたようで、灰色のオオカミは泣き止んで、何やら忙しくしているようでした。


 これできっと、会えることでしょう。

 白いうさぎは明日の準備をしながら、もうひとつ、手紙をしたためました。


 ここに至るまで、色んなことがありました。

 ありすぎて、うまく話せるかも分かりませんから、手紙にしておけば安心だと思ったのです。


 準備を済ませて一度眠ったものの、白いうさぎも黒いうさぎも興奮しているのでしょう。

 先ほどひつじのルーさんに託した手紙だけでは、言葉が足りないんじゃないか?

 そんな風に思い夜中に飛び起きて、ひつじのルーさんに、もう一通手紙を託しました。


『言葉が足りなかっただろうから、もう少しだけ。

 二択だったのだと思う。

 慰められながら生きるか、強くなって克服するか。


 前者を選べばそんなにつらくもなく生きられるけど、完治はしない。

 わたしは、後者を選んでいたのだと思う。


 もらったレモンのおかげで、ちゃんと克服できたよ!

 本当に、ありがとう。


 沖縄は、急だし無理だったらいいや。でもそれなら、どこかで待ち合わせしようよ。

 お返事ください、待ってます』


 そうして、しばらく待ってみましたが。

 一向に、返事は来なかったのです。

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