【束縛こそ自由であり、不平等である】
思いつきです。
「本当の自由とは何だと思う?」
「……何者にも縛られず、欲のままに生きられることでしょうか」
「違うね。何かに拘束されているから守られている。縛られている事が自由なんだよ」
「といいますと?」
「だからね、世界には平等なんて存在しないんだ。表は平等を訴えていても、少し捲ると不平等で不条理。でもそれが自由。矛盾しているようで違う。この世界には必ず上下が存在する。僕はその上の方だよね。違うかい?」
中性的な声の持ち主は、指を鳴らしながら壮年の男性に尋ねた。
「はい、合っています」
「だけど、僕の言ったことが正しいのなら――僕は自由なのかな?」
「……」
「僕こそがこの世界の頂点。そして王。つまり、誰からの拘束も受けていない。僕は自由ではないんだ。不自由なんだ」
嘆くように彼はそう言った。
「だから、僕は何かに縛られたいんだよ。自由が欲しいから。自由を与えるだけなんて楽しくないんだ」
彼はゆっくりと目を閉じた。
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