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[再会] -4- (※)

 いつもお読みくださいまして、誠に有難うございます!

 読者の皆様全ての方が、私の描くイラストをお気に召してくださっているとは限らないのですが、最近三作目の執筆作業も終えてしまった所為か、どうも文章より絵描きに力を入れてしまう今日この頃です(苦笑)。

 とは云え相変わらず画力は向上致しませんが(汗)、調子に乗って描きましたので、宜しかったらご覧ください。


 冒頭のジョエルは物語に沿った挿絵となっておりまして、色なしのために想像し難いと思いますが、黒系スーツのつもりです(大汗)。


 文末のティアラはイメージイラストに留めております* この時代には人間の服飾も人魚界に広がり、以前のルーラのようなリボンで胸を隠すことはなくなりました。小説内にて文章でお伝えせず本当に申し訳ございません(涙)。


(今回絵のサイズが大きい所為か、余り鮮明に保存出来ませんでした(涙)。

 イラストをクリックいただき、改めて出てきましたイラストを再度クリックしてくださると、少し鮮明に表示されます*)




挿絵(By みてみん)




 視界は淡いアクアブルーのトーンから、次第にネイビーブルーへ移り、その先は漆黒の闇であった。右手を足先へ向けて広げる。そこから放たれた薄い光は、結界の膜に空間を押し広げ、僕をその世界へと招き入れた。


 遠くに人魚達の灯が点っているが、海溝に近いこの辺りはまるで眠りについたように暗く静かだ。特に人目を避ける必要もなかったが、何となしにこの地を選んでいたのは、この服装と花束の()()だったのだろうか。


 ルラの石の力で空気の層に包まれた僕は、大地に立ち尽くしたような姿勢で、海の中を優雅に滑り落ちていった。実はそんな芸当はかなりの技術を要する。浮力を制して水中を陸上のようにあしらうには、子供の頃から慣れ親しんだ僕でさえも、結構な時間が掛かっていた。


「あ……れ?」


 やがて海底に到着、という頃に、真下に白い人影を見つけた。ぶつからないように少々後ろへ下がり地面へ降り立つ。すると目の前には、銀色の髪と煌めく鱗に白いレースを(まと)った、お姫様のようなティアが僕を見上げていた。


「ジョエル……」

「ご機嫌よう、麗しきティアラ姫」


 相変わらずの気障な挨拶に輪を掛けてみたが、内心ドキドキが止まらなかった。真正面から見つめるティアは、いつになく美し過ぎた。


「久し振りだね、ティア。こんな所で会うなんて珍しいけど、僕を見つけて追いかけてきたの?」


 おどけたようにウィンクをして、いつものように冗談めいてみたが、この日のティアは普段よりいささか過敏に反応をした。


「そっ、そんな訳ないでしょ! 少し静かな所へ来たかったのっ。そうしたらあなたが……邪魔をしたんじゃない……」

「それは失礼を……お姫様」


 そっぽを向いたティアの機嫌はなかなか直らなかったが、僕が後ろ手に抱える花束はやはり気になったらしい。彼女が横目で気まずそうに問いかけてきたので、


「この薔薇を君に捧ぐ……と言いたいところだけど、両親からモカへの成人祝いなんだ」


 目の前に差し出してみせるや、ティアの瞳は釘付けになった。海の中にいても美しい物は同じようだ。


「バラ……?」

「確か母さんがカミルおばさんのシレーネ就任の時にもプレゼントしたとか言っていたね。その時は真紅の薔薇だったって。赤い薔薇の花言葉は『愛情・情熱』……この薔薇は淡いけど、オレンジと云うなら『無邪気』とか『信頼』とか。でももし黄色とするなら……」

「するなら?」

「『嫉妬』……だね」

「私、やきもちなんて焼いてないわっ」

「え……?」


 僕の中に特別他意なんてなかった。けれどティアがその言葉に食ってかかってきたのは、何か思うところがあったのかもしれない。


「あ……えと……そうじゃなくて──」


 我に返ったように僕の顔から視線を逸らした彼女の横顔は、いつもとは違う悲痛な面持ちに思えた。この場の雰囲気に耐え切れなくなったように、尾びれを振り逃げ出そうとする。


「ティア……!」


 僕の声に彼女は立ち止まったが、振り向きはしなかった。


「君が成人を迎える時は、僕が同じように薔薇を贈るよ。そうだな……ティアに似合うのは淡いピンクかな……」

「その……花言葉は?」


 背中で問いかけるティア。


「ピンクの薔薇の花言葉は『美しい少女』。それに──『我が心、君のみぞ知る』──だよ」


 その時小さな魚の群れが僕の前を横切って、背中越しの反応がどんなものだったかは、僕の知る(よし)もなかった。

 魚達が通り過ぎた時、彼女の後ろ姿は遠く小さく霞んでいた──。




挿絵(By みてみん)




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