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本日二度目の更新です。

「話を聞くことは出来るか」

「話、はい」

 頷くと王子はあたしを抱きしめたまま大神官を手招きした。って、あたし今凄い状態になってるんじゃないの?

「王子、さま」

「なんだ」

「あの、もう大丈夫ですから。あたし落ち着いたし、だから」

 言いながら、涙がぽろっと零れ落ちた。

 涙腺が決壊してて涙が止められないんだから仕方ない。

「ああ、気にしなくていい。まだ怖いんだろう? 震えている」

「え、あれ。本当だ」

 言われて自分の指先を見ると微かに震えている。

 もう平気だと思ったのに、震えが止まらない。

「こうしているのは嫌か」

「え、あの。嫌じゃないです」

「なら問題ない。大神官、万里に説明を」

 あたしが落ち着くのを無言で待っていてくれた大神官は、ゆっくりとベッドに近づくと頭を下げた。

「聖女様、私はオプト神殿の大神官ホルガー・ザインと申します。どうぞよろしくお願い申し上げます」

 ホルガーさんはファンタジー映画にでも出てきそうな長い銀髪と髭のおじいさんだ。

 長いマントと、その下にローブでいいのかな、を着ているのもファンタジーっぽい。

「こちらこそよろしくお願いします。あ、あたしは万里です。本城万里といいます」

 やっと涙は止まったけど、今のあたしは真面目に自己紹介出来る体勢じゃない非常識な状態なのが恥ずかしい。だけど、王子が離してくれないんだから仕方ない。

 自分の状態はこの際目を瞑ることにして、名前を告げると頭を下げた。

「聖女様、頭をお上げください。私ごときに尊いあなたが頭を下げる必要はありません」

「え」

 私ごときって言った? なんで頭を下げる必要が無いなんて言われるんだろう。

 この国の礼儀作法が日本と違うのかな。女の子はお辞儀しないとか。

「あの。すみません、言われてる事が良く分からないです」

 恥ずかしいけど、分からないことは今のうちに聞いておいた方がいいよね。

 日本はタブーが少ないけど、宗教上子供の頭はむやみに触っちゃ駄目な国もあるって聞いたことあるし知らないでやって恥ずかしい思いする位ならいいけど、攻撃とかされたら困るし。

「貴女様はイシュル神が使わされた聖女様なのです」

「せいじょさま」

 せいじょってどういう字を書くんだろう? 清い乙女? 確かにそうだけど。

 でも添い寝屋ってあんまり無い商売だけど風俗業だし、清いと言い切れないところはあるかも。

「聖女様」

「せいじょって、どういう意味なんでしょうか。あの、あたし言葉は理解できるみたいなんですけど、あたしの世界に無い言葉は意味が上手く理解できないみたいで。意味を教えて貰えますか」

 言葉の意味より知りたいのは、この光と熱の止め方なんだけど。

 説明の順番がありそうな、雰囲気してるんだよねえ。

「聖女様は、イシュル神に仕える巫女姫様という意味です。巫女姫様はご存じでしょうか」

「巫女、ええと。神社でお守りとか売ってる人とかじゃなく、純粋に巫女なんですね」

「じん、申し訳ありません。じんじゃがどの様なものか不勉強で分かりませんが、通常神殿に使える男性を神官、女性を巫女としております。巫女姫様はその最上位となります」

「巫女姫、言いにくいんですが、それは間違いじゃないかと思うんですけど」

 慌てて否定する。だってイシュル神なんて名前初めて聞いたし、そもそもこの世界の人間じゃないし。


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