表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/28

17

「そうですよね。ごめんなさい」

 落ち込んじゃ駄目だと思うけど、自然と俯いてしまうのは仕方ない。

 王子様だもんね。こんな庶民丸出し女、一晩だって嫌だよね。

「嫌だと思います。本当にごめんさない」

 この世界の美人がどんなタイプか分からないけど。神様はあたしは綺麗じゃないって言ってたし、日本とそんなに価値観変わらない気がする。

 あたしは一般的に好まれるタイプじゃないと思うし、どうせだったら可愛い子が良いに決まっているし、だから謝るしかない。

 ごめんなさい。せめてあたしが美人なら良かったのに。もっと可愛いとか綺麗とか愛らしいとか。とにかくもう少しマシなレベルだったら良かったのに。

「なぜ万里が謝るんだ」

「だって、あたしみたいなのが王子様と一緒に寝るとか嫌だって思って当然だし。でも神様が召喚したのはなぜかあたしだったから」

 謝りながら馬鹿な頭で一生懸命考える。

王子様がどうしても嫌だと思うなら王子様と一緒にベッドに入らなくても、眠ってる王子様の近くにいるのはどうだろう。

 神様は注意事項の話で同じベッドで眠らなきゃ駄目だとは言わなかったし、王子の近くにいて、どこか接触してる部分が必要だっていうならせめて手を握るとか。それで効果あるのかどうかは神様に聞かなきゃ分からないけど。

ああ、もっとちゃんと聞いておけばよかった。これから神様を呼び出す事ってできるのかな。

「そういう意味じゃない。万里が悪いわけじゃない」

 困ったように王子は首を横に振るのを見てどんどん悲しくなってくる。

 困った顔させたいわけじゃないのに、神様の話を聞いてあたしみたいなのでも誰かの役に立てるのかもって嬉しかったのに。

 異世界に突然落とされて怖かったけど、優しく慰めてくれた王子の役にたてるなら頑張ろうってそう思ったばかりなのに。

 あたしじゃやっぱり駄目なのかな。

「あ、恋人とか奥さんとか。婚約者さんとか」

 王子様だし、ひとりやふたりいたっておかしくないよね。そしたらあたしが一年間一緒にいるなんてそんなの嫌に決まってる。

 あたしだって、恋人が知らない女の子と寝るなんて許せない。恋人いたことないけど。

「そうじゃない。恋人も妻もいない。万里はどんな呪いか聞いていないのか」

「知りません。あたしは王子様の傍に一年居て、王子様の呪いを自分の体に移しながら浄化する。それしか聞いていません」

 王子を呪っている王妃様のところに呪いが戻るなんて言えないから、話せるのはこれだけだ。

「そうか。神も残酷な事をする」

「王子様?」

「傍にいる人間を殺してしまう。眠っている間でも、気を抜いたわずかな時でも、近づいた人間を俺は手に掛けてしまう。そういう呪いだ」

「え」

 今なんて言ったの? 殺すって誰を? 傍に居る人っていう事はあたしが殺されちゃうかもしれないってこと?

「意識を保っていれば問題はない。常に気を張って用心していれば。けれど、少しでも気を抜いた瞬間。俺は……」

 無言になったり、青ざめちゃったのは許して欲しい。

 あたし、結構怖がりなんだから。

 呪いの内容を聞かなかったあたしも悪いけど、それを話さない神様もどうなのよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ