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第18話:リディアの紡ぐ安らぎの世界

ルシフォード家とブライトン家の戦争は集結した。


戦後の処理は帝国宰相であるレイラが一手に引き受けたようだ。


アディエルの反逆罪についてはレイラの職権乱用とかいうもので握りつぶしたらしい。


アディエルは現在,ルシフォード領内の末端にある別荘で無期限謹慎として過ごしている。


バルシアはそんなアディエルを甲斐甲斐しく世話をしているらしい。


レイラ曰く,権力とはこのように便利に使うものよ,だった。


多分,照れ隠しなんだろう。


レイラの親友の兄さんなんだ。


何だかんだ言って,バルシアと幸せになって貰いたかったんだと思う。


それがレイラの親友であり,妹のリディアの願いでもあるのだから。


「ブライトン卿が貴方とリディアに済まないと言ってたわ。それと,リディアを宜しくともね…」


アディエルはリディアを死んだ妹と重ねて見てしまった。


そして,ボクがリディアを助け出そうとした姿に自分を重ねてしまったらしい。


いつかアディエルと話をしてみたいとボクは思った。












あれからボク達はレイラの別荘から元の家に戻ることになった。


リディアが巨大化して壊れてしまった家がようやく元通りに建て直されたんだ。


「今度は壊さないようにするのよ,いい?エテルナ,リディア」


ごめんなさい。


「ごめん,レイラ」


ボクとリディアは改めてレイラに謝る。


今回はレイラの協力が無かったらリディアを助けることが出来なかった。


感謝してもしきれないぐらいだ。


「おいおい,俺のことも忘れてもらっては困るぜ,エテルナ」


もちろん,サーシャのことも忘れていない。


サーシャのお陰でリディアの所まで辿り着けたのだから。


レイラと同じく感謝してもしきれない。


「感謝ならお前の精気を腹一杯ご馳走してくれればいいぜ…じゅるり!」


サーシャの舌なめずりする音が聞こえてきた。


手加減はして欲しいと思う。


「あら,私もエテルナの生き血を飲み干したいわね。この頃忙しくてエテルナの血を吸う暇が無かったし…。だから,随分と喉が渇いてきたわ…」


こちらはもっと手加減して欲しいと思う。


「まあ今後いくらでも機会はあるわ。とりあえず,今夜はリディアに眠らせてもらいなさい。彼女も貴方に死と眠りの口づけ…って言うのかしら?貴方に気持ち良く眠って欲しいと意気込んでいたようだし…」


「そうだな,今夜はリディア姉貴の腹の中でゆっくりと眠らせてもらいな…」


レイラとサーシャはそう言って足音を遠ざけていった。


「今夜は…その…宜しく…」


リディアは辿々しくボクに言ってくる。


ボクは快く頷いた。


リディアだったら,もう食べられても平気だ。


もう以前のように暴走したりすることもないだろう。


「嬉しい…夜を楽しみにしといてね…ちゅう」


ボクの唇にリディアの唇が押しつけられる。


「ちゅぱっ…ふぅ…じゃあ,後でね…」


リディアの足跡も遠ざかっていく。












もうすぐ夜になってくる。


ボクは外に出て風に当たっていた。


地獄の風は気持ちいい。


ボクの髪が風で靡いていく。


リーゼ。


ボクは最愛の騎士のことを思い出そうとする。


けど,なかなか思い出せなくなってきた。


以前までは鮮明にリーゼの声や匂いが思い出せたのに。


なぜだろうか。


ボクはリーゼに永遠に想いを抱くと誓ったはずなのに。


この程度の想いだったのか。


忘れたくない。


けど,ルシフォード家に来てからというものの。


どんどんとリーゼのことが思い出せなくなってくるんだ。


リーゼを忘れたくない。


忘れたくないよ。


目が熱くなってくる。


これじゃあ,ルシフォードのみんなを悲しめてしまう。


みんなはボクを家族として迎えてくれてるんだ。


それなのに。






「泣いてるの…エテルナ…」






リディアの声だ。


ボクの背中に冷たくて柔らかいものが押し当てられている。


いつの間にかリディアがボクの後ろに立っていたんだ。


「レイラから聞いたよ。君はリーゼに永遠の想いを誓っているって…」


ボクの前にリディアの両腕が交差していく。


ボクを後ろから抱きしめてるんだ。


「僕はリーゼに感謝しているよ。リーゼが君を僕達の所に引き合わせてくれたのだから…」






『エテルナ,君は永遠に生き続けるわ。辛い別れを何度も経験することになる。けど,それは価値あることなのよ。それだけ素晴らしい出会いをしてきたという証でもあるのだから。だから,出会いを大切にしてね…。君にはたくさん凄い物があるのだから,きっと素敵な出会いがあるわ…これから先…ずっと…』






そうだ。



ボクは素敵な出会いが出来たんだ。



サーシャ。



レイラ。



そして。



リディア。



ボクの新しい家族。



ボクの新しい居場所。



「ボクはリーゼに永遠の想いを抱いてる君だからこそ…愛しているの。だから,遠慮しないで…」



ボクは体を動かして,リディアの胸に頭を埋める。



リディアはそんなボクの頭を優しく撫でてくれた。



「さあ,帰ろう。君と僕の帰るべき場所へ…」



ボクはリディアの手に繋がれてルシフォード家に帰っていく。











ボクはリディアがいる部屋の中に入っていく。


部屋の中の空気は透き通るように流れている。


物体が何も置かれてない。


リディアの部屋には何もないんだ。




「ごめんね,僕の部屋にはベットが無いの…その代わり…」




ボクの背中に柔らかいものが押し当てられる。




リディアの胸だ。




ボクの胸にリディアの両腕らしき物が回ってくる。




「僕が君のベットに…なってあげるから…」




ボクはそのままリディアに引っ張られるように床に倒れていく。




ボクの後頭がリディアの胸に埋まってくる。




リディアのベットは気持ちよかった。




胸なんかはボクの頭を包み込むように柔らかくて特に気持ちいい。




「ふふっ,君を…安らぎの世界に…連れて行ってあげる…」




ボクの服が溶かされていく。




服を脱ぐのをつい忘れてしまった。




けど,もうどうでもいい。




今はリディアをただ感じていたかった。




ボクの体から熱が取られ,リディアの体に移っていく。




「はあぁ…君の…血は…僕を…満たして…くれる…君も…僕で…満たして…あげる…」




リディアの抱きしめる力が強くなり,ボクの頭がリディアの胸にますますめり込んでいく。




リディアの乳首らしき物がボクの両頬に口づけするように吸い付いてきた。




乳首が本当の唇のようにボクの頬を優しく口づけてきてるような感じだ。




リディアの体が暖かくなり,血の匂いが濃くなってくる。




まるで本当のベットの布団のようにふわふわして気持ち良い。




「ああぁ…君は…僕の…抱き枕…はあぁん…抱き枕…もう…離さない…うぅ…僕だけの者…」




ひんやりとしたボクの体がリディアの暖かくなった体でとろけてしまうようだ。




ふとボクを包むリディアの体がだんだんと大きくなっていくのを感じてきた。




「ああ…僕の体が…大きくなる…けど…家は…壊したらいけない…だから…分かれる…」




ふとリディアの体の大きさが元に戻った感じがした。




ボクの唇に柔らかいものが押しつけられる。




この感触はリディアの唇。




おかしい。




ボクはリディアに後ろから抱きしめられているはずだ。




「あむぅ…ぴちゃ…ちゅぱ…あえるな…ちゅうぅぅ…ちゅるり」




リディアが二人になっている。




「ふふっ,僕はあくまで一人。でも,体を分裂させることができるの…ちゅ」




ボクはぞわっとした感触がして,つい声を出してしまう。




ボクのお腹に柔らかいものが押しつけられている。




「ちゅぱっ…君のお腹は…綺麗…あむぅ…れろぉ…ぴちゃぴちゃ…ちゅうぅ」




ボクは思わず,頭を上げそうになる。




けれど,ボクの頬に張り付いているリディアの乳首が離さなかった。




それにボクの唇に押しつけてるリディアの唇が押さえつけるように強く吸い付いてくる。




「大丈夫…エテルナは…僕に…身を任せたらいいから…ちゅう」




「れろぉあむぅ…ちゅ…ふふっ,君を…優しく…ちゅぱっ…包んであげる…ちゅうぅぅ」




「君に…あはぁん…安らぎを…とろけるような…ふぅ…眠りを…ああ…与え…たい…」




ボクは三人に増えたリディアに包まれている。




他の二人もだんだんと体が暖かくなってきている。




「もう…我慢できない…あむぅ!」




後から抱きしめているリディアがボクの頭を甘噛みしてきた。




「あむぅ…ちゅぱちゅるるる…ちゅうちゅう…」




ボクの頭がリディアに貪られてる感じだ。




頭の血が吸われて眠たくなってきた。




「ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう」




「ぢゅるぢゅるぢゅるぢゅるぢゅる」




「ちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ」




ボクの全身がリディアに食べられていく。




リディアの胃袋で消化されてるみたいだ。




ボクはリディアと一つになっていくんだ。




ボクは。




「ちゅ…僕の…中に…来て」




リディアの。




「ちゅるっ…僕の…胸の…中で…眠って…」




世界へ。




「ちゅぱっ…さあ…僕の世界…来て…」




旅立っていく。













ボクは宙に浮いていた。


ここは来たことがあった。


リディアの世界だ。


けど。


以前に来たときのように寂しくない世界。


リディアに満たされた世界。




「二度目だね。僕の中に来るのは…」




リディア。




「けど,君の世界でもある…」




ボクの世界。




「ほら,耳を澄ませてみて…」




『あれ,君,泣いてるの?』




この声は。




『私はエテルナの騎士なのだから…』




リーゼだ。




『君はいつまでも変わらないわね…』




リーゼの声。




『愛してるわ,エテルナ…』




ボクの中に残ってるんだ。




例え,声も匂いも忘れてしまっても。




確かにボクの中にあるんだ。




「君の中にいるリーゼは確かに永遠だよ…」




ボクを包み込むような柔らかいものを感じる。




「だって,こんなにも…君の世界は…純粋で…綺麗なのだから…」




リディアがボクを抱きしめている。




「僕はリーゼに永遠を誓ってる君を愛してる…」




とても暖かい。




「だから…君は…君のままでいて…」




それに安らいでくる。




「僕の世界で…眠るといいよ…」




これがリディアの温もりなんだ。




「僕がずっと…抱きしめてあげるから…」




リディアの愛に包まれて。




「おやすみ,エテルナ…」




ボクは眠っていく。















おやすみ,リディア。





























ありがとう,リディア。

物語重視のシリアス路線はここで一旦終了します。


如何だったでしょうか。


これからはいつものノリに戻していこうかと思います。


また,今度からは本当に不定期更新になってしまいそうで,あまり更新できないかもしれません。すいません。


お手柔らかな御感想をお待ちしています。

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