表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

第12話:二人のリディア

ボクはリディアを連れて遠くまで走っていく。


レイラとサーシャの行為を無駄にしないために。


「エテルナ…」


心細そうなリディアの声。


ボクは立ち止まってリディアにしがみつく。


リディアの背が高いからそうなってしまうんだ。


リディアはボクのお友達。


だから,決してリディアを見捨てたりしない。


ボクの思いを感じたのかリディアはしゃがみ込んでボクを包むように抱きしめてくる。


「嬉しい,エテルナ…」


リディアの切ない思いが伝わってくる。


ボクには力が無い。


だけど,ボクがリディアを守る。


しばらくしてボクとリディアは再び走り出した。











ボクとリディアは休むことにした。


水が落ちる音が響いてくる。


手や足に感じる感触は岩のように固いような感じ。


多分,どこかの洞窟なんだろう。


とりあえずここで休もう。


ボクは疲れない体で平気だけど,リディアはそうはいかない。


「ごめんなさい…こんなことに巻き込んでしまって」


リディアが申し訳なさそうな声を出してくる。


お友達はお互いに巻き込むものだ。


ボクは全然気にしていない。


むしろ巻き込んで欲しい。


だって,リディアはボクのお友達なんだから。


「エテルナっ!」


ボクは突然,押し倒される。


地面に頭を打って,ちょっと痛い。


「うああああぁ…」


リディアは泣いていた。


ボクは泣いているリディアの頭をただ撫でるんだった。









「僕はアディエル・ブライトン博士に作られた生体兵器…」


リディアはボクを押し倒して抱きついたまま,呟くように話してくれる。


「博士には双子の妹がいたの…。名前はリディア・ブライトン…」


リディア。


ブライトン。


アディエルの妹の名前がリディアと同じ名だなんて。


リディア・ルシフォードとリディア・ブライトン。


二人の関係はいったい。


「天獄戦争中期で活躍していた英雄で真っ先に挙げられるのはリディア・ブライトン,次にレイラ・ルシフォードだったの…」


レイラと同じ英雄。


しかも,レイラよりも上のような紹介の仕方だ。


アディエルの妹はそんなに凄い人だったんだ。



「ある時…地獄軍が天国軍の仕掛けた罠に嵌り…窮地に追い遣られてしまった。そのときの地獄軍はガーランド帝国の中枢を担う者達も一緒だったの…だから…」



だから。



「当時最強を誇っていたリディアが殿を務めることになったの。もし…ここで全滅すれば…確実に天国軍に負けるぐらいに重要だったから…」



それでアディエルの妹が。



「それに大反対したのが,双子の兄であるアディエル博士。けど,上層部は博士の意志を無視してリディアに任務を強行させたの…そして…リディアは…」





リディアが戦死したんだ。





「博士は怒りと悲しみに囚われてしまった…」





『なぜ,リディアが死なねばならなかったのだ!私は認めない!こんな現実は認めないぞ!』





「そして…僕が作られた…。リディアの血肉を素体として…。博士の怒りと悲しみが形となって…」





だから,博士は天国を憎んでいるんだ。。


けど,それだけじゃない気がする。



「僕は神殺し。神を封じるために作られた兵器。だから,神と戦った…」



確か,神の不滅なる力は強すぎてリディアでも敵わなかったんだ。



「僕は暴走して,敵味方関係無く呑み込んでしまっていた。そんなとき,博士は…」



アディエルは天国だけを憎んでいるんじゃない。




「博士は笑っていたの…」




地獄も憎んでいるんだ。


地獄が自分の妹を死地に追いやったから憎いんだ。


もしかしてアディエルは神様と戦うことでリディアが暴走することを知ってたのかもしれない。


それで,リディアが暴走することで地獄も天国も壊そうとしたのかもしれない。


「僕は博士の復讐のために生み出された破壊兵器。こんな僕でも君はまだ友達でいてくれるの?」


ボクにとってリディアは大切なお友達だ。


例え,神様を滅ぼすために作られた兵器でも変わらない。



ボクにとって,リディアは。



リディア・ブライトンでもなく。



神殺しでもなく。



リディア・ルシフォードなんだ。



ボクの地獄で出来た最初のお友達。



大切な家族なんだ。



「エテルナ…。僕は…君の…友達になれて…本当に…嬉しい…ちゅう」



ボクの唇にリディアの唇が重なる。



「ちゅぱっ!ふぅ……僕もレイラと同じように…死と眠りの口づけで…エテルナを気持ちよく眠らせたい…」



どうして,リディアが死と眠りの口づけのことを知ってるんだろう。



「レイラが話してくれた。僕にも同じように…エテルナを眠らせて欲しいと言ってくれた…」



レイラ。



何てことをリディアに教えるんだ。



「けど,ボクの場合,口づけというよりは…補食…ということになるんだけど…」



補食。



つまり。



ボクは。



リディアに。



食べられるんだ。



「ダメ…かな…?」



リディアに美声がボクの耳から体に染み渡ってくる。


ボクにはリディアの頼みを断ることは出来ない。


それにボクは食べられても死んでも生き返るんだ。


だから。


ボクを食べても良いよ。


ただし。




手加減して。




「大丈夫,今度は暴走しないし,君には僕の中で気持ちよく眠ってもらうようにするから…だから,服を脱いで…」


リディアはボクの服を引っ張ってくる。


服を脱がしたいんだ。


ボクが着ている服はレイラ特性の服でちょっとの力だったら溶けることが無いんだ。


けど,リディアが本気を出したら溶けてしまう。


そうなったらボクは素っ裸のままで過ごさないといけない。


替えの服は家に全部あるわけだから。


だから,リディアはボクの服を溶かさないために脱がそうとしてるんだ。


僕は自分で服を脱いでいく。


そして,素っ裸になった。


ちょっと寒い。




「ふふっ,やっぱり君の体は…綺麗…」




リディアの冷たい体がボクを包み込んでいく。




体がぬるぬるしてくる。




「君の…血と…肉は…僕を…惑わしてしまう…」




だんだん体がひりひりしてきた。




ボクの体が溶けてきているんだろう。




けど,大丈夫。




絶対に溶けきることはないし,死なないから。




だから,怖くない。




「怖がらないで…僕は…君を…気持ちよくさせたいから…」




ちくちくしてきた。




ボクの体の熱がリディアの体に奪われていく。




リディアが体全身でボクの血を吸っているんだ。




気持ちいい冷たさだった。




もうひりひりする感覚が無い。




「僕の体全部が…唇や舌になって…君を…とろけさせるように…舐め溶かして…吸い尽くしてあげる…あぅ…」




リディアの体が本当に唇や舌の様に吸い付いたり,舐め回してるような感じがしてくる。




それにちゅうちゅうと吸い取っていくような音も聞こえてくる。




何とも言えない感じの気持ちよさだった。




「そう…はぁ…僕を…感じて…あぁん…僕の全てを…エテルナ…」




リディアの体が生暖かくなり,血の匂いがしてくるようになった。




リディアの生暖かい体が心地よい感じだ。




「ああぁ…僕の体が…君の血で…満たされていく…はああぁ…」




リディアの体がちゅうちゅうと音を立てながら,ボクの体から血を吸い尽くしてくる。




ボクを抱いてるリディアの体が大きくなってきていた。




「君を…優しく…食べて…あげる…ちゅ」




リディアはボクの頭を持ち上げ,大きくなった唇でボクの顔に口づける。




リディアの大きな唇がボクの顔を優しく包み込んでいく。




ボクの顔がちくちくし,熱を吸い取っていく。




「ちゅぱっ…美味しい…君の血が…ぢゅう…ちゅぱ…僕の唇を…ぢゅぱ…熱くさせていく…ちゅうぅぅ」




リディアの唇から血の味がしてくる。




ボクの体から吸った血の味なんだ。




ボクの顔が冷たくなってきた。




冷たくなったボクの顔を溶かすかのようにリディアの唇が熱かった。




「ちゅうぅぅぅぅっ…っちゅぱっ…ふぅ…」




ふとボクの顔からリディアの唇が離れる。




空気が顔に触れて冷たい。




「ボクは…君の友達…だけど…ちゅ」




ボクの顔にそっと触れるように口づけするリディア。




何だか今までの口づけとは違う。




「ボクは…君を…女として…愛してる…ちゅ」




もう一度ボクの顔に軽くリディアのそれが重なって離れていく。




リディアがボクを女として愛している。




けど。




ボクは。




「分かってる。でも…今だけは…」




リディア。




「今だけは…僕だけの…エテルナに…なって…」




ボクはリーゼに想いを永遠に抱いてる。




だけど。




ボクは。




リディアも。




あれ。




何だろうか。




「いいの,何も考えないで…」




ボクはリディアを。




「僕の中で…眠らせて…あ…げ…る…ちゅうぅぅぅぅ」




ボクの考えを止めるようにリディアの唇が押しつけられていく。




「ちゅぱちゅぱぢゅばぢゅぱぢゅるるるる」




ボクの頭がリディアの口の中に呑み込まれていく。




リディアの口の中は血の匂いと味がして,暖かかった。




「くちゅちゅぱぐちゃちゅぱちゅうぅぅぅ」




ボクの体が呑み込まれると共に血も吸い尽くされようとしていた。




ボクはリディアの中で眠るんだ。




「ぢゅうぅぅぅぅぅぅぅぅ」





おやすみ。





リディア。





「ちゅぱっ…」






「ふぅ…」






「おやすみなさい…」






「エテルナ…」






「そして…」


































「ごめんなさい…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ