光を失った家鴨は
同性愛が含まれる作品です。苦手な方は閲覧しないようお願いします。ただ、作者としては異性愛も同性愛もそこまで大差ないと思っています。
冬の風が頬を切る。駅の駐輪場に着くなり、私は足早にホームに向かって歩き出した。
家田愛瑠16歳。女子校に通う平均的な高校生。早いことで1年生が終わろうとしていた。
高校入学以前の変わり映えのない日常に光を与えてくれたのは紛れもない、彼女のおかげだった。
その人は、私の想い人だった。
部活の仲間でまとめ役。動く度にふわふわとした黒髪ショートヘアが揺れた。成績もよく運動神経抜群、たまに作ってくれるお菓子は絶品といった完璧な子だった。話せば話すほど魅力を振りまかれ、それらは私の身体を掴んで離さなかった。
「愛瑠!」
名前を呼ばれる度に心が踊る。手が触れる度に胸が高鳴り、身体がほのかに熱を帯びていることがわかる。この気持ちを今すぐ伝えてしまいたい、その笑顔は私だけに向けて欲しい、もっと私の名を呼んでほしい。そんな願望を隠すことで精一杯の毎日だった。
人の気も知らないで。
冬の寒さが限界まで到達したある日の放課後。彼女からふたりで勉強がてらどこか行かないかと誘われた。浮ついた気持ちを必死に抑えながらファーストフード店に向かった。女子高生の食欲というものは恐ろしいもので、勉強に入るまでに随分と時間がかかってしまった。話す話題が尽きない。
その時だった。
「実は私言ってなかったんだけど、入学前から10月くらいまで彼氏いたんだよね!」
状況が理解できず、冷や汗が滲む。わけも分からずとりあえず急いで笑顔をつくる。
「え!!いたの!!?」
「絶対わかんなかったでしょ!愛瑠に話すタイミング逃しちゃって。さすがに逃しすぎ?」
わからなかった。男子となんて無縁の人だと思っていたから。もしかしたらチャンスがあるかもなんて、思ったりして、
「別れた時は結構きつかったんだよね〜。○○と△△とかに聞いてもらってさあ。」
○○と△△?私以外の人に相談してたの?いろんな考えが頭の中を駆け巡る。その日の帰りはどう帰ったのかわからない。ただ、頬が冬の風にあたる度に氷のような冷たさを発していたので泣きながら帰ったんだと思う。帰宅して自室に戻ったあとようやく、というか背けていた現実が襲ってきた。
わたし、失恋したんだ。
あんなに楽しかった学校も部活も、今は行きたくない。勝手に期待して勝手に落ち込んでる。せっかくあなたのおかげで醜い家鴨から脱却できたのに。最低だ。いろんな感情が込み上げ、涙が止まらない。
光を与えたのも彼女で、光を奪ったのも彼女だった。
そんな彼女の名は、白鳥ひかる。
美しい白鳥は醜いアヒルの子など眼中になかったのだ。
読んでくださりありがとうございます。
初めて書いたので至らぬ点や読みにくい部分があると思います。すみません。




