~プロローグ~
「なあ明音、結局恋愛って何だろうな。」
「・・・さあね。でもさ恋愛に答えなんかなかったんじゃないの?」
そう言いながら明音は俺の隣で微笑んだ。
また君なのか、と私、飯島咲は心の中で苦笑した。この高校で働き始めて5年、入学して3ヶ月でここまで生活指導室に来る生徒を見たのは初めてかもしれない。うちはそこそこの進学校で平和な学校のはずなのに。
「綾瀬、おまえまたなのか・・・」
「すみません、俺もまた来ることになるとは思いませんでした。」
いま生徒指導室に呼ばれたのは1年C組の綾瀬凜だ。若干髪が長く中性的な顔立ちと凜という名前から女に間違われる事も多いがれっきとした男である。
そして私立霧野宮高校に入学して3ヶ月、かれこれ3回目になる。
「君が悪くないのは分かっているが、どうしてこうトラブルに巻き込まれがちなんだ」
「僕もトラブルに巻き込まれようと思ってる訳じゃないんですけど」
1回目は、道に迷ってそうな女の子に事情を聞こうと後ろから声をかけたらびっくりさせてしまい、たまたま近くにいた警官に捕まった。その後、一応学校に連絡が入り呼ばれたのが初めである。2回目はチンピラ達に絡まれていた中学生(?)をかわいそうに思い助けようとしたらいきなり殴られたため思わず殴り返してしまい、助けるだけのつもりがチンピラと俺の喧嘩になってお互いにそこそこの怪我をした。
(喧嘩が終わった時には、女の子はもういなかった。)
周りの人の通報により、またしてもお巡りさんにお世話になり、次の日、生徒指導室に連行された。そして3回目はグラウンドで活動している野球部が放った打球が下校中の俺の頭にクリーンヒットしそのまま倒れている所に飯島先生が来て、そのまま保健室に直行。意識が戻り一応状況の説明をするため今に至る。
「まあ、どれもこれも事故みたいなものだし、綾瀬が悪い訳ではないんだけど」
「はあ・・・」
「でも川瀬のことも少しは考えてあげてくれよ?」
「あいつがなんかしたんですか?」
俺の幼なじみでなんだかんだずっと近くにいる川瀬明音。地毛が珍しい銀髪で成績も良く、基本的に無銀で読書をしているためミステリアスな雰囲気が出ている。あんまり俺以外の人と話しているところは見たことはない。
「ばかか君は。川瀬が何か起こしたんじゃない。君がここに呼ばれるために事情を聞きに来て迷惑かけましたと謝りに来てくれてるんだぞ」
「知らなかった・・」
そんなことをしてたのか、てかなんでそんなことしてるんだ。
「とりあえず今回の状況は分かったし、もうすぐ下校時刻だからかえっていいぞ。川瀬も待ってるだろうし。こっちは今から君の報告書を作らないといけないんだから。」
「わかりました。こちらこそご迷惑おかけしました?」
「ああ、迷惑だからもう来ないようにしろよー」
「善処します。」
と言って生徒指導室を後にした。
「凜君待ってた。」
下駄箱にいくと後ろから声をかけられてかなりびっくりした。
「いつも言ってるけど、後ろからいきなり声をかけないでくれよ明音。」
「違うよ。廊下で待ってたのに凜君が気づかず行っちゃうからだよ。」
「ああ・・そうだったのね、それはごめん」
「いいよ。帰ろう?」
夕日に照らされ、二人並んで歩きながら、これからは平穏な日々が続けばいいなと思いながら。これから3年間青春の波にのまれるとも知らずに。
初めまして!こんにちは!こんばんわ!ねこやまれいんです!今回が初めての小説投稿になりますが、最初はどうだったでしょうか?とにかく今は書きたいことだけ書いて完結させることを目標に頑張っていきたいと思います。応援してくださるととても元気が出ます!感想などももらえるとモチベーションになります!ではではこの辺で次の第1話またあいましょう!