お風呂・相棒
イグニスへの御褒美、ご飯タイムの次はお風呂の時間だ。
「じゃあ、頼むよ」
「ワンッ!」
俺は湯船に魔法で水を落とすと、イグニスに湯を沸かすようにお願いした。
この家はほとんど水道料金を払っておらず、基本料金だけで済んでいる。
というのも、風呂と料理で使う水は魔法で賄っているからだ。トイレだけは流さないといけないので、契約しないわけにはいかなかったんだよなぁ。
湯を沸かすガス料金は必要ない。ガスは契約してない。
電気はネットが使いたいので必須。でも、冷蔵庫は異世界の物を使っているし、灯りも空調も魔法でオーケー。節電はバッチリだ。
魔法でできることは、魔法でやる。
異世界生活でついた習慣だ。
「いい湯だな~」
「クゥ~ン」
イグニスと一緒に湯船に浸かる。
俺との付き合いが長いイグニス。昔はそうでもなかったが、今では立派な風呂好きである。湯船に浮かび、気持ち良さそうにしている。
いい湯加減なので、俺も目を細めて湯を堪能することにした。
「ワンッ!」
しばらくマッタリしていると、イグニスはそろそろアレをしてほしいと、おねだりをする。
イグニスは自分ではできない魔法を俺に頼るのだ。
「おー。じゃー、いくぞー」
いい湯加減でいい感じになった頭でも、魔法はちゃんと発動する。
イグニスに頼まれた俺は、水の魔法でイグニスとその回りのお湯を持ち上げて。
「大回転~」
「ワフゥ~~」
お湯を高速回転させた。
箱の中なら洗濯機である。
イグニスは一度、動いている洗濯機の中に侵入したことがある。そしてこの回転を気に入ったのだ。
なんで気に入ったのかは知らないが、とても楽しそうにくるくる回っている。三半規管は大丈夫なんだろうか?
そうやって風呂から上がったら、コーヒー牛乳。
俺は腰に手を当てず、そのまま飲む。瓶じゃなくてコップだし。
イグニスには冷えた牛乳。ストレート。
こうして体の火照りを飲み物で締めた俺たちは、しばらくダラダラしてからベッドで寝るのだった。




