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我が家・相棒

 今の会社は、給料が安くても時間の縛りが緩い。毎日定時退社で、月に2日ぐらいなら休みを取っても怒られない。

 聞いた話ではあるが、これが普通の会社だと、休みを頻繁に取ると怒られる、上司や同僚から嫌われると言うのだ。休む間の仕事をちゃんと引き継いで他に影響が出ないようにしても、休みが多い奴は信用できないと言われるそうだ。なんとも古くさい考えの会社だと思う。

 今のご時世、有給休暇はきっちり取らせるのが常識なのにね。



「ただいまー」

「ワンッ!」


 家に帰った俺の出迎えは、愛犬のフリをした精霊獣。「イグニス」という名前で、異世界からの付き合いがある俺の相棒だ。

 今の見た目は室内で飼う黒い毛並みの小型犬だけど、本気モードでは大型犬の成体よりも大きくなり、毛並みは真っ白な炎に覆われる。

 そしてイグニスはかなり強い。戦闘能力は元勇者である俺と同等。小型犬のままでも、人間相手なら絶対に負けない。そもそも物理攻撃を無効化しているし。



 イグニスの現在の仕事は、我が家の番犬。

 そして、近所の管理。


 イグニスは強いだけでなく、悪党を嗅ぎ分ける鼻がある。近所で犯罪者が空き巣などをしようものなら、裏でバレないようにこっそり焼き殺すぐらいはできる。イグニスは姿を消すことができるし、焼いても灰すら残さないので、事件にもならない。


 ……いや、事件にはなるか。

 この間、イグニスが中国人窃盗団を焼き殺したんだけど、車は放置したのでそこから大騒ぎになった。泥棒の計画書とか、そういったものが入ったメモリが出てきたんだよね。

 放置車両は、さすがにどうにもならない。俺が亜空間収納で回収することもあるけど、近くにいないときはね、放置するしかないんだ。



「ワンッ!」

「今日も頑張ったか。ご飯は多めにするよ」


 イグニスのご飯は、俺の魔力だけでもいい。

 しかし普通のご飯も、嗜好品としてだが食べられるので、頑張った日はサービスすることにしている。


「今日は学校でいじめっこを懲らしめたか。ヨシヨシ」


 なお、犯罪者だからといって、問答無用で殺すわけではない。そこまでするのはそうとう悪質な犯罪者だけで、稀な話だ。


 中学校で行われたイジメの妨害として、イジメの主犯が持っていたライターを発火させる程度の介入にとどまる場合もある。

 火はすぐに消えたが、ライターとタバコの持ち込みがバレて、その主犯は停学処分を受けた。あとはイジメの話も芋づる式に表沙汰になり、会わせ技一本で退学になるだろうと、クラスや職員会議で話をされている。

 クラスメイトも自分に被害がでないように主犯を売るようなので、ほぼ確定だろうとイグニスは言う。



 自分ルールで犯罪者を裁くのは悪いことだが、これも身の回りの平和を保つためだ。

 俺の相棒には、引き続き頑張ってほしい。

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