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心の傷を認める

 

「あれ……もう一週間経つんじゃないかな……」

 ライアが仕事がひと段落した午後、思い出したように呟いた。

 なんとなく日常に戻って、村の人が来るたびに薬を調合したり空き時間に裏庭で干している薬草を保存用に整えて台所の棚にしまう作業や新しく調合しておく作業をこなしながら一週間経った。

 つまり、レジナルドが訪ねて来なくなって一週間。

 その間にニールが来たりオルフェとリアムが来たりしたけどレジナルドはあれっきり来ないままだ。


 それはそれでなんだか寂しい……気がする。

 なんて思っていると。


「……あ」

 玄関で気配。

 なんだか、知ってる感じの気配だ。


 なのでそっと近くによって細くドアを開けてみる。

「……っ!」

 息を飲んだように固まっている白ウサギ発見。

「ずいぶん久しぶりじゃない」

 ライアが細い隙間から声をかけてみる。

 なんとなくこちらもドアを大きく開けて「ようこそ! いらっしゃいませ!」という気分ではないので。

「……うん。その……色々あって」

「色々?」

 気まずそうなレジナルドにライアがたたみかけるように聞き返すと薄茶色の瞳が陰った。

 そんなレジナルドを見てふと。

 ……まぁ、いいか。なんかこれって私が「会えなくて寂しかった」って拗ねてるように見えるじゃない。

 と思えて。

「これから夕飯の支度するんだけど一緒に食べる?」

 と言いながらドアをもう少し開く。

「良ければ……手伝うけど」

 ちらりとこちらを窺う瞳には期待の色が見える。

 なのでドアを大きく開けて中に入るように促すと、安心したような顔になったレジナルドが入ってきた。


 そしてライアの方はといえば。

 ちょっと。

『良ければ、手伝うけど』だって。

 なんかめちゃめちゃ可愛くない? あの顔で、あの上目遣いで! ただ『食べる』って言ってくれていいのに『手伝うけど』だって!

 ぶくく、と笑いそうになりながらどうにか冷静さを保ってみる。


 笑いをこらえるようにしながら台所まで行って。さて、二人分か。なにを作ろうか。とちょっと考えてみて。

「何食べたい?」

 聞くのが早いと思い至った。

「……オムライス」

 ぽそっと帰ってきた答えに。

 あ。ですよねー。こないだも美味しそうに食べてたもんな。あれ好きよねこの子。と、力の抜けた笑顔になる。

 じゃあ……それだけってわけにはいかないから野菜たっぷりのスープとかも作ろうか。と思い至り。

「あ、じゃあご飯炊いてもらわなきゃ」

「うん。やる」

 さすが何回かここに通っていただけあって一緒に作るとなると動きがスムーズなレジナルドが神妙な顔つきで米を洗い出す。

 そんな様子を横目にライアが野菜を刻み始める。まずはスープに入れる物から。

 ニンジン、玉葱、ジャガイモ、南瓜。ざくざく刻んで鍋に入れ、水を少し入れて火にかけてから蓋。

 しばらくしたら野菜からも水分が上がってくるからそれで蒸し煮になるようにして……後で腸詰めとミルクを入れよう。

 あとはオムライスの準備に野菜を刻んでおこう。

 と。

「あ、僕やるよそれ」

 炊いているご飯の方から目を離したレジナルドが野菜を刻もうとしているライアの方に来て包丁を取るので。

「細かく刻むの、できる?」

「いつも見てたから多分できる」

 真剣な眼差しがやけに微笑ましい。

 横から見ていると結構器用にこなしている。本当によく見ていたんだろうな、初めてここで包丁を手にした時は指の上に刃を下ろしそうで見ていられなかったけどだいぶ安心して見られるようになった。

 ライアが安心して胸を撫で下ろし。


「あ……で、色々って何があったの?」

 そういえば彼がさっき、色々あって来れなかったみたいなことを言っていたな、と思って訊いてみることに。

「え……あー……うん」

 トントンと刻んでいた音が途端に不規則になってレジナルドがしどろもどろになった。

 おや、なんだろう。とライアが首を傾げると。

「あのさ。僕、知らなかったんだけど……ライアってゼアドル一族の関係者だった、の?」

 手を止めたレジナルドがライアの方に向かって顔を上げた。

「ああ、それ」

 なんだか最近よく聞くようになってようやく認識した家名だ。

 そう思うと、ついげんなりとした顔になってしまうのだが。

「厳密には他人よ。師匠が元々あの一族の人だったの。でも縁を切ってこっちに来て仕事してたからね。私はたまたま師匠に拾ってもらったってだけでそもそも赤の他人だし」

「そう……なんだ」

 ライアの説明にどことなく納得したようなしてないような、といったレジナルドが手元を見つめたまま固まっている。

「やっぱりグランホスタ商会の後継者としては気になる?」

 ライアが薄く笑って尋ねるとレジナルドがハッとしたように顔を上げて。

「え、いや! 違うよ。僕は家業には興味ないんだから!」

 慌てるようにそう言ってから、ちょっと眉をしかめた。

「ライア、うちのこと知ってた?」

 そろりと視線を向けられる。ので。

「……まぁ、ああいうパーティーに行ったらいつかはバレるわよね普通。私の場合パーティー当日は耳が聞こえない時期で周りの雑談なんかほとんど聞きとれなかったからその場では分からなかったけど……可能性としては他の人と言葉を交わしたついでに聞き及ぶっていうことだってあったわけでしょ?」

「ああ……そうだね。いや、別に隠してたわけじゃないから知られたらそれはそれでいいかなと思ってたんだけど」

 気まずそうに薄茶色の目が逸らされた。

「あの後にね、ゼアドル家の人となぜだかオルフェが血相変えてうちに来て……で、事情がわかったってわけ。私、商会とかって元々全く興味なかったもんで」

 ライアが軽く腕を組んで口元を引き締める。で、ああそれから、と思い出したように。

「パーティーの翌日に、あなたのお祖父様もいらしたわよ」

「……えっ?」

 そうか。知らなかったのか。

 ライアがちょっと遠い目をした。


「……あいつ、ライアに何言った?」

 少し間を置いてからレジナルドが聞いたこともないような低い声を絞り出したのでライアが驚いて一瞬息を飲む。


 その顔からは表情らしい表情が消えており、視線も鋭くなっていてどことなく冷気が漂っている。


「え、別に大した話はしなかった、と思うんだけどな。なんか、お茶して帰っていったけど」

「……そう」

 辿々しく説明するライアにレジナルドはすっと視線を逸らしてため息を吐いた。その様子にただならぬものを感じてライアが眉をしかめる。

 ずんっ、と音がしたんじゃないかというくらい重そうな空気を背負ったレジナルドが纏う空気はやはり完全なる冷気だ。

 で。

「……っあーっと、その続きは私がやるわね! レジナルドはお湯沸かしておいてもらってもいい? お茶淹れるから」

 レジナルドの様子に危機感を感じてライアがその手から包丁を奪って刻み途中の野菜に向かう。

 うん、なんか……今の彼に刃物なんか持たせちゃいけないような気がしてならない。

 レジナルドは無言で言われた通りに動いてくれる。

 なのでほっと息を吐きながらライアは残りの野菜をトントントンと刻み始め。

 そんなライアを横目で見ていたレジナルドが。

「……どうだった? あの祖父(じい)さん」

 と声をかけてきた。

「どうって?」

 ライアが作業を止めることなく聞き返す。

「……ライアは……どんな人だと……思ったかな……って」

 言葉を探すように途切れ途切れの言葉が返ってきた。

 なので。

「んー……私に対してはそんなに変な感じじゃなかったけど……普通、かな」

 ライアは素っ気なくそう返す。

「普通……」

 そしてそれっきりレジナルドは黙り込んだ。



「えーと。レジナルド、ちょっと待ってね」

 食事の支度ができてテーブルに並べたところでさすがにライアが声を上げた。

「うん?」

 小さく聞き返すようにこちらに視線を送ってきたレジナルドはちょうど席に着こうと椅子を引いたところ。

「えーと、大丈夫? さっきからずっと黙ったままよ?」

 椅子を引いて座りながらもこちらに視線を向けたままのレジナルドにライアが苦笑を向けた。

 さっきのやり取りの後、レジナルドは温度を失ったような表情のまま言われたことを無言で手伝い、今に至る。

 ちょっと予想していたライアは食後に淹れようと思っていたお茶を急遽先に用意することにしてリラックス系の薬茶をレジナルドの前に出している。

 食前酒ならぬ食前茶だ。

「あ……うん……」

 レジナルドの視線が手元のカップに落ちた。

 その先には出来立てのオムライスと具沢山のスープ。

 いつもならキラキラ笑顔でスプーンを取るところだが、やはり今ひとつ元気がないまま手も動きそうにない。

「レジナルド?」

 さすがに心配になってライアが名前を呼ぶと、意を決したように大きく息を吐いてから。

「あのさ……祖父のこと……ライアは何も言わないんだなと思って」

「何も……?」

 いやさっき率直な感想は言ったはずなんだけど。

 そう思いつつライアが首を傾げると。

「仕事で会う人間とか、親戚はさ……僕があいつのこと悪く言っても『何言ってんだ、いい人じゃないか。仲良くしてやったらどうだ』みたいなこと言うから……ライアもそういうふうに言うかなって、思ったんだけど」

 ああ、そういうことか。

 ライアは今までの彼の沈黙の意味がわかってふっと息を吐いた。

「あのね。私に対してあの人がどういう態度を取ったかということと、レジナルドとの間で何があったかというのは別問題だと思うのよ」

 ライアの言葉には若干の笑みが含まれている。


 なんだろう、この感じ。

 なんて思いながらつい笑みが漏れた。

 レジナルドはきっと周りの人から意に沿わないことを言われて辛い思いをしてきたんじゃないだろうか、と察してしまった。

 そして私にそれを言われたら、きっと更に傷つくのだろう。だからそう言ってほしくなくて、その言葉を引き出してしまわないように黙っていたんだろうな。

 そう思ったら、なんだか無性に向かいの席に座るレジナルドが可愛く見えてしまって。

 温度ゼロか下手したら氷点下の空気を纏っているような、無表情のまま人形のような顔だったレジナルドを、温めてあげたくなってしまった。


 そんな目を向けながら出した言葉にレジナルドがノロノロと顔を上げた。

「別問題……?」

 平坦な口調のまま聞き返される。

「だって、レジナルドにとってお祖父(じい)さんって理不尽なクソジジイでしょ。そういう人を周りがどんなに高く評価したってレジナルドの評価が変わるわけじゃないじゃない。今までしてきた事が帳消しになるわけでもないし。それなら私がそのクソジジイと『仲直りしたら?』とか言う筋合いはないわよね。そういうの、余計なお世話っていうのよ。言われた方はたまったもんじゃないでしょうが」


 そもそも。

 あのお祖父(じい)さん、表向きの態度なんていくらでも取り繕える技量があって当たり前。そうでなきゃああいう仕事は務まらないだろうし。

 そしてレジナルドが受けている心の傷って、もうそれは幼少期からの積み重ねだ。子供が心に受ける傷って、ある程度成長してから傷付けられるのとは全く性質の違うトラウマを植え込む。

 彼は、きっと、もう生理的に受け付けないくらいにあの人を嫌いになっているのだ。

 そういう感覚は、ちょっと身に覚えがあるような気がしなくもないので直感的にそう思った。


「ライアは……僕があいつを嫌ってることを非難したりしない……?」

「しないわよ。だってそうならざるを得ない状況だったんだから仕方ないじゃない。むしろそういう人と一緒に暮らしてるだけ凄いわ。よく頑張ってると思うけど」

 絞り出すように出た問いにライアはあっけらかんと答えた。

「え……」

 そんなライアにレジナルドが目を見開く。

「……ほんとに……?」

「ほんとほんと。ほら、まずそのお茶飲んで落ち着きなさい」

 レジナルドの前に出したお茶はそろそろ程よく冷めているだろう。

 ライアの言葉にレジナルドが心ここに在らずといった面持ちのままカップを取り上げて口に運んだ。

 こくり、と小さく喉が鳴って……薄茶色の瞳がカップの水面を改めて見つめる。

「……美味しい……」

 そう呟いて再びカップに口をつけ、今度はこくこくと最後まで飲み干した。

 ああ、本当にいい感じに冷めてたのね。……良かった。

 薬茶は飲むことによって効果があるだけでなく香りにも効果がある。目の前のカップから立ち上り続けていた香りも多少は彼の心を落ち着けてくれていたかもしれない。

 そう思いながらライアはつい力の抜けた笑みを漏らした。




 食事を始めたレジナルドにようやく笑顔が戻った。

「……やっぱりオムライスって美味しい……」

「……良かったわね」

 ライアがついじとっとした目を向けてしまうほどレジナルドの食べるスピードは半端ない。

 この子、もしかして食事抜いてたとかじゃないよね、なんて変な予感さえしてしまう。

 一応レジナルドの分は自分のものより多め、大きめに作ったが。

 好きな物を食べるにあたって嫌な感情を伴わせるのもかわいそうに思ったから……スッキリしたところで笑顔で食事ができて良かったな、とも思う。


「忙しかったの?」

 レジナルドの食べるペースが落ち着いたところでライアが声をかけた。

「ああ……うん。ごめん。……僕がライアのこと知らなかった事が悪いんだ」

「え? 私っ?」

 いや。さっきそんなようなことを聞かれたから多少は関わっているのかな、くらいには思ったけどそんなど真ん中みたいな言い方されるとは思わなかった。

 と、ライアが目を丸くした。

「あ……だから、ごめん」

 もう少しで食べ切るという皿の前にスプーンを置いてレジナルドがライアの方に決まり悪そうな目を向ける。

「僕は家業を継ぐ気はないんだけど、今のところまだその意思が通ってるわけじゃないからさ。こないだのパーティーで何人かライアのことに気づいた人がいたんだよね。で、ゼアドル家の関係者を呼ぶってどういうことだ、みたいな話になってて……収拾つけるのにちょっとかかった」

「それ……収拾ついたの?」

 うちの方の一族は収拾つかなくて代表一名が怒鳴り込みに来たんだけど。

 なんて他人事のように思いながらライアが尋ねると。

「つけたよ。そのくらいはね。ライアに迷惑かけるわけにいかないし。……それに僕が聞いてる情報と事実はちょっと違うみたいだし」

「……え?」

 レジナルドの瞳がどことなく鋭くなってすいと横を向く。

 その一瞬のうちに彼が纏う空気に温度がなくなったような気がしてライアが息を飲んだ。

「僕はさ、『ライアはゼアドル商会の懐刀』みたいなことを聞かされたよ。その証拠に商会の利益を上げるための品物と腕を持っていて門外不出にしているって」

 どこかに怒気を含んだような声音は反射的に背筋がぞくりとする。

 でもその感情は決してライアに向けられているわけではなく、ここにいない誰かに向けられているのは明らか。

 そしてライアは直感的に言葉の意味は理解した。


 ……そうか、あの薬のことって結構知られてるんだ。

 なんてどこか遠い他人事のように考える。


 ああ、でも。

「えーと、一応否定はしておいていい?」

 うーん、と軽く首を傾げながらライアが声を上げるのでレジナルドの視線がようやくライアの方に戻ってきた。

 ので。

「私、ゼアドル商会とは関係ないから。あの人たち、この店の権利証書を取り上げて自分たちの名義に書き換えるのが目的なのよ。そうしたらここで作られている物が全部自分たちのものになって利益を上げられるって考えてるみたいで」

「え、じゃあ……今は」

「うん。師匠がね、ゼアドル一族と縁を切って、この家に関係する財産は全部個人所有に書き換えた上、亡くなる直前に私に譲渡したからあの人達とは一切無縁、よ。たまに家探ししにくるけど見つけられるわけないしあの証書」

 ふふん、とライアが笑ってみせる。

「家探しって……それ……拒否しろよ……」

 脱力したようにレジナルドが片手で顔を覆う。

「だって。一応師匠とは血が繋がってるわけじゃない。『祖母を偲んで来ただけです』なんていう言い分を持ってる人を堂々と追い出したらこっちが何言われるか分かったもんじゃないし」

 ライアがため息混じりにそう言うとレジナルドが「ああ、なるほど……それにしてもお人好しすぎないかそれ……」とかなんとか呟くが、これはライアの耳には届かず。

「まぁ、家の中片付けるの大変になるからちょっと困るって言えば困るんだけど……定期的に大掃除ができると思えばいいかなとか?」

 へへ。と笑ってみせると。

「あ、え? 家探しってそんなに本格的にされるの?」

 レジナルドの目つきが一瞬鋭くなった。

「んー、そうね。意図的に全部ひっくり返すとかじゃないけど……こないだの時は、私の部屋なんか一見大したことなかったけど引き出しの中の服とか結構ぐっちゃぐちゃだったわね。普段は服をたたんだりしない人が一回引っ張り出したら元には戻せないんじゃないかな……」

 ちょっと前の出来事を思い出しながらライアが苦笑する。

 そう。

 初めは大して荒れてないからすぐ元に戻せると思ったのだ。

 で、引き出しからはみ出している物を中に入れようとして……きちんとたたんであった物が全部丸まっているから入りきれなくてはみ出しているのだということに気づき「おお、これは他のところも中身はこんな感じなのか?」と、本棚についている小さな引き出しや書き物机の引き出しを開けてみて愕然とし……全部一旦出してからあるべきところに収め直して、力尽きた。

 そんなことを思い出すとつい視線が遠くに飛んでしまう。

 と。

「だっ、駄目だ、そんなの! 女の子の部屋の中を、しかも服って!」

 いきなり顔を赤くして声を上げるレジナルドに。

「えー……そんな。だってどうせあの人たち私を女として見てるわけじゃないんだから良いわよもう。それに見つからなくて納得してもらえるんならそれでいいし」

「いいわけないだろ。だって、服って……その……下着とかも見られたってことだよねっ?」

「……あははは」

「笑って誤魔化すな!」

「……だってぇ……」

 そういうところはスルーしといて欲しかったなぁ。片付けながら、さすがにこっぱずかしいと赤面したわよ。


「……あのさ」

 ちょっと間を置いてからレジナルドが一段低い声で切り出した。

「はい?」

 ライアが決まり悪そうに視線を戻すと。

「次はいつくるかとかわかるの? それ」

 怒ったような口調で問われるので。

「えーと……正確にはわからないけどだいたい月一で来るのよね。でも、今月はこないだ別件でオルフェと来たばっかりだから……来るかなぁ……」

「むしろ来るだろ。改めて伺いました、的な口実で! ……そっか。分かった。明日から僕が用心棒しに来てやる」

「ええ!」

 ライアのいかにも無頓着そうな返事に何やら闘志を燃やしたようなレジナルドが密かに拳をぐっと握る。


「だいたい僕だってライアの部屋なんか見てないのに下着とかって……絶対許せない……」なんていう呟きはもちろんライアの耳には届いていない。



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