表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

報われない片想いの話

拾った手紙と片思いの話

作者: 紅南瓜


見舞い客が帰った夕方、病院の廊下のごみ箱の横で捨て損なったような手紙を拾った。

宛名のない手紙で、悪いとは思ったが中に宛名があるのではと思い封を切る。宛名はなかったけれど、手紙の文字をみて誰が書いたものかすぐにわかった。

辺りを警戒しながらも、つい懐にそれを忍ばせて何事も無かったように病室へ戻り枕の下へ隠す。

そのまま夕食を食べて検診をうけ、見回りの人が病室の前を通り過ぎるのを息を殺して待った。

拾った手紙を、消灯時間がすぎてしんと静まりかえる頃に月明かりを頼りに読んだ。

知らぬ間に涙が溢れた。

あいつが親友の俺をどれだけ大事におもってくれているのかがよくわかった。同時に、この気持ちはどこまでいってもあいつには届かないということも。

自分でも、なんでこんなに好きなのかよく分からない。とても格好良いとかとびきり可愛いとか救ってもらったとか特別な出来事なんかは全くない。

他の誰かを好きになろうと、忘れようとすれば出来そうなのになぜかできない。そうしようとする度に、はじめて見た少年の自分にすら向けられていない、横から見た笑顔が頭をよぎるのだ。

あいつにはもうその面影もあんまりないのになんでこんなにも胸がくるしいのか本当に分からない。

考えれば考えるほど非情に、(かな)しさは増すばかりで涙となって目から溢れる。誰にも知られまいと静かに溢れるそれを拭い続け、手紙にまた封をする。そして今度は拾われないようにきちんと廊下のごみ箱へ捨てた。

病室に戻りまた横になりながら、東雲の仄かな光が部屋を包んでいるのに気づく。

夜通し泣いたせいで両瞼が少し赤く腫れ、ひりひりとする目元に指先でそっと触れる。

毎朝、あいつがまた来ないかと考えていたけれど、今日だけは来ないことを願いながら。


読んでいただきありがとうございます。

「報われない片想いの話」シリーズの入院中の話ですが、この手紙はどこかで出てきたんだろうかと思われたかも知れません。他の話には出てきてないです。執筆中です。

手紙を書いた話から拾う話の流れで投稿する予定でしたが、時間がかかりそうなので先に投稿しました。


宜しければ、シリーズの他の話にも目を通していただければと思います。そして、一言でも酷評でもなんでもいいので感想、評価等頂けたらと思います。

お時間いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ