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ハノイの塔2
腕時計を見ようとしたが付けていなかった
とっさに窓を見る、お昼位だろうか太陽の高さも公園にいた時と変わらない気がする
視線が少し下がっている気がする
全身を見ると学生服を着ている
本当に戻ったのか?35年前に
「おーいまるおー」
クラスの女子に呼び掛けられる
「あれー?何持ってんの?」
そうだ、これは目立ち過ぎる
慌てて横の掃除用具入れに押し込んだ
「今日学校終わったらどこいく?」
随分前にきいたセリフだった
「じゃあ今日は商店街行こうか」
女の子はニコっと笑う
「まるおはそこ好きだねぇ」
何度も夢で見た光景だ
この時に戻りたかったんだ
今度は間違えない
素晴らしい未来を期待しつつ午後の授業を受けていた
6限目の授業が終わり、掃除の時間
もう彼女との時間を考えて上の空だった
その時、突然空が真っ暗になった
嫌な予感がし、ハノイの塔を入れた掃除用具入れに向かう
店主の言葉を思い出す
「ちきしょう!もっと別の場所に隠しておくべきだった・・!」
悪い予感は的中した。ハノイの塔は円盤が散らばっていて
円盤にひびが入っていた