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ハノイの塔  作者: 小豆畑まお
1/2

ハノイの塔1

男は今日50歳の誕生日だった


家族はいなく、友達もいない。工場で働く日々を過ごしていた

休みの日もめったに家を出ない。

しかし、休日の今日は珍しく外を歩いていた


なぜか骨董品屋の前で立ち止まった

「興味もねぇんだけどなあ・・」

そう、この男は無趣味なのである

それ故に他にどこも行くところはない、男は店に入った


壺などは置いていない。古い子供用の玩具だろうかそういったのが陳列されていた

いったい誰が買うのだろうか。男がいぶかしげに見ていると

「お客さん、気に入ったものはあったかい?」

店主であろうおじいさんに声をかけられた

「いやぁ まだ見ているだけで特に気に入ったものは・・」

そう言いかけた時、ある玩具が目に付く

なぜか目を話す事が出来ない、存在感のある物体だ

「お客さん、お目が高いねえ。これはいわくつきの商品なんですよ」

店主は神妙に語り出した

「3つの棒と、真ん中の棒に10個の円盤が刺さっているでしょ?

この円盤一つは5年をあらわしてるんですよ

そこが本来のハノイの塔と違ってね、ひっひっひ

小さい円盤の上に大きな円盤を乗せないというルールがあってね

左の円盤に積んでいくわけですよ

例えば2つの円盤を左に積んでしばらく待てば10年前、10の円盤を乗せれば50年前に戻るというわけですね

面白い事にこれを最後に動かした者の記憶とハノイの塔だけはそのまま

なんせ動かした人以外時間が戻ってしまうので真偽を確かめられないらしいのです。ひっひっひ」


店主がハノイの塔を持ち、布切れで埃をとっていた


ただの玩具と思っていたがとんでも商品らしい

しかし呪われているわけでもなさそうだしデザインもいい

男は店主の話は全く信じなかったがその商品を買った



実際持ってみると1キロほどはあるだろうか

結構な大きさで持っていると目立つ

公園のベンチでとりあえず動かしてみる事にした

「じゃあ10個動かしてみようか。50歳の誕生日にこんなものを買ってしまうとは因果を感じるな」

男が円盤を動かしていると、意外と時間がかかる事に気づいた

「50年前に戻っても0歳か・・じゃあ7個動かして35年前に戻ってみるか」

男は店主の話を全く信じていなかったが、人並みにやり直したかった事や過去の後悔はある

そんな日々を思い出しながら積み上げていく


「はぁ やっと完成か」

男は7つの円盤を左の棒に移動させた。

ルールも違反していない

「何やってるんだろう。なにも起こるわけないのに」

そう思った瞬間だった

目の前の景色が学校に変わっていた

「えっ?」


手にはハノイの塔を持っていた

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