ジャニュアリー2
二人は食べ終えて食器を片づけている。
りさが食器を洗い里中がそれの水滴を拭いて元の場所に戻すという作業で二人は意気投合している。
「りささん、明日日曜日じゃないですか。もしよろしければ映画でも行きませんか?」
「その話は後、今は口を動かさないで手を動かしてよ。まったく何で主役だった私たちがこんなことしなければいけないのよ」
「それはあんたたちが私たちを心配させたからでしょ」
背後から梓の声が聞こえ振り向くと紛れもない梓だ。続けて、
「せめて電話の一本ぐらいは欲しかったところだったがなあ」
「悪かったよ姉さん。そんな怖い顔しないでよ」
「じゃあ私は先に帰るけど、食器片づけたら戸締まりガスの元栓調べてから帰ってね」
「わかった」「はい」
食器を洗い終えて二人は帰宅する。
「じゃありささん。明日は平井駅の改札口で待っていますので来てくださいね」
「分かった」
「じゃあお休みなさい」
「ああ、お休み」
里中は自転車をこいで自宅へと帰っていく。りさは原付を走行させ自宅へと戻った。
家の前に到着したのが十時ジャストだった。
ただいまも言わずに玄関を開けると愛梨が玄関に待ち伏せていた。
「りっちゃん遅かったね。大学はどうなったの?」
自分ごとのようにハラハラしている愛梨。
「受かったよ」
親指をたててにっこりと笑ってウインクするりさ。
「おめでとう」
愛梨はりさに抱きつく。
「よしてよ愛梨お姉ちゃん」
「愛梨ちゃん心配だったんだから、でも春からあこがれの大学生だね。愛梨ちゃん嬉しい」
りさは愛梨に祝福され初めて受験に受かったことを喜べた。
日が昇るとともにりさは目覚めた。
徳川の夢を見た。
徳川は言っていた。
『俺は東大に行く前に死んでしまったが梓さんやりささんに勉強を教えられてすごく楽しかった。この先はあんたたちの時代だ・・・・・・』
セリフの続きがあったと思うのだが忘れてしまったようだ。
「そうだ。これから先は私たちの時代だ。だからガールズビーアンビシャス。少女よ大志を抱け」
窓を開け雲一つない快晴な空に向かって拳を突き上げ叫んだ。
今日は里中とデートだ。
着ていく服は白いお洒落なダッフルコートにタイトなジーパンで決めることにした。
居間に行くと愛梨が朝ご飯を作って待っていた。
メニューはミートローフにサラダスパゲティにトーストだった。
愛梨は日に日に料理の腕を上げているようにも思える。
「りっちゃん。どうしたのそのお洒落な格好は?ひょっとしてデート?」
にやにやしながら愛梨が言いかける。
「まあ、そんなところだよ」
「エーりっちゃん彼氏いたの?初めて聞くんだけどどんな人?」
「これ」
里中ととったプリクラを見せる。
「きゃーかっこいい。今度愛梨ちゃんにも紹介してよ」
「今度ね」
朝食を済ませ外に出て原付に乗って走行した。
待ち合わせ時間の十分前に到着した。
どうやら早く来たようでまだ里中は来ていないようだ。その間りさはウォークマンを聞いて待つことにした。曲はミスチルだ。
十五分が経過してまだ来ない。仕方がないので里中の携帯にかけることにした。
つながって、
「もしもし私だけど、明?」
「へ?今何時ですか?」
寝ぼけた口調で言う里中。
「もしかしてあんた今日私と映画行く約束忘れていたの?」
「あー」
受話器の向こうから叫び声が聞こえてりさは、
「何よびっくりするわね」
と驚く。
「すいませんすいません。今から行きますので、待っていてください」
どうやら里中は約束を忘れて寝過ごしてしまったみたいだ。
三十分がすぎてりさは憤る。
すると駅の向こうから里中が全速力で走ってくる姿が見えた。
その姿をとらえたりさは走ってくる里中に向かって走り出して助走をつけて跳び蹴りをかました。
倒れ込んだ里中に。
「女の子待たせるなんて最低。今何時だと思っているのよ」
「すいませんすいません」
りさに向かって土下座する里中。
反省しているみたいなのでりさは、
「今度から気をつけなさいよ」
「すいませんでした」
「さあ、私の原付で錦糸町まで行くわよ」
りさが原付に跨ると里中はその後ろに乗る。続けてりさが、
「しっかり捕まっているんだよ」
「はい」
走行してりさは思う。そんなおっちょこちょいの里中も大好きなりさであった。
今日デートに誘った理由は徳川の件で少しでもりさが元気になってくれたらと思って誘ったのだったが今のりさの様子を見てみると心の整理はついたみたいで里中は恋人として安心していた。
思えばりさと里中は付き合い始めてデートなどしたことがない。良い機会だと思って恋人同士として親睦を深めるチャンスだと思った。




