崩壊ゲーム
遠くから鼻歌が聴こえてくる。
陽人くんのストーカーは以前から私を知っているみたいだった。
でも…。私の周りには優しい人ばかり…。
それに周りはみんな陽人くんとの事を応援してくれていた。
じゃあ一体なぜ…?
私と陽人くんの事をよく思っていなかった人がいた…?
そんな事を考えていると足音が近づいてきた。
「今からこれを聞いてもらうよ…何回何万回とね…
何回まで耐えられるか…楽しみ!」
「3.2.1スタート!」
そう言うとスマホをタップする音が聞こえた。
聞いたことのある優しい声。
「陽人くん…?」
私は無意識に彼の名前を呼ぶ。
でも次の瞬間陽人くんは私を貶し始めた。
足が不自由で使えない。
役たたずでなんの価値もない人間。
それは未弥お前だ。
その言葉が繰り返し繰り返し流れる。
陽人くんは絶対にそんな事言わない。
言わされているだけ。
頭では分かっている。
だけど心は悲しかった。
“精神的に壊す”
このまま聴いていたら私は…。
必死に耐えた。
こんな言葉には惑わされないと。
陽人くん…。
陽人くんを思い浮かべる。
いつも優しい陽人くん。
笑顔が素敵な陽人くん。
私は1つずつ丁寧に
陽人くんと過ごした日々を思い出す。
もう何回目だろう。
何度も何度も陽人くんに貶される。
でもその度に陽人くんと過ごした日々を思い出して
自分に言い聞かせた。
陽人くんは優しい人
これは言わされているだけ…。
そうだ…!陽人くんは言わされているだけだ!
私は陽人くんのニセモノの言葉で簡単に壊れない!
「私は壊れない…!絶対に壊れない!!」
私はそこにいるかも分からない彼女に叫んだ。
私がもう一度言おうと口を開きかけたとき
陽人くんの声は止まった。
彼女が手を叩く音が聞えた。
「すごぉーい!耐えられるなんて
でも これは今からはじまる崩壊ゲームのウォーミングアップ!チュートリアルみたいなもの」
そう言って囁くような笑い声が聞えた。
「崩壊ゲーム…?」
「そう…アナタが壊れていくゲーム」
「でも さっきのは耐えられた…!だから次だって絶対に耐える!壊れたりなんかしない!」
「チュートリアルをクリアしたくらいで調子に乗らないで…
まぁいいよ? 次からが本番 アナタを必ず壊して殺す」
しばらくの沈黙のあと
「次のゲームのはじまりはじまり〜!」
「アナタはお母さんとお父さんどっちを選ぶ?」
「えっ…それはどういう意味ですか…?」
「アナタが選ばなかった方は殺すの…
今から30分以内に選んでね!」
「やめて…!これは私と陽人くんと貴方の問題でしょ…
父と母を巻き込むなんて 卑怯だよ…」
「あのね アナタは今の状況を甘く考えているみたいだけど…それは間違えだよ?
アナタがどちらを選ぶか…とても興味があるの!
ちなみに選ばなかったら…両方殺す」




