犯人
10.犯人
あれから何日たっただろう。
陽人くんは大丈夫かな…?
美穂…。会いたいよ。
酷い腐敗臭がする。
考えたくはないけど多分…
こみ上げてくる吐き気。
でも何も出ない。
「私っておかしいのかな?
こんな状況でもお腹が減るなんて…」
私は監禁された日から何も食べていない。
多分あの日から4日は経っているけど
彼女は私に何もしてこない。
何故警察が助けにこないの…?
なにかが変だ。
でもそれが何かは分からない…
ハッピバースデートゥーユー…
ハッピバースデートゥーユー…
ハッピバースデーディア未弥ちゃん…
ハッピバースデートゥーユー…
あれ…?今日は私の誕生日?
そうだ。色々あって忘れていたけど私の誕生日だ。
何故彼女は祝ってくれているんだろうか。
「アナタは私の誕生日に陽人くんと付き合っているって言ったよね…
どれほど私が苦しんだかアナタにはきっと分からないけどね…。
だから私もアナタの誕生日を最悪最低な日にしてあげる」
彼女の誕生日の日に付き合っていると言った…?
「先生…?小林先生…?」
私は違うと言ってほしくて聞いた。
だけど返ってきた言葉は欲しくはなかった言葉だった。
「やっと分かってくれたのね…喋り方変えるの大変だったわ」
そう言った彼女…先生は私の目隠しをとる。
「先生…なんでこんな事するんですか…?」
私は初めて両親の死体をみた。
原形を留められないほど滅多刺しにされた両親。
先生の顔はいつもの優しい顔ではなかった。
酷く冷たい。人を蔑むような目をしていた。
「先生…私 信じられないです…先生は優しくて…
こんな事をする人じゃ…」
「うるさい!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!アナタに私の何が分かるって言うのよ!
私はアナタの好きな人が陽人くんだなんて思わなかった…私が2人を…アナタには分からない…」
先生は陽人くんが好きだったんだ。
きっと私よりもすごく前から…。
「殺す…殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!!」
そう言って先生がナイフを私に振り下ろす。
足にナイフが刺さる。
「すぐには殺さない…。少しずつ刺し殺すわ…」
先生がまたナイフを振り下ろそうとする。
私は死ぬんだ。
でも当然の結果なのかもしれない。
今までたくさんお世話になった先生。
私の悩みを真剣に聞いてくれた先生。
私の足を誰よりも心配してくれた先生。
先生がずっと悩んでいたのに…気づけなかった。
気づくどころか私は先生を傷つけてしまった。
「先生…死ぬ前に先生に言いたいことがあります…
私は先生に出会えて良かったと思っています…
先生は私をたくさん助けてくれた
相談にも乗ってくれた
でも私は助けてもらってばかりで先生に悩みがあったなんて気づかなかった…本当にごめんなさい
だから最後に一言でいいんです…言わせてください」
「先生…小林優子先生…今までありがとうございました…!
私夢が出来たんです…私の夢は先生みたいに優しい先生になる事です もう叶うことはないけど…
先生…傷つけてごめんなさい…」
私は最後の一言を言うと先生を見て優しく笑った。
「未弥ちゃん…」
先生の手からナイフが滑り落ちる。
どこか遠くからパトカーのサイレンが聞こえる。
「私はもう終わりみたいね…
未弥ちゃん…もっと早くにその言葉をくれていたら」
先生は目に涙をためていた。




