事故
~登場人物~
☆竹澤未弥 大学2年
事故の後遺症により足が動かないが努力家で諦めない強い心を持っている。
☆大谷美穂 大学2年
未弥の親友。とても元気で思いやりのある性格。
☆神崎陽人 大学2年
困っている人を放っておけない優しい性格。
未弥と付き合っている。
☆清水亮平 大学2年
見た目と性格のギャップが激しい。
美穂の彼氏。
☆小林優子 大学教師
大学の母のような人物。
生徒の悩みを聞いてアドバイスをするのが得意。
生徒一人一人を大切に思っている。
何が起きたか分からなかった。「痛い…」私はそう呟いて意識を手放した…。
「ここは…?」
目が覚めると体に激痛が走った。
白い天井。白いカーテン。病院だろうか。
不意に声を掛けられ、声のした方を見ると母と父が心配そうに私を見ていた。
母が父に看護師を呼んでくるように言うと父は慌ただしく出て行った。
すぐに看護師と医者がやって来て私に色々聞いてきた。
だけど、その時のことはあまり覚えていない。
ただひとつ確かな事は私の足は事故の後遺症によりもう動かないという事だ。
私の名前は竹澤未弥。
碧下大学2年生。
事故が起きたのは去年の夏。
横断歩道を渡っている時に車に撥ねられた。
もう歩く事は出来ない。
あの日から車椅子での生活を送っている。
そして今日。大学2年生になって初めての講義。
見知った顔もあれば、受ける講義が変わったため
新しく見る顔も多くあった。
私をみて驚いた顔をする人もいれば
友達同士でコソコソと話している人もいた。
私は私だ。
去年の夏。もう歩けないと知ってとてもショックだった。だけどいつまでも落ち込んでなんかいられない。
私は碧下大学の先生。
小林優子先生に相談した。
先生はこの大学で母のような存在だった。
どの生徒にも人気でとても優しい先生だ。
この人だったら足が動かなくても大学生活をやって行けるように助けてくれるかもしれない。
私は先生に事情を話し助けを求めた。
すると先生は目を潤ませた。
「大変だったわね…」
「私が何とかしてみるわね!」
先生の言葉に救われた。
そして1年生の夏休みが終わり、大学に行くと…
私が受ける講義は車椅子で受けられるよう事前に話が通っていた。
それに、私が車椅子のまま講義が受けられるよう机が変わっていた。
私は講義が終わるとすぐに小林先生の研究室に行った。先生に感謝の気持ちを伝えるために。
「小林先生!ありがとうございました!」
先生に感謝の言葉を告げる。
「やだわ 恥ずかしいじゃない…自分の可愛い生徒が困っていたら助ける 当然の事でしょ?」
私はここまで生徒のために色々してくれる先生を見たことがなかった。
みんなが先生を大学の母のような存在だというのがよく分かった。
私もこの日を境に先生を…
小林優子先生を大学の母だと思うようになった。
私は私だ。
もう一度そう思うと私は小林先生が用意してくれたであろう机をみて微笑む。
その直後。声をかけられた。
「未弥〜!」
「美穂!急に声かけないでっていつも言ってるでしょ…」
「ごめんっ!もうしないから…それでさ未弥!課題見せて!!」
はぁ…。私はため息をつきながら課題を見せてと頼んでくる彼女をみる。
彼女は大谷美穂。
大学でできた唯一の友達だ。
美穂はまだ事故に遭う前にできた友達だった。
だから足が動かなくなった時、美穂はどう思うかなと不安に思っていた。
だけど美穂は私を見た時泣いた。まるで家族みたいに…。
美穂は私を嫌がることもなかった。
“家まで送ろうか”
“取れないものあったらいってね”
美穂は優しい子だ。この子と友達になれて良かった。
「はい課題 今回で最後だよ…」
結局美穂には甘くなってしまう。
最後の講義が終わり帰り支度をする。
「未弥っ!帰ろー」
「そうだね…いつもありがとう!」
「いいって!友達でしょ!」
「でも…」
「ほーら!帰るよっ!」
私は今一人暮らしをしている。
事故で足が不自由になったとき両親は帰ってきなさいと言ったけど私は一人暮らしをすると決めた以上実家には帰りたくなかった。
両親は私の意見を聞くと渋々私の一人暮らしを了承してくれた。
だけど友達の美穂は一人暮らしを認めてくれなかった。
両親より迫力のある美穂にせまられ引っ越してくるという美穂を止めることは出来ずに…
美穂は私の住んでいるアパートの上の階に引っ越してきてしまった…。
「美穂は本当にすごいなぁ…」
「未弥?なんか言った?」
「いや何でもないよ」
「そう?」
「うん…なんでもない」
つい口に出してしまった言葉を無かったことにして
結局今日も美穂とアパートに帰るのだった。




