人生楽して何が悪い
お疲れ様でしたー、先あがりまーす、また残業ですか?
そんな声が俺に向けられる、万年平社員とは私の様な者を指して言うのであろうと日々強く感じている。
毎日の仕事に追われる日々、同僚は勿論、後から入ってきた後輩達よりも仕事が出来ず、定時の時間で上がれた事は数える程しかない。
同僚は上司に、後輩からもそのうち抜かれて行くんだろうな…と思ってしまう…田舎から東京に来て、何か刺激があるだろう、何か変わるのだろう、そう思っていたが何一つとして変わる様子はない、このまま田舎に逃げてしまおうか、書類を片付けながらそう考える。
「自分も上がります、お疲れ様でした」
そう言って席を立とうとすると横から声が掛かった。
「あー…少しいいかね、佐々木君」
心の中で舌打ちをしながらはいっと返事をした、また何か面倒な事を押し付けるんじゃないだろうな、ベジ○タめ…そのM字ハゲさらに後退させる様に育毛剤と脱毛剤すり替えるぞこの野郎。
「今日、時間がある時にこの書類に目を通しておいてくれ、まあーまだ決まったわけじゃないけど頭の片隅には入れておいてくれよ。」
ん?仕事を頼まれるんじゃないのか?
そんな事を思いながら、分かりましたと返事をして会社を後にした、電車の待ち時間の間に軽く目を通しておくかと思ったが…風も少し吹いてるし書類が飛ばされてそれを掴もうとして電車に跳ねられまして死んじゃいましたー
それじゃあ死に方的に如何にもマンガって感じがするし風が吹いてるんじゃ読めたものじゃない、家に帰って読む事にするか。
帰る途中でwakudoに寄って晩飯ついでにと軽く書類に目を通した。その書類は部署を異動するかも知れないと言う内容だった、しかし何故、何処に飛ばされるんだ、いや何故と言うのはおかしいか、そりゃ何年もやってて残業ばっかの奴を同じ所に置いとくはずがないか、場所はまだ決まってないのか、ベジ○タの言ってた事はこれだったのか。
「はー…何処になるのかねぇ…」
そう、ぼやきながらゴミを捨てて帰ろうかと席を立った時に後ろから凄まじい音が聞こえた、ガラスが割れる音と爆発の様な轟音、そして女性の悲鳴、慌てて後ろを振り向くと自分が居た席に大型トラックが佇んで居た
「マジかよ…」
危機一髪って恐らくこう言う事を言うのであろうと思うと同時に、後から来る恐怖と言うのだろうか、もし自分が席を立って居なかったら今頃あのトラックに…そう思うと脂汗みたいな物が出て来た。
警察の事情聴取から逃れるべく足早に店を後にした、後日連絡が掛かって来るかも知れないが、見た所被害者は居ないようだしその場に残らなくても大丈夫だろうと言う判断だ…いいのかわかんないけど…
今日は厄日だ…真っ直ぐ帰ってシャワー浴びてすぐに寝よう、そう思いながら歩いて居ると前の方からフラフラとした足取りの男が此方に向かって来た、全く人が働いてるって言うのに平日から酒でも飲んでるのか羨ましい限りだ、などと思いながらシャワーを浴びたらビールを1本あけようと考えていると腹部に衝撃が走った。
「ガッ!?…は?…?…えっ?なんっ「時間がオーバーしてるんだよ、大人しく死んどけ佐々木さん」
そう言われて間も無く、意識が薄れていくのを感じた…痛みも薄れて来た…もう、このまま目を閉じてしまおう…死ぬときは家族に見守られながら、皆が俺の為に泣いてくれてるのを見ながら死にたいと思っていたのにな…まあ、人が死ぬ時なんてのは分かんないからしょうがないとは思うけど…時間がオーバーしたから殺されるって何の時間がオーバーしたんだよ…て言うかあれ誰だよ、何で俺の名前を知ってたんだよ、クソが…最後の飯がwakudoとか…もうちょいいいもの食っときゃ良かったな…
「そこまで思う元気があるなら大丈夫ですね。
僕がその質問纏めてお答えしてあげますよ佐々木さん」