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コスト

あ、いかん、半年以上更新されていませんとか今後更新されない可能性がありますとか言われてる。きっと。

 おそらくは、と言うよりはほぼほぼ間違いなくクリムゾンシャークのブリッジに集まったストライカーチームは、その頃軽く行き詰っていた。

 「ここからどうすればいいんでしょう? シンヤさん」

 自身の唇を右の指先で軽く触れたロビンが問いかける。

 「え? 俺?」

 「まあ誰でもいいんだろうけどな」

 急に話を振られて戸惑うシンヤにソガが苦笑交じりに応じた。

 「とはいえ美人さんに当てにされたら答えない選択はないですよね? シンヤさん」

 「コノミさん、変な圧をかけないでよ。てか、ここはリーダーのホルベインの出どころでは?」

 「俺リーダーだったの?」

 「「「「え? そこから?」」」」

 シンヤにリーダーとされたホルベインの反問に残り4人の声が唱和する。

 「え?」

 「私も合体ロボに詳しいわけじゃないですけど、頭のパーツ担当で戦闘機とか普通にリーダーっぽいんじゃないかと思います」

 「ですよねぇ、ロビンさん。ストライカーエースのメインコントロールもホルベインさんですし」

 「多分ですけど、シールド担当とかドリル担当がリーダーになるのはレアケースなんじゃないかと」

 「私もそう思います」

 頷きあう女子二人に男性組は責任者になることを回避しようとする気配を感じたが、男子的な一般教養の部分が二人の主張する根拠に妥当性を見つけてもいた。

 「ああ、うん。なるほどなあ。じゃあシンヤも除外だな。下半身担当がリーダーってのも事例ないよな」

 「ソガさん、下半身担当って、何かほかの意味に聞こえてやなんだけど。上半身の戦車は……超新星があったっけ?」

 「あ、そうともとれちゃうか。すまん。で、超新星?」

 「昔の戦隊。20世紀の」

 あまりに古い作品でソガにはいま一つピンとこないようだった。

 「まあ、そこは置いといて、デフォルトでファイターのホルベインさんがエースのメインも兼任だったけど、チャンドラーでのチュートリアルじゃメインの変更もできる、って話でしたよね。ここまでストライカーエースの出番もなくってそのまま流してましたけど、一度きちんと決めておいた方が今後のためにもいいかもしれません」

 改めて提案したのは表情を引き締めたロビンだ。先ほど唇に触れていた指はメガネのブリッジを直しているが、左手は右の肘を支える位置にあり、両の二の腕が豊満な胸を強調している。

 「っ、今後、というと?」

 不意打ちで、かつ無意識無自覚にフェロモン散布するロビンに一瞬当てられたソガが軽く噛みながら訪ねた。その様子を見ながら、コノミは肘を抱えてみるが、そうして寄せてみた結果を自ら確認して悲しい溜息を一つつく。

 「そうだな。僕もロビンさんに賛成だ。多分、というより間違いなくクリムゾンシャークとクレセント環礁はストライカーエースと紐付けされてる物件だけど……」






 「まあ、交渉事のためにもリーダーを決めといた方がいいと思うのよ。ストライカーチームは」

 アイリスがそう指摘したのはマンティスらが全機壁のレリーフに埋め込まれる待機状態になったエントランスホールに全員入ったところだ。

 「交渉、ですか?」

 「ここは本来ストライカーチームのものだというのはわかるな?飛鳥君」

 小首をかしげる飛鳥に説明好きのムラが解説を始めた。

 「ええまあ。母艦が格納されてたくらいですし」 

 「で、彼らがストライカーチームとして活動するにはこことクリムゾンシャークは絶対に必要になる」

 「絶対、ですか?」

 「そう表現してよろしいかと。まず母艦が無いと集まるのが一仕事です。今回がそうでしたでしょう?」

 断定的なムラの言葉をメイフェアが補足した。

 「ストライカーマシンは戦略機動力がばらけすぎていますから。航空機のファイター、シーカー、ダイバーと車両のタンク、ドリルの速度差と行動半径の差が大きすぎます。まあ航空機同士でもまた差がありますけど」

 「あ、うん。少なくとも途中まではいっしょに運ばないとまとめて運用できないんだ」

 今回はセサミオープナーがW.I.G.を用意してタンクとドリルをクレセント環礁まで運んだし、チャンドラーでは公式イベントで比較的近くに集まっていたが、もし都合のいい輸送手段がなければストライカーダイバーがいちいちタンクとドリルを迎えに行かなければ集まれない。そこに気付いた飛鳥は納得顔で頷いた。

 「あと、各ストライカーマシンの弱点もシャークがいると大分軽くなる、かな?」

 「うん、いいとこに気付いたね、飛鳥ちゃん。ファイターとシーカーの脚の短さと火力の低さ、ドリルやタンクの戦略機動性は足りないところをシャークが補えるね。あと全機整備性はアレで、しかもオーバーテクノロジーとかオーパーツまがいのとこがあるけど専用基地や専用母艦ならそこへんも期待できると思う」

 自力で基地と母艦のもう一つの有用性にたどり着いた飛鳥をアイリスがほめる。元来地頭はいいほうなのだ。

 「ダイバーは……ミサイル代はずいぶん安くなるかな?汎用はコスパ悪いですもんね」

 「出撃時に戦況にあったミサイル選べれば価格も威力もだんちだよね」

 ミサイル2基しか武装の選択肢の無いストライカーダイバーはここまで汎用多用途ミサイルを搭載してきたが、これは飛鳥の指摘の通り無駄も多い。対空、対地、対艦、あるいは宇宙、大気圏内、海中。それぞれに要求される威力も射程も速度も違う。どうしても状況にあったものの方が使い勝手もよく効果も見込めて、さらに安いだろう。

 「ああ、ストライカーチームにここ必要だわ。うん。で、交渉って?」

 「まだこの基地の全容が分かんないから推定だけど、完全自給ってわけにもいかないんじゃないかと。それに、こういうユニーク便利物件はちゃんと使おうと思ったら整備や人員を要求するのがここの運営のいつものパターンで」

 「……デスヨネェ」

 得も言われぬ表情で指摘するアイリスと、その後ろでしみじみと頷くメイフェアの様子になにかしらを察する飛鳥だった。

 

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