ぱぅわー!
「でも、そんな有様じゃ私の食事にすら困りそうね」
アイリスは先行きの暗さに嘆息したが、クオの見解は違ったようだ。
「姫様の食事なら問題ありませんよ?農業プラントは1%以下の稼働率ですが、単に稼働率を上げても消費流通がないので止めているのに近いだけです。あと、管理をするスタッフがいない、という理由もございますが」
「それは朗報ね。じゃあ工業施設は?あと呼び名」
小首をかしげながらフォローするクオ。冷静に問い返すアイリス。
「失礼しました、アイリス様。こちらは資材の不足、人員の欠如、長期の放置による整備不良、そして電力供給の不足が原因となります。もし需要と流通があっても現状のままでは稼働率を上げられません」
なるほどそちらはかなり手がかかりそうだ。
「港湾設備のほうは?」
「これも電力不足と機器整備、人員不足が主だった要因です」
「その調子だと通信設備も電力と整備と人手が問題みたいね」
「ご明察です。ただ、通信に関しては人員は現状あまり影響していないかと。それから、【プレイヤーのフレンド通信】が限定的ですが代替となります」
アイリスはふむ、と顎をつまみ得られた情報を整理する。
「…つまり、電力が万全になれば今問題にしてることが全て好転する、と。発電量が足りないの?」
「発電量は現在最大値の30%前後です。ただし、都市機能に回す必要がないので発電していないとも言えます。発電するだけなら最大値の70%くらいはすぐにでも可能でしょう」
意外にも発電設備は万全でないにしろあまり問題ないらしい。
「問題なのは配電設備が複数個所で故障、停止していることと、それに伴い安全装置が複数個所で回線遮断していることです」
クオの解説と同時にディスプレイ上の【セサミシード】に多数の光点が重なる。総数はざっと500くらいだろうか。全部を修復するとなると相当な時間がかかるだろう。
ぽーん。
「クエスト、電力供給、港湾設備Sが発生しました。基準達成ポイント4、成功報酬、ベイブロックSのロック解除」
「クエスト、電力供給、港湾設備Nが発生しました。基準達成ポイント4、成功報酬、ベイブロックNのロック解除」
「クエスト、電力供給、通信設備が発生しました。基準達成ポイント1、成功報酬、クエスト通信設備修復のロック解除」
「クエスト、電力供給、工業施設が発生しました。基準達成ポイント2、成功報酬、ファクトリーブロックのロック解除」
「わっ!?」
「?」
いきなり、しかも連続して流れるシステムメッセージに驚いてつい声を上げるアイリスに、首をかしげて見せるクオ。
「や、なんでもない。ところで、港が使えない今、公団ステーションに行くとしたら方法は?」
なんとなく動揺を見せたのが恥ずかしく感じたアイリスは話題を変える。
「その場合、ポッドの推力だけでは日にちがかかりすぎると思われますので」
「ふむふむ」
「プロペラント満載のポッドを太陽光反射ミラーの先端まで移動させて」
「?」
「タイミングはお知らせいたしますのでそこから発進、セサミシードの自転をカタパルト代わりに用います。その後はプロペラントの続く限り減速、それでもステーションとの相対速度はかなり残ると思われますので、最終的にはマニピュレータでステーションにしがみついて強引に止めます」
「もし打ち出しのタイミングがずれたりステーションにつかまり損ねたら?」
「時間とポッドとザラマンダ・プロトをロストしてここに死に戻るでしょう」
「却下だばか」




