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闇の果て 波の彼方  作者: Peco*


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13/15

暴走

「いらっしゃい!あら、もう戻ったの?」

 時生は麻美の店に来ていた。

「あぁ」

「それで、美咲ちゃん、どうだったの?」

「…元気だったよ」

「それならよかったじゃない!」

「…」

 時生はグラスに注がれたお酒をグイッと飲み干した。


「ほら、起きて」

 麻美に起こされている。

「買出しに行くから付き合ってよ。」

 時生は仕方なく起き上がり、麻美を連れて港へやってきた。クルマを停めて、タバコに火をつける…。

「元気出しなさいよ。あんたには、私がいるじゃない」

「…そうだな」

 強引な麻美に圧倒されながらも、時生には心地よく感じていた。

「ねぇ、結婚してくれる?」

「えっ?」

「嘘よ。ビックリした?」

 そう言うと、麻美は朝市へと消えて行った…。麻美と一緒に、この波の彼方を目指して舵を取るのも悪くない。時生はフッと笑って、麻美の後を追いかけた―。



 休日の午後。美咲は公園のベンチに座り、ひとり読書を楽しんでいた。しばらくして、本から目を離しぼんやりしていると、ひとりの男が目に入った。なぜか、様子がおかしい。目は虚ろで、身震いしている…。美咲はその場を離れようと、本を閉じ立ち上がると、その男と目が合ってしまった。すると、男は震える手で、隠し持っていた拳銃を取り出した―。


 美咲は立ちすくみ、動けずにいた。そのとき、スッと目の前に男の人が現れた。―康之。


 男は急に発狂し、大声をあげながら自分のこめかみに銃口をあてた。一瞬にして緊迫状態となる。しかし、背後にいた刑事がすばやく男の腕をつかんで、自殺を阻止しようとする。そのとき、


バンッ!


「キャーーー!」

 銃声が鳴り響いて周囲は騒然となった。しかし、弾は地面に当たり、大事には至らずに済んだのだった…。


 男は連行され、公園内も落ち着きを取り戻しつつあった。しかし、美咲は放心状態となっている。そんな美咲に、康之は優しく声をかけた。


「大丈夫か?」

 美咲は、小さくうなずくだけだった。

「無事でよかった…。あいつは麻薬の常習者で、売人と接触する現場を取り押さえたくて泳がせてたんだ」

「…」

「美咲?」

 美咲は身構えてしまい、康之にうまく気持ちを伝えられずにいた…。


「とにかく送るよ」

 そう言うと、康之は美咲をクルマに乗せた。


「………私、何も思い出せなくて」

「仕方ないよ」

「だけど…」

「…そんな暗い顔するなよ」

 康之が美咲の頭に手をやろうとすると、美咲はその手を振り払い、クルマから飛び出して走り去ってしまった―。

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