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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雷の系譜~帝都1945~

作者: 黒鷹商会

私の敬愛する撃墜王“赤松貞明”を主人公にしました。

初めての空戦物の架空戦記と史実人物が主人公の為、至らぬ点があればご容赦、願います。

人物描写、難しかったです。そして今回も登場機を魔改造。それでもOKな人はどうぞ。


この小説の世界ではドゥーリットル空襲(皇居に着弾)の教訓により新型機の開発成功、レーダーや高射砲の増設、陸海の協力などによる防空能力が史実より格段に向上。

そしてレイテ沖海戦において日本側が勝利し、米軍の対日侵攻スケジュールが半年遅れ、日米の技術が進歩した進んだ世界と思って下さい。

昭和19年(1944年)12月 大日本帝国 関東上空








高度1万メートルの世界は無音と孤独の世界。



何者も凍て付かせる氷風の女王(偏西風)が支配する世界だ。



そんな氷風の女王が支配する世界を4羽の怪鳥が飛んでいた。



三菱J2M局地戦闘機《雷電》日本海軍が開発した迎撃戦闘機。



あれ程、地上では大きな爆音を咆哮させる雷電でさえ高度1万メートルではか細く感じてしまう。



空気が薄い為、エンジン全開で飛行していても高度が下がりそうになる。



少しでも機体を傾ければ大きく高度を落としてしまう。



高度1万メートルでは普通の戦闘機では飛ぶのがやっとの世界。



そして飛行機同様に人間にも過酷な世界だ。



大気温度計は-50度。コックピットの中では搭乗員は寒さにガタガタ震えながら耐え忍んでいた。



邀撃を旨とする任務では身軽さが命。ブ厚い綿入り飛行服を着れないからだ。



電熱服もあるがお世辞に温かいとは言えず、また発火する恐れがある為に誰も着ようとはしない。



現在、改良をしているが早く実用化して欲しいものだ。寒くてかなわん。



「・・・やっと来やがったな」



寒さに耐える中、ようやく白雲の隙間から銀色の輝きを放つ凶鳥の群れが見えた。



4機の雷電は翼を翻し、降下を開始した。背面飛行からの垂直降下。直上方攻撃だ。



〈超空の要塞〉B-29に対して安全で確実に撃墜出来る一撃必殺の攻撃。



上空から逆落としに降下していく雷電に対し、B-29はすぐさま反撃の銃火を浴びせる。



編隊上空に銃火の洗礼が吹き荒れる。弾幕の雨を突破しながら4機の雷電は一斉に発砲。



各機が狙いを付けたB-29に命中していき、2機は落ちていくが他の2機のB-29はエンジンから出火しつつ、徐々に速度と高度を落としながらも悠々と飛行していた。



流石〈超空の要塞〉と云える二つ名通りのタフネスさだが、それは違う。



先程の攻撃を成功させた雷電搭乗員、赤松貞明少尉は呻くように唸り声を上げながらB-29の編隊を見送っていた。



(やっぱりかぁ・・・)



そう彼が乗っているのはJ2M4、雷電三二型。日本海軍初の排気タービン過給機を搭載した戦闘機。



最高速度は高度1万メートルで610km/h。左右翼内に先行量産型の17試(五式)30mm機銃を1丁ずつ搭載した重爆キラーの局地戦闘機。



コイツの乗り始めてやっとB-29に対抗出来ていた筈なのに最近になってB-29の撃墜が減り、搭乗員からも妙な報告を聞き“もしや”と思っていた疑念が、それが今日、確信へとなった。



「畜生、やっぱりアメ公の野郎、B-29の改良型を投入しやがったな」



仲間が落とされながらも何事も無かったかのように頭上を飛んで行く凶鳥の群れを見ながら呟く。










翌年、昭和20年(1945年)1月。天気は晴天。雲量は一。新年を迎えた晴れ渡った寒空の中、太陽の光が滑走路を照らしている。



そんな中、格納庫から一機の戦闘機が出されていた。



機体には試作機の通例であるオレンジ色ではなく深い青色の塗装が施され、胴体には黄色で大きく書かれたイカヅチのマーク。



だが、もっとも目を引くのは機体その物。機首にプロペラが無いのだ。プロペラが前に無く後ろに付いていてる。エンテ型とよばれる機体形状だ。



それだからだろうか。スラリとした機首から機体後部に続く機体ライン。その機体は姿はまるで鶴のように美しい機体だった



“新型機の受領で木更津飛行場に行け”と言われてからやってきたがコイツは何だ?



「赤松さん!」



そう声を掛けられて振り返るとヨレヨレの白衣を着た眼鏡をかけた痩せこけた男が手を振りながらやって駆け寄ってきた。



「おお、番田じゃないか!久しぶりだな」



「お久しぶりです、赤松さん!」



番田少尉。海軍飛行科予備学生で赤松が331航空隊に居た頃に空戦を始め、様々な事を世話をしたり、教えたりした。


後に空戦で負傷し、目が悪くして実戦から離れる事となった。


工科大学出身で機械工学や航空工学にも明るく、それが買われて今は技師兼テストパイロットをしている。



「どうです?イイでしょう?コイツは私がテストパイロットになって手塩掛けた育てた機です」



「そうか。コイツが前に言っていたあの噂の機体か・・・」



赤松明少尉が機体に触れながら呟きやいた。



「ええ、J7W1、九州十八試局地戦闘機〈震電〉世界でもっとも美しく、もっとも早いレシプロ戦闘機です。エンジンは三菱が開発した3000馬力エンジン、ハ50“土星”を搭載。

最高速度780km/h。しかも水メタノール噴射装置付きで、使えば800km/hは出せます。

航続距離2000km。武装は五式30mm機銃を機首に4門搭載。

で、私が育てたコイツは対重爆使用機で武装はボフォース40mm機関砲のコピーを4門、搭載してます。弾数は少ないですが威力は折り紙付きです。試験飛行中に偵察中のF-13(B-29の写真偵察型)に出会いましたが一撃でバラバラです」



「おお、そいつは豪気だな。これで新型のB公にどてっ腹にデッカイ風穴、開けてやれるぞ」



「その分、運動性や速度は通常型より劣りますから“絶対”に戦闘機と殺り合おうなんて考えないで下さい?」



無駄と分かりつつも一応は釘を刺しておかねば思いつつ言ってみると・・・



「番田よぉ~そいつぁ保障できねぇな」



赤松少尉は振り返りながら“ニヤリ“とヤクザの様な笑みを浮かべながら言った。



それを聞いた番田は(あ、やっぱり赤松さんだな~)と懐かしそうに苦笑した。










1週間後・・・




この日も日本を焦土に変えるべく〈超空の要塞〉B-29は日本の空を飛んでいた。



作戦空域に近づいてきたので、機長がクルー達に準備を促す。



射手は銃座を動かし動作チェックや機銃の試射を行い、爆撃手は照準器の調整していく。



「〈サンダーボルト・リーダー〉から全機へ。もうすぐ目標空域だ。パスファインダー(爆撃先導機)が日本機を目視している。各員、警戒を厳となせ」



「此方〈シルバーレイヴン〉了解。機種と数は?」



「まだ規模と機種共に不明だ。まぁ、この高度だとジャック(雷電)トニー(飛燕)位だが、くれぐれも油断するな。コイツが今までのB-29と違うからって、鉛玉やカミカゼを喰らうのはゴメンだからな!」



全くその通りだ。指揮官機の言葉に同意していた。そう、コイツはB-29の改良型〈B-29D(B-50)〉

外見は今まで乗っていたB-29のほぼ同じだが速度も防御も大きく上がり、中身は別物の機体だ。



お陰で今まで1連射も喰らえばバラバラになる新型のジャック(雷電)の30mmを喰らって当たり所が飛び続ける事が出来る。



タフネスさも今までのB-29以上だ。日本機のカミカゼを喰らっても飛び続ける事が出来るが、好き好んでそんな物を喰らいたいとは誰も思わない。



一度、トニー(飛燕)に体当たりされて胴体を切り裂かれたが着陸するまで生きた心地をしなかった。二度と喰らいたくない。



(ああ、早く帰ってシャワーを浴びてビールを飲みたい)



そう思っていた機長が胸の内に抱いた淡い願いは突如入った報告によって打ち砕かれた。



「編隊上方に敵機!」



舌打ちをしながらキャノピー越しに上空を見上げる。B-29Dの編隊上空。



雲一つ無い青い空に多数の黒点が出現した。黒点は徐々に機影を鮮明にしつつある。



「機銃座、撃ちまくれ!近寄らせるな!」



「「「アイ、サー!」」」



射手の返答と共に銃座が火を吹く。他の機も撃ち出した。各機が振り翳す機銃が弾幕の嵐を形成し、コンバットボックスは猛烈な火線に包まれる。



だが、上方から突っ込んで来る日本機は各機が撃ちまくる弾幕をモノともせず稲妻のように駆け抜けて云った。



「敵機直上!急降下!!真上から来ます!!!」



「指揮官機、被弾!」



指揮官機の〈サンダーボルト〉が紅蓮の爆炎に纏わせながら盛大に爆発した。



だが、それで終わりでは無かった。爆音を響かせながら黒煙を突き抜けて再び上昇して容赦なく銃撃を浴びせた。



「〈グレイゴースト〉がヤラれた!畜生、爆散しやがった回避しろ!」



「〈ファントム・レディ〉エンジン、被弾!ああ、主翼が折れた!」



「どうなってやがる?!識別表に無い機体だぞ!?」



「〈ホーン・ドラゴン〉コックピットをやられている!」



「ジャップの新型機だ!」」



「〈フライング・デビル〉の野郎が一発で落とされたぞ!奴等、大砲でも積んでるのか!?」



「〈デビル・レディ〉高度、落ちて行きます!」



無線から悲鳴と狂乱じみた言葉が聞きながら冷静に頭の状況を整理する。



今、襲ってきてる奴等はチラッと見えたが、確かに新型機だ。



プロペラが後ろにある。そして速度が尋常ではない。あんな機体、今までに見た事が無い。



他の機の奴の落とされるのが見えたがヨーロッパでB-17を飛ばしていた頃、シュヴァルベ(Me262)に殺られ方に似ている。30mmクラスの複数門、搭載か?



「〈ボンバー・ホース〉が落ちてくるぞ!回避しろ!」



前方に居た〈ボンバー・ホース〉が爆発して破片が飛んできやがった。



緊急回避したが、胴体ごと貫かれて爆倉庫に引火しやがったぞ!オイオイ、40mmか50mmでも積んでるのか!? 



日本人の野郎、どんなマジックを使った?悪魔と取り引きでもしやがったのか?!



「下方から敵機!真下から急上昇してくる!」



Fuck!(クソッ!)”胸の内で罵りしながら回避行動をとる。畜生!今は考えるのはヤメだ。生き残る事だけを集中しろ!










(上手く云った)



編隊長機を落とされ右往左往するB公の群れを見ながら笑みを浮かべた。



先手で編隊長機を落とせたのは良かった。あれで編隊の統制が崩れた。



邀撃の為に離陸したのは302航空隊から24機。今日は震電のお披露目だ。今日は今までとは違う。積もった鬱憤を晴らしてやる時だ!



気合を入れ直してB公の群れを狙う。先制攻撃によって編隊の統制はまだ欠いている。コレを逃す手は無い。



狙いをつけて逆落としに入った。雷のような勢いで突っ込み、すれ違いざまに40mmを浴びせて突き抜けていく。



B-29Dの胴体が一撃で折れて爆発しながら落ちていく。どうやら爆倉庫の爆弾に引火したよだ。



凄まじいGに耐えながら操縦桿を引いて上昇。上昇した先にいたB-29Dに狙いを定め、再び攻撃に移る。



狙いを定めたB-29Dから火線が飛んできて風防を掠めていく。自らの銃火で銀色に輝いていた。



「くたばれぇぇぇ!!」



発射トリガーを押し込み、40mmが一斉に吠える。照準器の中でB-29Dが砕け散り、爆散。瞬く間に交差し、爆炎の中を突っ切った。



撃墜されたB-29Dが紅蓮の炎を纏わせながらジュラルミンの破片を撒き散らして落ちていく。まさに重爆殺しの“震電一閃”一刀両断されてた。



「日本の空でデケぇ面、すんじゃねぇぞ。B公共」



この日、襲来したB-29D は54機。内半数を撃墜。残りの半数はマリアナへと遁走していった。



そしてこの日から爆撃機クルーのアメリカ人達と震電を駆る日本人パイロット達との死闘の日々が始まった。
















「大・・・大尉・・・・・・赤松大尉!」



夢を見ていた。どうやらいつの間にかイスに座ったまま眠り扱けていたようだ。



「空中警戒中の連山が小笠原沖を飛行中のB-36の編隊を発見しました。スグに出撃して下さい」



部下に起こされながら滑走路近くに置かれたイスから腰を上げる。その近くには愛機が静かに翼を休めている。



九州J7W局地戦闘機〈震電改〉302航空隊が震電から機種転換した新しい機体だ。



既に343航空隊で先行的に集中運用されて大きな戦果を挙げている。



レシプロエンジンの三菱の土星エンジンから同じく三菱が開発したジェットエンジン〈ネ330〉に換装。



お陰で900km/hの亜音速度を手に入れた。航続距離1000kmと短くなったそこは何事も等価交換だ。



武装は前型と同じく30mm機銃を4門。俺のも前型から引き続き対重爆用の40mm機関砲4門。



しかしコイツにはドイツで開発された空対空ロケット弾R4M〈オルカン〉を翼下に搭載している。



上手く使えば1個編隊全ての爆撃機を落とす事だってできる。こいつのお陰で多くの爆撃機を撃墜する事が出来た。



そうツラツラと想い浮かべながら震電改の操縦席へ乗り込む。各部のチェック、指揮所との無線交信のテストを行う。



「チョーク、払え!」



整備員が車輪止めを外され、震電改は離陸位置へと滑り出す。



定位置につくと、スロットルを引き上げる。



エンジンが大きく咆哮を上げながら滑走路を滑走し、ジェット噴流を巻き上げながら大空へ舞い上がった。



「いいぞ、この感触だ。今日も調子がイイな」



操縦桿に伝わる手応えを確かめながら呟き、一気に高度を上げる。



離陸した震電改が上空で集結し、編隊を組む。震電改の風防の外に目を向けると翼を並べて飛ぶ僚機の震電改達を見据えた。



轟音を響かせながら日本の空を駆ける震電改。その姿は天女のように、鮮やかで、優雅で、そして美しかった。
















昭和20年8月15日。大日本帝国はポツダム宣言を受託。震電の眷族達は終戦を迎えた最後の時まで日本の空を護り、飛び続けた。


アメリカのパイロット達は終戦まで震電を恐れ、ゼロ戦以来の“震電を見たら逃げろ”と云う指示が出された。


そしてF8Fベアキャット、F2Gスーパーコルセア、F7F タイガーキャット、P-51Hスーパームスタング、P-72スーパーサンダーボルト、FHファントム、F-80シューティングスター、B-36Bピースメーカー、などなどの最新機体を次々に早期に実用化して日本本土に投入した。


更にマレー沖海戦の復仇を誓う、イギリス軍も日本本土空戦に参戦。


シーフューリー、シーファング(スパイトフル)、ミーティア、バンパイアなどなどのイギリス最新鋭機が投入し、日本の空を飛んだ。


英米は最新鋭機の投入にはテストな一面もあったが、連合軍の最新鋭機群と震電は本土上空で熾烈な戦いを繰り広げ、様々な伝説やドラマを残していった。


そして戦後。中国大陸は各国の利権・主権争い、同じ中国人同士の宗教・民族・派閥などにより争いが激化し、混乱と動乱の嵐が吹き荒れて無法地帯化した。


無法地帯化し泥沼化した中国大陸に手を焼いたアメリカは大陸への盾としてGHQの指導下、日本は再軍備化。国防軍として再スタートをきった。


そして震電改は新型ジェットエンジンの換装とデルタ翼化などの改良し《震電改Ⅱ》と命名。


1000km/hオーバーの速度を手に入れ、再び日本の空を飛び、防人の荒鷲達の新たな翼となった。




そして月日は流れて2000年・・・・・・





「老いてもなお現役!“レッドサンダー”の異名を取った第二次大戦中のエースパイロット、サダアキ・アカマツ!何と御歳90歳!大会史上最高年齢!嘗ての愛機、新たな震電と共にリノの地へ降臨!」



退役後、民間に払い下げられた機体はそのスピードと美しさが注目され、アクロバットやエアレース用の機体として人気を博して現役で飛んでいる。



そして今、赤松が駆る震電はリノ・エアレースに出場した。



レースに出場する震電にはターボプロップエンジンや二重反転プロペラなど様々な改造を施された。



機体ネームは赤松にあやかってレッドサンダー“赤い稲妻”と呼ばれた。



今からP-51、F8F、シーフューリーなどのかつて大戦中に戦った名機達を相手にレースの世界で凌ぎを削り合っている。



「赤松さん、調子はどうですか?」


「応!コイツも俺もすこぶる調子がイイぞ!」


コックピットからは歳に似合わず豪胆に言い放つ赤松がいた。



「あんまり無理しないで下さいよ、年なんですから」



「番田~それを言ったら手前ェもだぞ?そんじゃ、若ェ連中を揉みに行ってくるぞ~」



ご機嫌そうにコックピットから言いながら、滑走路に向かう。いよいよ、レース開始。



今、老兵が再び空を飛ぶ。新たなる翼の下にリノを焦がす太陽の下、緩やかに、艶やかに、在りし日々の天女の姿の如く再び青い空に舞い上がった。

*本作の各種設定。


『赤松貞明』

雷電、震電、震電改と雷の系族を乗り継ぎ、100機以上の敵機を撃墜した《サンダーエース》

多くB-29を撃墜した“重爆キラー““重戦闘機乗りのエース”として名高いが数多くの戦闘機も撃墜した。最終階級は大尉。撃墜スコア127機。



*登場機体


「三菱J2M4局地戦闘機 雷電三三型」

全幅:10.8m、全長:9.90m、エンジン:三菱ハ42-21ル(ハ214ル)(2300馬力)

最大速度:620km/h、航続距離:1500km、乗員:1名、武装:30mm機銃×2

雷電の最終型。そして日本海軍初の排気タービン搭載の機体。

排気タービンと30mm機銃により高い高高度飛行能力と火力を持っている。

B-29と互角に戦えたが、後にB-29D(B-50)の出現と震電の採用により順次退役。

しかし沖縄戦において戦闘爆撃機として活躍。上陸用舟艇などを多数撃破している。


「九州J7W1局地戦闘機〈震電〉」

全幅:11.11m、全長:9.76m、エンジン:三菱ハ50〈土星〉空冷二重星型22気筒(3100馬力)

最大速度:780km/h、航続距離:2000km、乗員:1名、武装:20mm機銃×4又は30mm機銃×4又は40㎜機関砲×4


「九州J7W1局地戦闘機〈震電改〉」

全幅:11.11m、全長:9.76m、エンジン:三菱〈ネ330〉(推力1330kg)

最大速度:910km/h、航続距離:1000km、乗員:1名、武装:20mm機銃×4又は30mm機銃×4又は40㎜機関砲×4、空対空ロケット弾×24


“奇跡の戦闘機”“救国の戦闘機”と称された世界唯一のエンテ式戦闘機にして世界最強の戦闘機。

ドーリットル空襲により開発は1943年からスタート。44年に初飛行・正式採用。45年に本格量産。

当初、ハ43(2200馬力)を搭載する予定だったが三菱が“富嶽”のエンジンとして設計しお蔵入りしたハ50 (3100馬力)を提供され、高い性能を手に入れた。

高い機動力、高火力など利点も多いが高Gや離着陸に難しいなど難点もあった。

本機の性能には陸軍も驚き“五式戦闘機 震電”と云う名前で採用された。

更に航続距離を伸ばした艦載機型、レーダー搭載の夜間戦闘機など派生機も多く、中には75mm砲を搭載した珍機体もある。

しかも本機の採用により星の数程もあった試作機・計画機のほぼ全てが開発中止された。

その分、生産の一本化やジェットの開発に力が入り震電改とネ330の開発に成功した。

アメリカ軍からはハスター(Hastur)と云うコードネームで呼ばれた。

戦後、米軍は捕獲した震電をテスト。高品質のプラグとハイオクタン燃料により820km/hを記録。

また、本機を改造したエアレーサー機体が速度記録に挑戦。

急降下ではあるがレシプロ機により音速突破を成功した。

これらにより日本航空機技術の高さが示され日本航空技術者の勇志を飾った。


「中島G8N四式重爆撃機〈連山〉」

全長:22.93 m、全幅:32.54 m、エンジン:三菱ハ50〈土星〉空冷二重星型22気筒×4基(3100馬力)

最大速度:600km/h、航続距離:8000km、固定武装:20mm機銃×12、爆弾:5t、乗員:7名

陸海が共同開発した4発爆撃機。陸軍は“飛龍”の名前で採用。

土星エンジンにより日本機離れした防弾性と搭載能力により活躍。雷撃可能も為、夜間雷撃により沖縄戦などで多数の艦船を撃沈した。

更に航続距離を延長し、サイパン島のB-29基地を爆撃なども行った。

また派生機も多く輸送機、斜め銃を搭載した掃射機、レーダーを搭載した早期警戒機などがある。


「B-29D(B-50)」

全長:30.2m、全幅:43.1m、エンジン:P&W R-4360×4基(3500馬力)

最大速度:650km/h、航続距離:10000km、固定武装:12.7mm機銃×12、爆弾:10t、乗員:8名

B-29の改良型。B-29で問題が多かったエンジンが換装されてR-4360となりB-29とはエンジンポッドの形状が異なり、垂直尾翼も拡大されている。

エンジンの換装により防御性と速度、信頼性が向上している。


「B-36〈ピースメーカー〉」

全長:49.40m、全幅:70.10m、エンジン:R-4360-53 レシプロエンジン×6(4000馬力)

最大速度:700km/h、航続距離:16000km、武装:12.7mm機銃×16、爆弾40000Kg

ww2最強の爆撃機と称される凶龍。10×10ボマーの構想により完成。終戦間際に日本に投入され震電改と熾烈な戦いを繰り広げた。



・この作中では史実より向上した日本の防空能力と震電の登場によりB-29は高々度爆撃のみ。

ルメイの提唱した低高度からの焼夷弾による無差別攻撃は無い為、史実より空襲の被害は無い。

また、震電は“原子爆弾投下、阻止”“菊水作戦での大和のエスコート”“信濃航空隊の洋上邀撃”など様々な作戦に従事。

因みに特攻はしていない代わりに夜間攻撃が多く行われた。

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[一言] 投稿お疲れ様です。 誤字報告: 「GHQの指導下で国防軍のとして」 →国防軍として、かと。 歴史のIFを語る物語は、どんな変更を加えているのかがいつも気になります。 超高度を飛翔する…
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