Episode023 来訪者とハヤト
ジェイドが初めてハヤトと出会った時。
彼は心から、ハヤトを凄い奴だと思った。
出会い方こそ、最悪だった。
しかしだからと言って、ジェイドは、自分が追い求めていた、己以上に強い存在との出会いを無駄にしたくないと思った。
(コイツとの戦いの中で、俺は……さらに先に行ける!)
そう、思ったから。
彼はほとんど強引に、今までハヤトに戦いを仕掛けてきた。
しかし当然ながら、ハヤトにはハヤトのやるべき事がある。
それはジェイドも承知の上だった。だがジェイドはやめなかった。
ハヤトのやるべき事より己との戦いを優先しなければならないほど、ジェイドには時間が無かったのだから。
もうこれから先、ハヤト以上の存在とは出会えないのでは……と思ったから。
ある意味では自己中心的な最低男だった。
だがハヤトは、そんな彼を咎めなかった。
なぜならば、彼との戦いの中。
ハヤトもハヤトで、いつしかジェイドとの喧嘩を気分転換とするという……なんともお互い様な結果に落ち着いたのだから。
それだけ当時のハヤトは忙しかった。
全く関係が無い事で気を紛らわしたいと思うほど、当時の星川町――半年ほど前の星川町にも様々な問題が起こっていたのだ。
しかしそんなお互い様な状況は、いつまでも続く事は無く。
ちょっとした事ですぐに流れが変動する世界情勢……どころか宇宙情勢の中で、いつしかハヤトは、ジェイドと戦う心の余裕さえ無くしていったのだが……。
(まさか……こんな形だけど、久しぶりに光ハヤトと戦えるとはな)
頬への一撃を食らい体が吹っ飛びそうになりながら、ジェイドはしみじみ思う。
(でもまぁ、いつかは本気でバトってみたかったし、光ハヤトの本気を見たかったし、どっちかといえば好都合――)
頬への一撃を食らった次の瞬間。
今度は腹に一撃……続いて胸、腕、太もも、背中、後頭部と、ジェイドは、反撃する暇が無いほどの超高速連続攻撃をハヤトから受けた。
(――ってワケでもねえええええぇぇぇぇーーーーッッッッ!!!!? 全然反撃できねえええええぇぇぇぇーーーーッッッッ!!!!)
ジェイドは心の中で絶叫した。
実際に絶叫しようにも、顔や喉への攻撃も連続攻撃のオプションに組み込まれているため叫ぶ隙も無かった。
咄嗟に攻撃をガードし、ハヤトに隙が出来るのを待とうとしたが、そのガードの隙間をハヤトは的確に攻撃する。激痛が全身に広がり、ジェイドは思わずガードを忘れた。そしてその隙をハヤトは見逃さず、さらに攻撃する。
全く反撃の余地が無い、まさに鬼畜な攻撃オプション。
もはや倒れるまで攻撃を受け続けるしか、ジェイドには道が無かった。
「ジェイド……『シアイ』という言葉の語源、知ってるか?」
するとそんなジェイドの状態が分かっているのかいないのか、ハヤトはジェイドに、いきなりそう問いかける。
ジェイドにとっては、なんでこのタイミングでするのか意味不明な質問だった。
「野球とか、サッカーの試合の方の試合だぞ? 実はアレは【『死』に『合』う】という言葉からきてるんだぜ?」
連続攻撃をしながら。突き刺すような視線を向けながら。ハヤトはジェイドに、そんなウンチクを語る。
100%、間違い無く嘘だろう。
だがその言葉に込められた殺意は間違い無く本物だった。
(ちょ!!? こわっ!! いったい……いったいどうしちまったんだよ光ハヤトおおおおぉぉぉーーーーッッッッ!!!!!?)
ジェイドの中で、困惑と恐怖が最高潮に達しようとしていた。
――なぜハヤトはここまでキレるのか。
何度も何度も、サンドバッグの如く殴られ続けながらも考えるが、基本的に強い相手と戦う事しか考えていないジェイドにとっては、一生分からないかもしれない超難問だった。
※
「な……なんだあのスピード……」
そんな2人の喧嘩を、カルマは間近で見ていた。
だがそれでも、どうしてこうなったのか全く理解できていなかった。
ジェイドがハヤトの逆鱗に触れた事は分かる。
というか人を殴るハヤトも悪いが言葉を選ばなかったジェイドも悪いだろうと、さすがの彼も思った。
だがそれはそれとして、ハヤトをそこまで怒らせるほど、大切だと思わせる存在とは何者なのか。
そしてその大切な存在のために怒っているとはいえ……なぜそこまで、身体能力が上がるのか。その2つだけは、さすがのカルマも理解できなかった。
ハヤトの動きが、あまりにも速過ぎる。
ジェイドの周りにハヤトの残像が見えるという、まるで忍者が使う『分身の術』の如き現象が起こるほどだ。
確かに人間は、精神力次第で肉体の性能を限界以上まで引き出す事は可能だが、ハヤトの現在の身体能力は常識を逸脱していた。
(普通の人間が……あんなスピードを出せるのか?)
自分の目がおかしくなったのではないかと思い、1度眼鏡を取ってから目を擦り再びかけながら、カルマはかなえが思ったのと同じ事を思った。
すると、その時だった。
「おいっ! そこ! 何してる!?」
体育教師である丸山政樹がようやく異常事態に気付き、大声を張り上げ近付いてきた。
「あ、やば」
政樹先生の方へと視線を向けながら、カルマは呟いた。
というか身体力測定をせず、運動場で喧嘩をしているのだ。見つかって当たり前である。
「ん? これは……いったいどういう状況だ?」
政樹先生は眉間に皺を寄せながら、カルマの隣で言った。
そんな政樹先生に、カルマは違和感を覚えた。
確かにハヤトの身体能力は異常だが、カルマの動体視力でもハヤトの姿は見えている。自分より大人で、しかも体育教師である政樹先生に、ハヤトの異常性が見えないワケがない。
普通ここは『ど、どうしたんだハヤトはッ!?』などの驚きの反応が来るところだと思うのだが……。
「……ちゃんと状況を説明してもらうぞ、カルマ」
「は、はい……えっ?」
いまいち状況が理解できないカルマ。
だが改めて政樹先生に状況を説明しようと、再びハヤト達が戦っている方向へと視線を向けた瞬間……カルマの頭上に疑問符が浮かんだ。
なぜならば。
いつの間にか目の前で、小規模な砂嵐が発生していたのだから。
「は……はぁっ!?」
予想外の展開に、カルマも困惑した。
だがすぐにこの砂嵐が、カルマ自身も信じ難かったが……ハヤトの超スピードによって生まれたモノであるとすぐに理解した。
というかハヤトの超スピード以外にこの砂嵐を生み出せる要因に、全く心当たりが無い。というかハヤトが原因でなければ異常気象だ。
そしてそんな自分の考えも含めて、カルマは改めて政樹先生に事情を説明した。
「なにぃ!? ハヤトとジェイドが喧嘩しているだとッ!? この中でか!?」
「はい。この中で、です」
「…………と、止めに入りたいが」
教師として、生徒と部外者の喧嘩は速やかに止めるべきだと政樹先生は思うが、肝心の現場が砂嵐に覆われていては止めようがない。
周囲が見えない砂嵐の中に入れば、間違い無く砂嵐を巻き起こすレヴェルの喧嘩の巻き添えを食らい、最悪、返り討ちにされる可能性がある。
さらに言えば、教師に暴力を振るったとなれば……ハヤトとジェイドは、下手をすると、この星川町での居場所を無くす。
慎重に介入せねば、さらにややこしくなるかなり厄介な状況だ。だが肝心の解決法が思いつかず、政樹先生は渋い顔になった。
「うおおっ! すげぇ!」
「煙幕!?」
「砂嵐だろ!?」
しかし解決法を考えている余裕はあまり無い。
異変に気付いた生徒達が、なんと砂嵐の周りに集まってきた。
それを視認した瞬間、政樹先生は蒼褪めた。もし興味本位で砂嵐の中に入ろうとする生徒が出てしまえば……。
「おいっ!! 全員身体力測定に戻れ!!」
政樹先生は慌てて生徒達に呼びかける。事態を詳しく伝え、逆に興味を持っては困るので詳しくは伝えない。生徒達はブーイングをした。だが最終的には、渋々、少しずつだが砂嵐から離れ始めた。
そんな中、カルマはハヤトを止める方法を考えていた。
ここまで大事になるという事は、いつの間にかそれだけ時間が経過してしまっているという事。さらに言えば、ジェイドの生命の危機を意味している。
ハヤトに十字架を背負わせたくない。
カルマは心の底から思った。だが砂嵐の中は視界がとても悪い。無策のまま入れば、政樹先生も懸念したように余計事態がややこしくなる。
(…………いったい、どうしたらいいんだ?)
※
砂塵の霧の中で、ハヤトは左手でジェイドの胸ぐらを掴んでいた。
当のジェイドには、もう抵抗する体力も気力も無かった。ハヤトから受けた連続攻撃のせいだ。
(ていうか……なんで光ハヤトはバテてないんだ? あれだけの速度で動いていたのに……なんで!?)
だが幸か不幸か。まだ意識は。状況を把握できるだけの余裕はあった。
けれど先ほども言ったように、体力も気力も尽き果てたので、彼はこれからも、余程の事が起こってハヤトの一方的な攻撃が止まるまで、生き地獄を味わい続ける事になるだろう。
しかし当のジェイドは、そんな想像をする余裕が全く無かったので……グッタリと項垂れながら、ハヤトを虚ろな目で見つめ続けていた。
一方ハヤトは、喧嘩が始まった時から変わらず、突き刺すような冷たい眼差しをジェイドに向けていた。
しかし多少は、心に余裕が出てきたのだろうか。彼はそれ以上ジェイドを殴る事はせず、彼に話しかけた。
「ジェイド……ハルカをガキ呼ばわりするな。俺が許さないぞ?」
するとその時、ようやくジェイドは理解した。
自分が、光ハヤトの逆鱗に触れてしまった事を。
しかし後悔しようにも、もう遅い。
ハヤトが右手をきつく握り、拳を作る。
ジェイドに、最後の一撃を食らわせる気だ。
(ここで……俺は終わるの、か……?)
ハヤトが拳を構えるのを見ながら、ジェイドは思った……次の瞬間だった。
ゴッという音と共に、ハヤトの頭に硬い何かがぶつかった。
「……痛っ!」
突如襲った衝撃と激痛にハヤトは呻く。
すると同時に、ジェイドの胸ぐらを掴む手から力が抜けた。
当たり所が悪かったのだろう。その証拠に、次の瞬間にはハヤトの全身から力が抜けた。そして、ついに体が限界を迎えたのか、ジェイドの意識が途絶えて仰向けに倒れるのと同時……ハヤトもその場に、崩れ落ちるようにうつ伏せに倒れた。
しかしハヤトにはまだ意識があった。
だが当たり所が悪いせいか、徐々に視界がぼやけ始める。意識が明滅する。
けれど彼は無理をして、せめて自分を襲ったモノが何かを確認しようと、砂嵐の中、目を凝らした。
すると、自分の顔のそばに、ボールが落ちているのを見た。記憶が正しければ、それは間違い無く『ハンドボール投げ』用のボールだった。
(ッ!? いったい誰が……)
まさかボールで攻撃されたとは思わず、彼は驚いた。
すると、その時だった。
時間があまりにも経ったためか、ようやく砂塵の霧が晴れ始め、外を確認する事ができるようになった。
すかさずハヤトは、激痛に顔をしかめながらも、無理をしてまでボールの飛んできた方向に顔を向けた……次の瞬間だった。
驚愕のあまり、ハヤトの瞳孔が開いた。
なぜならば、彼の瞳の中に映ったのは。
「…………ハル、カ……?」
もうここには居ない、大切な存在。
しかしその存在は、すぐに別の存在――彼女とどこか、似た印象を持つ存在の姿へと変わった。
どこか似ている2つの存在。
それらを瞳の中でダブらせながら。
ハヤトはその場で……意識を失った。
※
「ふぅ……なんとか当たったみたいね」
砂嵐から数m離れた場所。
そこには、騒ぎを聞きつけ、わざわざ体育館での身体力測定を中断したかなえが立っていた。その隣には、金属製の大きなカゴが置いてある。
『ハンドボール投げ』で使うハンドボールを入れておくカゴだ。
かなえはそこからボールを1つ取り、ハヤトにぶつけたのだ。
あの砂嵐の中に、ハヤトとジェイドが居る。
異能力『感知』を使えるかなえにしてみれば、情報はそれだけで充分だった。
なぜならば、砂嵐の中から感じる気配の周りにボールを投げ続ければ、いつかは必ずハヤトにぶつかるのだから。
――まさか1球目で当たるとは思わなかったが。
「す……すっごいかなえちん!」
「1球目から命中させるやなんて!」
「どうしてハヤト君があの辺に居ると分かったん!?」
同じく運動場での騒ぎを聞きつけ、体育館を飛び出したかなえに付いてきた優、リュン、そしてユンファが、ハヤトを止めたかなえに、驚きのあまり目を丸くしながら訊ねた。
「ええっ!? ……え~~……っと……」
かなえは返答に困った。異能力の事を知られたくないから当たり前だ。でも何か言わなければ、逆に自分が異能力者だと感付かれるかもしれない。
だから、かなえは苦し紛れに……言った。
「……女の勘!!」
少々苦しい言い訳だった。
※
昼休み。ハヤトは保健室のベッドの上で目が覚めた。
するとそれを今まで見ていたのか、目覚めた直後……ハヤトから見て右側から、ジェイドが大声をかけてきた。
「ようやく目が覚めたか、光ハヤト!!」
目覚めて早々大声を浴びせられ、ハヤトは顔をしかめた。
だが非があるのは明らかに自分だと、気絶する前の記憶を、大声を聞いた瞬間に思い出し……すぐに顔を真顔に戻すと、首を声のした方へと動かした。
そこには、顔に絆創膏を何枚も貼られているが、ベッドに座れるくらい回復したジェイドが居た。
「……ジェイド、もう大丈夫なのか?」
あれだけボコボコにしたのに、もう動けるのか。ハヤトは驚愕しながら、小声でジェイドに訊ねた。
「ああ!! アルガーノ星人はタフネスな体をしているからな!! 大したケガは無かったぜ!!」
喧嘩する前と変わらない、快活な返事だった。
まるで喧嘩そのものが最初から無かったかのように彼は元気だ。
しかしそれでも、ハヤトの中から罪悪感は拭えなかった。
どう言い繕うとも、怒りから冷静さを失い、ジェイドを殴った事には変わりないのだから。この場でジェイドに罵倒されても、文句を言えない酷い事を……いや、下手をすると、ジェイドのこれからを台無しにしかねない酷い事をしたのだから。
「ゴメン、ジェイド。やり過ぎた」
ハヤトは罵倒されるのを覚悟して、ジェイドに即座に謝った。言葉にした事で、さらに申し訳ない気持ちで心がいっぱいになったが、それでも頭を下げて謝った。
するとジェイドは、ハヤトが自分に対して謝るのがおかしいとでも言いたげに、笑いながら言った。
「別に謝らなくていい!! 俺の方も、お前の本気を甘く見てたし……あの子の事を悪く言っちまった……こっちこそスマン!!」
そしてその場で、ジェイドも頭を下げた。
互いに謝り合うという、とても奇妙な構図ができた。
ハヤトはそれがおかしく思えて、思わず噴いた。するとそれにつられ、ジェイドも思わず笑った。
とその時だった。
保健室のドアが開き、養護教諭の真琴先生が入ってきた。
彼は笑い合う2人を微笑ましそうな目で見たが、すぐに真顔になって言う。
「まったく2人共!! かなえちゃんが止めてくれなかったら、どうなっていたと思ってるの!!?」
ごもっともな意見に、ハヤトとジェイドは言葉が出なかった。
そして2人は、1時間近くにも及ぶ真琴先生の説教に仲良く付き合わされる事になったのだった。
※
同日 23時0分
ジェイドは町立星川中学校の運動場に停船している、旅客宇宙船のハッチの前に立っていた。地球から異星への便である。
彼の正面には、ハヤトが立っている。
一応知り合いの誼みとして、星川町に知り合いが居るのに、見送りが無いんじゃさすがに寂しいだろうという事で……彼は毎回ジェイドの見送りに来ているのだ。
そんなハヤトだが、今回ばかりは病人用の杖で体を支えていた。
実は喧嘩の時に出した、目にも留まらない超スピードのせいで、彼の脚の筋肉は断裂する寸前まで負荷が掛かっていたのだ。
当たり前の事だが、数日は、杖が無いとマトモに歩けないらしい。
「じゃあな光ハヤト!! 今度来る時は……お前を超えてるかもだから覚悟しとけよ!!?」
ジェイドがハヤトに、右手の人差し指を向けた。
「……その台詞、何回目だよ?」
ハヤトは苦笑しながら、肩を落とした。
星川町から去る時、2人の間でいつの間にか恒例になっていたやりとりだ。
そしてやり取りの後、ジェイドはそのまま旅客宇宙船へと乗り込もうとしたのだが……何を思ったのか、ハッチの階段の途中で振り返り、ニヤリと笑みを浮かべてこう言った。
「あっ! そうだ! 修行の旅のついでに、お前の〝恋人〟を見かけたら必ず連絡してやるよ!!」
「…………………………は?」
ハヤトは一瞬唖然としたが、すぐに顔を赤らめ「っておいジェイド!! ハルカは別に俺の恋人ってワケじゃ――」と慌てて反論。だが当のジェイドは、既に旅客宇宙船に乗り込んでおり、さらには最後まで言い終わらぬ内に旅客宇宙船のハッチは閉まっていた。
※
「それで、お客様。倒さなきゃいけない人は倒せましたか?」
サイドポニーにした長髪。そして青い制服が特徴のフライトアテンダントが、旅客宇宙船の椅子に座ったジェイドへと、興味津々な目で話しかける。
彼が地球へと来る時に使った旅客宇宙船にも乗っていたフライトアテンダントである。
「いや、ダメだった」
するとジェイドは、このフライトアテンダントとよく会うなぁとちょっと不思議に思いながらも、笑いながら質問に答えた。
「?? ダメだったのに、どうして笑っているのですか?」
「ああ。それは……」
不可解な返答に、頭に疑問符を浮かべたフライトアテンダント。
しかしジェイドは、その質問にはすぐに答えず、旅客宇宙船の窓の外を眺めた。ハヤトが旅客宇宙船から離れるのが見えた。そして、すぐにその姿は小さくなる。旅客宇宙船が地上を離れたのだ。
それを見届けると、ジェイドはようやく……彼女の質問に答えた。
「ソイツの、いろんな意味での〝本気〟が見れたからな」