同じことをしていれば大丈夫
私はいつも人と同じことをして過ごしている。
人と同じことをしていれば、変に目をつけられることもない。
ほら、あの子だって、スポーツで有名になって浮かれていたけれど、プライベートなことまで探られて、嫌な思いをすることになる。
勉強のできるあの子は、真面目ちゃんだとか、スマホを使って回答しているだとか、そんな陰口を叩かれて嫌な思いをすることになる。
だから 周りと同じにしていた方がいい。
できるだけ目立たない。
派手になりすぎず、地味になりすぎず。
周りの流れに沿って生きる。
そうすることで、とびっきり贅沢することはできないだろうけど、どん底の不幸になることもないだろう。
朝の登校時間、いつものように地下鉄に乗っていると、電車が急停車をした。
また地震でも起きて、安全のためのブレーキでも働いたんだろう。
一瞬そう思って、すぐに日課の作業に戻った。
作業っていうのは、SNSでクラスの子たちが見ている推しの人の投稿に、いいねをつけていくことだ。
私自身は興味がない投稿だけれど、同じようにしなければ目立ってしまう。
あの人の投稿にも、いいね。
この人の投稿にも、いいね。
なんか焦げ臭い匂いがしてきた?
周りをチラってみると、同じようにスマホを見て音楽を聴いている。
そうそう、昨日話に出たこの人にも、いいねつけなきゃ。
なんか周りが煙ってきた。
周りをちらっと見ると、同じように皆スマホを見ている。
そうだ、この人にも、いいねつけな……




